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看護師の五輪派遣についてツイートしてたら涙が出てきた

#看護師の五輪派遣は困ります

というハッシュタグが話題になっているのをテレビで見かけ、いつも意見を声に出せない小心者の私が黙っていられなくなった。

最後のところは「バカにしないで」にしたかった…誤字してます。

ちょうどその日、コロナ感染対応のために努めている病院で増床するよう県から要請があったという話があったのだ。

「現在5人でまわしているのを増床に伴って3人増やす必要がある」

通常業務で手一杯、常にぎりぎりのマンパワーでまわしているのに、どうやって増やすのだろうか。

「新人1人、集中治療室から1人、他から1人」

耳を疑った。

4月に入職したばかりの新人さんはまだ入って1カ月。仕事も覚えられないだろうし、何よりコロナの対応をするなんて不安しかないだろう。怖くて辛くてやめてしまうかもしれない。また、新人さんを先輩スタッフが指導しながら、めちゃくちゃ手間がかかり神経を使うコロナの感染対策をしなければならなくなる。

集中治療室だって4床くらいベッドをお休み状態にするそうだ。命が非常に危険な状態の患者さんや大きな手術をしたばかりの患者さんが入る集中治療室。豊富な知識と経験と判断力を要す現場。刻一刻と変化する中で非常に高度な医療機器を何種類も使えなければならない。

もし急変や救急患者が多く入れば休んでいるベッドも稼働するのではないか?足りないマンパワーでまわすことになれば患者の命の危険に直結する。もちろん他から看護師を応援に連れてきても、すぐには働けるとは限らない。

どこかから1名連れてくるのもなかなかの話。常にぎりぎりのマンパワーで働いている看護師たち。1人欠員が出ると、昼間の勤務人数が減ったり、夜勤の回数が増えたりする。体調不良や子どもの熱を出して休みを取らざるを得ないときはいつも申し訳なくて言い出しにくかった。1人昼間に働くスタッフが減るだけで病棟は一気にカオスと化すのを何度も経験しているからだ。コロナ対応の病棟にとられるとなるとそれなりの経験も必要であろう、看護師をとられた病棟は大変なことになるのは目に見えている。

たった3人の看護師を集めるだけでもこんなにも大変なのに、500人もオリンピックのために出せと、しかもボランティアでという政府に声を上げられずにはいられなかった。

現場の壮絶さを考えると涙が出る

以前、自分の勤める病院でクラスターがあった。

たった1人の感染者から、そのフロアの病棟スタッフすべてが自宅待機、多数の患者に感染し亡くなった患者もいた。

その時に経験したのが感染対策。

テレビで見てイメージできるだろう。

特別なマスクをしてフェイスガードをして、ガウンを着て手袋をして…。

通っていい場所はここ、ここはダメ。毎回毎回脱ぎ着をするのにめちゃくちゃ時間が取られる。大きな声を出さないと聞こえない患者もいる。長い話は息が苦しい、汗がどんどん流れてくる。ゆっくり対応してあげられない、感染対策に気を取られて、何度もミスをしそうになりいつもヒヤヒヤ…。

看護助手さんが入れず、いつもはお願いしていたごみ捨てもシーツ交換も看護師がやる。めちゃくちゃごみが出るから何度も何度もごみ箱を変えて消毒をして運び出す。シーツ交換も袋を特別なものにして、部屋から出すときは他のスタッフを呼んで受け取ってもらって…。

急激に呼吸困難を訴えたり、高熱を出す患者がいる、経験したことのない速さで悪化し、昨日まで話していたのに翌朝には亡くなった患者がいた。手に負えなくなって集中治療室に行って亡くなった患者もいた。苦しんでいてもその手を素手で握ってあげられない、背中もさすってあげられない。家族は会うこともなく最期の時をみることもなかった。見ていられなかった。

たった数週間のことだったのに、その間は疲れ果て、倒れ込むようにして家に帰った。でも家に帰るのもどうしようかと悩んだ。家族にうつすのではないかとすぐに風呂に入りすぐ洗濯。家でもマスクを着け続けた。ずっと不安だった。

これをコロナ禍が始まった1年も前からずっとがんばってくださっている方がいる…。もっともっと最前線は大変なことになっているはずだ。ずっと家族に会っていない看護師もいるそうじゃないか…こんなに大変な目にあっているのに、1人だなんて。

心の底から切なくて悲しくて涙が出てくる。どうにかしてあげてほしいと願った。あのコロナを対応した日々は二度と経験したくない。でもコロナ禍は終わっていない。それどころか変異種が出てきて感染者は増える一方で、いつまたあの時のようになるのかわからない。

そして、病院はコロナ対応病床を増やすことを決めた。

総理大臣の言葉に怒りで涙が出た

という記事を目にした。

『菅総理が、「医療体制がひっ迫する中で確保は可能か」と聞いたのに対し「現在、休んでいる方がたくさんいると聞いており、そうしたことは可能だと思っている」と述べました。』

なにそれ。

なんでそんなにたくさんの看護師が辞めていったと思うの。

「70万人も潜在看護師がいるのって異常じゃない?」ってツイートを思い出す。

これだけ病院があるのだから、看護師はいつでも人手不足なんだからいつだってどこだって「働こうと思えば働ける」。

希望を持ちながら入職したのに、心が持たなくて辞めていった新人たち。

人間関係に悩んで辞めていった同僚。

妊娠しているのに働いて切迫気味になる看護師を何人も見てきた。流産だって他の職種に比べて多いんだそう。

命を預かり、クレームにおびえ、時に医師からは怒鳴られ、認知症のある患者から殴られ蹴られ噛みつかれ、セクハラやモラハラにあい、夜中徘徊して追いかけまわして転んだらレポートという名の始末書、骨折や頭打って何かあれば訴訟にだってなるかもしれない。

業務をこなしながら毎日大量の記録に追われ、係だ委員会だ勉強会だ研修だなんだかんだで残業や休日出勤。

貯まりにたまったストレスを他のスタッフに発散する人もいて、悪循環極まりなくて。

結婚するので、妊娠したので、出産したのでって理由でやめていく。

だってそうしないと辞めさせてもらえないんだもん。もう少し頑張ってみたらどうか、異動してみたらどうか、人手不足だし看護師が減ったら国からもらえるお金も減るしで。新人になって4つも5つも異動させられた子もいた。もしくは病気にならないと辞めさせてもらえない…。

みんながみんな同じ理由で休んでいるわけじゃない。けど、現場を経験したことのない人が、気軽に500人確保できるなんて言うな。しかも総理大臣が、なんなんだいったい。ツイートしてたら必死で頑張っている現場の看護師のことを思って怒りで涙が出てきたた。

政府の看護師に対する考え方があんまりにも軽すぎて、悔しい。

看護師は駒じゃない。

看護師だって人間だ。心があって家族がいて自分を大切にしたっていいはずだ。

本当は看護師を続けたかった仲間がたくさんいるはず。

こうして書いていてまた涙が出てきた。

どうか、この気持ちが届いてほしい。

看護師を大切にしてほしい。


つぶやきと反省とやっぱり言いたいことと

怒りに任せて書いて、もともと文を書くのは苦手だしで、めちゃくちゃな文でごめんなさい。もっと伝えたいことがあるのにもどかしい。とにかく悔しさやら悲しさやらむなしさやらでいっぱい。コロナ禍で苦しんでいるのは看護師だけじゃないし、みんなみんな苦しんでるし看護師の辛さばっかり言いまくってどうなんだと思いながらもでもやっぱり知ってほしいとnoteに書きました。

私は今看護師の現場にいないんです。大切な仲間たちが大変な目に合おうとしている・・。コロナ対応病床を増やすと聞いて、もしかしたら同僚が配属されるかもしれない、もといた病棟に普段慣れない患者が来てめちゃくちゃ大変になるかもしれない。色々考えていたところに500人無償で出せだの総理大臣が出すことは可能だとか耳に入って…。

「看護師はどこにいても仲間です」と看護学生時代に言われたことがあります。日本中、世界中の看護師が仲間だと思っています。どうかその仲間たちを駒のように扱わないでほしいんです。


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