コロナ後遺症はほぼ、虚証ではないのでは?

※ あくまで個人的な意見です。まだちょっとはっきりしない所もあります。

うちの患者さんたちで強めのコロナ罹患後の後遺症が出て治らなかった例が皆無で、ごく軽症のものをごく簡単に治してきてしまったため、新規の患者さんを見る余裕がないアシル治療室の出る幕はほぼないと思っていた所。

メールマガジンにコロナ後遺症の方からの質問が来まして。ためにし舌の写真を送ってもらったところ、私が想像していたのとは全然違う舌だったのです。
許可をいただけたので、公開しますね。

……ちょっと待て、これは半表半裏の実証じゃないですか?
柴胡剤使いたいですよ?

私は、ものすごい虚が起こっていると勝手に考えていました。それが、全く違う舌で。そりゃあ補では効かないわ、と、納得したのですが……そういう問題ではないかもしれないと、ゾッとしたのです。なぜなら、それでは治りませんし、逆に悪化する可能性すらあるのです。

中国本土で鍼灸はどのような処方をしているのか、とりあえず検索してみました。

・残熱
・気陰両虚
・湿邪困脾
・痰瘀阻絡
・氣滯血瘀
の5つに分類しているようですが、この中の「気陰両虚」以外は瀉法をかけるべき症例です。

気陰両虚の場合、本当に全部の体力が落ちきっていて、


リンク先ページより。

こんなふうに舌が出せないくらいになり、表面は苔があまりなく、力無い状態です。この場合、しっかり補を入れます。もっとひどくなると、表面に亀裂が入って口を開けることもキツくなってきます。

ですが、いただいた舌はこれよりしっかり舌を出すことが可能ですし、厚みもあります。なんなら中央に僅かに黄苔も見えます。黄苔があったら一度は瀉法をかけてからでないと、調子が悪くなります。……ということで、これはまずいぞ、と感じたのです。

新型コロナ感染症流行初期に中医学で「湿毒疫」であるとし、これが脾胃や肺をいきなり侵して異常を起こすとされました。また、温病とされており、これは半表半裏へ入り込んで面倒な症状を起こすのです。一旦消えたと思ったらまだ潜んでいて、繰り返し症状を引き起こすのです。身近な例では何度もぶり返すしつこい風邪がこれにあたります。

これの治療は、下すなりなんなりして湿熱を追い出すことが必要で、その後にそれにより失われた体力を補っていくことになります。

ですから、一回、脾胃の瀉法をかけ、その後に肝胆の湿熱を減らし、それから補わないとなりません。ですが、結構な割合で体力低下も見られ、刺激に弱くなっている患者さんが多いのです。

そのため、微細な刺激を継続的に与えて瀉法を続け、刺激過多でクラッシュを起こさないようにする工夫が必要……ということで、自宅で行うセルフケアでの鍼灸を処方すべきではないのか?という結論に達したわけです。

重い・だるい・動けない……という状態は、虚証ではなくても起こります。体内に湿邪が満ち満ちている場合は確実に重だるく動けなくなります。これを追い出す瀉をかけないとなりません。決して補ではないのです。

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