200318 〈TED〉アンドリュー・ソロモン: 揺るぎなき愛


親として生きるってどういうことなんだろうと考える中で、出会ったお話。このトークの中で、コロンバイン高校の虐殺犯の一人ディラン・クレボルドの母親の言葉が引用されている。はじめてこのトークを見て以来、私は彼女の言葉に打ちのめされ、揺さぶられ、そして今もずっと、揺れ続けている。

私は尋ねました 「もしディランが今ここに居たら 彼に何か聞きたいという気持ちは ありますか?」 父親はこう答えました 「もちろんです どういうつもりで あんな事をしでかしたか 聞いてやりたいです」 スーは床を見つめて しばらく考えていました 顔を上げると 彼女はこう言いました 「私は母親でありながら 彼の内面で何が起きているのか 分かってあげられなかったことを 許してと言いたいわ」

数年後 彼女と夕食を とっていた時のことです 何度も ご一緒したうちの一回です 彼女は言いました 「あの事件があった時 私は結婚して子供を持ったことを とても悔やんでいたわ もし私がオハイオ州立大に行かず トムと出会わなければ あの子は生まれてこなかったし あの悲惨な事件も起きなかったでしょう 
でも ようやく私は子供たちを とても愛していたと思えるようになったの 子供たち抜きの人生なんて 想像できないわ あの子達が他の人に与えた苦しみは 決して許されるものではありません でも 私の苦しみに限っては 許してやろうと思うの」 
「だから もしディランが 生まれてこなかったとしたら 世の中にとって良かったとは思うけど 私にとっては そうではなかったと 思うことに決めたの」
(Transcript/日本語訳より) 


追記(200611)
2016年、スー・クレボルドさん(母親)ご自身のトーク。

この場所に立つまでに、一体どれほどの苦悩と葛藤があっただろう。彼女の語りを安易にまとめたり切り取ったりすることは、とてもできそうにないし、彼女の立場について軽々しく口を開くようなこともしたくない。
一つ一つの言葉が重くのしかかってくるけれど、彼女がこの場で言葉を発してくれたことに感謝したい。