130 インテグラル(摺り合せ)型vsモジュラー(組み合せ)型について

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2.インテグラル(摺り合せ)型vsモジュラー(組み合せ)型について
3.ぽん
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5.某Discord
6.インテグラル(摺り合せ)型vsモジュラー(組み合せ)型についての考察
7.
藤本隆宏氏らが提唱した日本とアメリカのものづくりのアーキテクチャ的分類法です。

インテグラル(摺り合せ)型:1機能が多くの部品から構成される、その製品専用に多くの部品を最適設計する、日本のメーカーが得意としている
モジュラー(組み合せ)型:機能と部品がほぼ1対1、標準品を事後的に組み合せる、アメリカのメーカーが得意としている
http://sun-forest.jp/論文/インテグラル(摺り合せ)型vsモジュラー(組/
要するにインテグラル型は専用品、モジュラー型は標準品のコンポーネントを主に利用すると言うことです。

コンウェイの法則「ソフトウエアの構造はそれを作り出した組織構造に従う」と言うのがあります。それを拡張して「製品の構造はそれを生み出した組織構造に従う」と解釈しますと、インテグラル型製品が得意な日本メーカーはそれに対応した組織構造を、モジュラー型製品が得意なアメリカメーカーはそれに対応した組織構造を持っていることになります。本項目では、その組織構造を明らかにしたいと思います。

内向きvs上向き
まず挙げられますのが日本型組織の内向きの傾向であります。内側の論理に固執し外部を見ておりません。それに対してアメリカ型組織は上向きであります。日本型組織に比べてトップの意向が強く大幅な裁量権を保持しております。これが内部構造に凝る日本型組織とトップに頼るアメリカ型組織の違いであります。

包括的契約vs厳密的契約
アメリカ型はキリスト教の教義にある通り神との厳密な契約関係を重視します。それは雇用関係にも影響し、厳密な契約とそれにより与えられた義務を果たす形のモジュラー型組織を指向します。それに対して日本型は絶対的な契約概念を持たないため、お互いの善意を信じる包括的契約となります。そして各自が奮闘するインテグラル型を指向します。

序列vs専門
日本型は上下関係に激しい序列型組織となります。そのため同期、同僚間の横ぐしの連携による組織的連帯が主となります。アメリカ型は左右関係に激しい専門型組織となります。そして実力に裏付けられた上下関係が組織的連帯の要となります。同期間での競争が激しい日本型と、上下間での競争が激しいアメリカ型となります。

これらの組織体系の違いから、得意とする製品体系も自ずと違って来ることになります。
日本型
内向き→クローズドアーキテクチャー
包括的契約→多能工型構造(多対多の構造)
序列→垂直統合型産業構造

アメリカ型
上向き→オープンアーキテクチャー
厳密的契約→単能工型構造(1対1の構造)
専門→水平分業型産業構造

現在のデジタル化、グローバル化(サプライチェーンによる水平分業型国際産業構造)の流れの中で、日本型のインテグラル型製品はアメリカ型のモジュラー型製品に圧倒されることになりました。

(参考)
https://note.com/suzyoshi1/n/n6f9c04cf2c66

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