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息のライン

絵を描く上でそれを表現するのに好きなフレーズがある。しかしその意味合いを人に説明しても、今のところ同感してくれる人が現れず7年ぐらい経ってしまった。今回はそれについて文を短く書こう。少し英語も出ます。


いき【息】 を 引(ひ)く 

① 息を吸う。息をする。
※申楽談儀(1430)音曲の心根「『津の』の『の』と、『国の』の『の』との間に、いきを引やうに云」
コトバンクより)

という言い回しがある。「線を引く」が好きな自分は「息を引く」というフレーズとかけて絵に対する熱意を表現するのがしっくり来た。しかし他者にはあまり理解されない。今は一般的に使われている「息を引き取る」という死を意味する言い方と混合してしまうだからだろうか。それとも「線を引く」というのがわたしにとっての「絵を描く」だとことの表現だというのがわからないだろうか。自分が自然に感じていることを文章にするのは難しい。ちなみに別に絵が描けないから死んでもいい、など臭いセリフを言うつもりはないが少しその気持ちはわかる。実際、他にしたいことがないからだ。以前どこかで聞いた「あなたがいなくても私は生きていけるけど、一緒に生きるならあなたがいい」のフレーズがわたしの絵に対しての気持ちに当てはまる。

普段よく使われる「息をするように絵を描く」、という言い方はなんというかその通りなのだがなんとなく自分にしっくり来ない。「線を引く」とか「線と線をつなげる」などの動作を強調した表現の方が自分には合っている。実際絵のことを考えて描くというよりは延々と線を引き続きたいだけなのだ。自身初のnote「モチベーション」でも同じなようなことを書いた。

そしてこのフレーズは自分で考えたものではなく、書道の動画だったか、何かの本だったか、先生に言われたかいずれ覚えてないどれかで知ったものだ。しばらく忘れていたのだが、美術大学受験時の小論文で「絵を描く上であなたが影響されたもの」というお題のキャッチフレーズはどうするか考えていた時にふと頭に浮かび上がった。

“ The motion of a line being drawn is like the natural most basic humanely instinct, breathing.” I was once told by a teacher whom I viewed as an alien. Upon hearing this, I was left puzzled and confused. A foot taller, I finally realized what how meaningful it would mean towards my life. "

と、小論文には書いたがやはり表現するのは日本語より圧倒的に単語が少ない英語ではさらに難しかった。「息を引く」と言う英語がなかったので「息をする・吸う」のbreathingになってしまった。しっくり来なかったので自分は中々納得しなかった。当時は国語が得意だった元恋人に直してもらったり、家庭教師に修正してもらう時に説明したが向こうはあまり意味合いがわからなかっただようだ。色々試行錯誤した結果、文はこう締められた。

" Currently, the world rotates itself. So does art. The reason why I draw is to be part of that cycle. “This art is good”, “I don’t like this art” etc … As long as our eyes, mouths, ears and noses are connected, the knowledge goes around too. Only difference is the amount. Bigger it is, the more massive the rotation is. I want to be part of the cycle. Therefore, I draw as if Im breathing. "

結局「息をするように描く」になってしまった。あーあ。しかししょうがない。他に言いようがないからだ。文章としては成立する。終わり。課題クリアだ。わたしは大学にポートフォリオと試験数値と小論文を送り、合格し、大学に入った。

そして悶々としたまま時は過ぎ、7年の年月は流れ、noteをはじめ「絵を描くきっかけ」というお題を見た時わたしはこのフレーズを復活させよう!!と自然に思った。普段よりめいいっぱい構図も文も考えて描いて漫画を描いた。そして自分より断然日本語ができる旦那に文章を見てもらい、すぐOKが出ると思ったがやはり「息を引く」のところでひっかかってしまった。「1、2、3ページと流れがすごいいいのに、そこでちょっと止まっちゃう」と言われわたしは(またかよ)と思いながら反論したが、向こうの言い分を聞いているうちに納得してしまった。「そのフレーズは大事にとっておいて、今回は違う言葉にしたらいいじゃない」と言われてそうしようと思った。この漫画は誰が見ても読みやすく、言葉を最小限にした、自分の世界観をわかってもらえるものにしたかったからだ。

色々試して、長く書いたり短く書いたり、様々なフレーズを置いてみたが結局「息を吸う」になってしまった。しょうがない。一番わかりやすいもんね。なんでこんなかっこいいフレーズ誰もわかってくれないんだよ。けっ。とひねくれていた。その時に「使いたい理由はわかったけど、息を引くことについてはこのままだとちょっとわかりづらいかな」と旦那に言われ、わたしはあることに気が付いた。

そうだ。わかりにくいなら漫画を描けばいいじゃん。

それだ!!!わからないなら漫画を書いてわからせてやる!ということでわたしは今回はその漫画のためのプロット代わりとなる文を書いたのだった。

次回になるかわかりませんが、「息を引く」ことについて描きます。こんなかっこいいフレーズ、誰も知らないなんて勿体無いので。そして短く書く予定だったのに結局予定時間より15分オーバーしてしまいました。文をまとめるって本当に難しいな。頑張ろう。

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