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Phum Viphurit at AREA DIP 2022 in MIDNIGHT SONIC

「Phum Viphurit at Summer Sonic 2019」というレポートを書いたとき、正直、その次の年(2020年)のサマソニで彼がまた演奏している姿を想像していた。ご存じのとおり、2020年にサマソニは開催されなかったし、長らく海外アーティストのライヴ産業は苦境に追い込まれ、ようやく希望が見えはじめたものの、多くの海外アーティストにとって状況はさほど変わっていない。

Phum Viphuritのようなツアーを重ねて成長してきたアーティストにとっては「失われた2年間」だったと言っていいかもしれない。24歳だった彼は先月27歳になった。心身ともに充実した年代を無駄にしたのか?いや、そうじゃなかった。3年ぶりとなるサマソニでのライヴは、しばらく羽を休めていた彼の新たな飛躍の第一歩であるように感じられた。

3年ぶりのサマソニ、と言っても、今回は、サマソニとのコラボにより開催された、アジア各国のシティカルチャーを牽引するアーティストを世界に発信することをコンセプトに新たに始動したプロジェクト、「AREA DIP」によるフェス第1弾。

2021年にコラボしたNulbarichのJQキュレーションにより、アジア勢としては韓国のSE SO NEONとともに出演。なお、AREA DIPのYouTubeチャンネルでは、Phum Viphuritをはじめ、タイ、台湾、韓国、シンガポール、インドネシアなどのアーティストの曲が24時間流れるラジオ型プレイリストが配信されていたり、アーティストが住む街のお気に入りの場所でのライヴセッションを収録した「Dipping Tapes」といったコンテンツが配信されている。

前回が体感気温40度近い中、14時台の屋外でのライヴだったのに対して、今回は屋内で、スタートは23時。彼らにとって初の深夜帯でのライヴとのことで色々と勝手は違っていたかもしれないが、終わったあとに全てを出し切った感があった前回に比べると、余裕を感じさせるような演奏だった。

「Paper Throne」からのスタートは前回と同じだったが、今回は恒例のイントロ「Funk Jam」ありヴァージョン。2曲目にいきなり7月にリリースされたばかりのシングル「Healing House」。ドラムンベースなどを取り入れ、Phum Viphuritのレパートリーの中でも最も斬新なアレンジで驚かせてくれたこの楽曲はとにかくライヴ映えがすばらしかった。ライヴで聴くとより『In Rainbows』期のRadiohead感がある。

3曲目はSE SO NEONのソユンを迎えた「Wings」。全体のセットの中に組み込むのは少し難しかったかもしれないけど、Phum ViphuritとSE SO NEONが同じ場にいるなら当然演奏するでしょう。ちなみに同月の韓国のフェスINCHON Pentaport Rock Festivalでもソユンを迎えて演奏されましたが、その時はプムのバンドのメンバーがコロナ陽性のためスリーピース編成での出演だったため、フル・バンドでソユンとともに「Wings」が演奏されたのは多分これが初。ジャズを意識してあえて低音ヴォーカルにチャレンジしたこの曲はライヴでは歌いにくそうだったけど、メロウな雰囲気が最高だった。この曲に限らず、Nulbarichとの「A New Day」にしても、Benny Singsとの「Caroline」にしても、他のアーティストとのコラボのときは普段の自分の作風とは違い、何かしらのチャレンジを行なっているようだ。「Wings」はタイ人のファンはみんなだいすきとのこと。

「Softly Spoken」を経てからの「Hello, Anxiety」〜「Lover Boy」〜「Long Gone」は前回と同じ鉄板のセットリスト。声出しの制限があったため、いつもの合唱がないのはさびしかったが、「Lover Boy」や「Long Gone」は多くのオーディエンスが胸の中で歌ってくれていたはず。聴こえなくてもそういうのは雰囲気で伝わると思う。

ラストはデビュー曲の「Adore」。終盤、恒例の楽器スワッピングはやはり最高の盛り上がり。キーボードの2Pがギター、ベースのポンがキーボード、ギターのイッキュウがベース、ドラマーのオームがギター、そしてプムがドラムにチェンジと、メンバー全員がそれぞれのパートを交換。元々ドラマーであるプムのドラムがうまいのは当然だけど、他のメンバーの演奏も以前より随分さまになっていた。

正直、60分は観たかったが、Phum Viphuritの魅力を凝縮した歓喜と祝福に満ちた最高の40分間だった。サマソニに自分の担当アーティストが出演するということは、本来とても非現実的なこと。だけど、今回ばかりは「ついに現実が戻ってきた」と感じた。

2ndアルバム『The Greng Jai Piece』は年内リリース予定。またすぐに会いましょう!

Phum Viphurit 2022.08.20 SETLIST @ AREA DIP 2022 in MIDNIGHT SONIC

1. Funk Jam 〜 Paper Throne
2. Healing House
3. Wings (with So!YoON! from SE SO NEON)
4. Softly Spoken
5. Hello, Anxiety
6. Lover Boy
7. Long Gone
8. Adore





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