200804 〈広告・TED〉ゼスプリ/サンドラ・アーモット: なぜダイエットは成功しないのか


↓ゼスプリさんの広告。最初に今朝の新聞で目に入り、検索したらツイッターにも同内容の投稿があったので、そちらから引用させてもらった。新聞広告は普段ほとんどすべて読み飛ばすけど、こういう方向性のPRなら増えてほしいなと思う(回し者ではない)。

↓上記投稿より、文章部分の画像

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「ダイエットは、やめよう。」の一文から以前見たTEDを思い出したので、合わせてここにメモを残しておく。

〈内容メモ〉

※TEDGlobal 2013 | June 2013
以下、Transcript/日本語訳に基づくメモ

3年半前に話者は「ダイエットをやめて体重を気にせず、五感で感じながら食事を摂る」という誓いを立て、5kgの減量に成功する。30年間、彼女は様々なダイエットを試してはリバウンドすることを繰り返し、そんな自分を責めていた。そこで神経科学者として、なぜダイエットがそんなに難しいのか、疑問を抱いたという。

▶なぜダイエットは難しいのか
体重は食べた量とカロリー消費量で決まることは明白なのに、多くの人が体重のコントロールに苦しむのはなぜか?
   ↓
・空腹感とカロリーの消費は、ほぼ無意識のうちに脳でコントロールされている
・脳はどれだけの体重が必要か、自分で意識的に信じていることとは別に理解している
・セットポイント:4〜7kgの幅があり、この範囲外に出ると視床下部が体重を制御するように働き、状況が変化しても体重を一定に保とうとする(イメージ例:サーモスタット)
・一気に体重を落とすと、脳は身体が飢餓状態にあると判断し、強力な仕組みで正常と考えられる体重に戻そうとする

・体重が大きく減ると空腹感が増し、代謝が抑制されて筋肉のエネルギー消費量が減る
→減った体重を維持するには、(元から痩せ型の人に比べて)相当な摂取カロリー制限が必要になる

・進化論の観点から見ると、身体が減量に逆らうのには意味がある
→人間の歴史において、飢餓は過食よりも重大な問題だった
→セットポイントは上がりうるが、滅多に下がらない
→ダイエットに成功しても、セットポイントは下がらない
→一時的な体重の増加は、恒久的なものになりうる(数年程度増加状態を維持すると、脳がそれを平常体重とみなす)

▶どうすればよいのか
・食をとりまく環境を変えることが肥満を防ぐ最善の解決方法

・空腹感に反応して食べる人(直感的グループ)と自制心でコントロールしようとする人(自制的グループ)
→前者の方が太りにくく、食べ物のことを考えている時間が短い

・10代前半にダイエットを経験した少女たちは、標準的な体重から始まっても、5年も経てば太り過ぎになる確率が3倍に高くなる
→摂食障害を起こしやすくなる

・身体に良いとされる4つの生活習慣と死のリスクの関係
1.十分な果物と野菜
2.週3回の運動
3.タバコを吸わない
4.適量の飲酒
→1つだけでも良い習慣があれば、リスクを平常レベルに下げられる(すべての条件を満たす必要はない)
→生活習慣をコントロールすれば、体重を減量・維持できなくても健康状態を正常に保つことができる

▶結論
ダイエットはあてにならず、それどころか長い目で見ると、体重を増加させてしまう可能性がある(ダイエット後5年経てば大抵の人は元の体重に戻り、4割の人は元々の体重以上になってしまう)
  ↓
大切なのは、五感を集中させて意識して食べること。身体の発する信号を理解し、空腹のときにこそ食事をとり、お腹が満たされたらそこでやめる、という食べ方に慣れてゆくことが大切

・ダイエットの最大の害は、人生をおかしくすること
→アメリカでは、10歳の少女のうち80%がダイエットをしたことがあると答えている
→ダイエットをしている少女たちに、食べることを恐れるのではなく、食欲のままに自然に食べればいいのだと教えたら、より楽しく健康的な人生が送れるだろう

〈感想〉

数字の部分はアメリカのデータなので、そのまま日本の現状に当てはめることはできないだろうけれど、日本でも過度な痩せ信仰は根強いと感じるし、昨今はSNSで加工・美化されたボディイメージがいくらでも目に飛び込んでくる。とりわけ10代を中心とする若者が自分の身体を嫌悪して無理なダイエットを重ねれば、心身に深刻なダメージを与える危険性がある。

医学的にみて「健康的」といえる体重の数値は存在するのだろう。しかし、人はそれぞれ生まれ持った体質や幼少期からの食習慣、現在のライフスタイルなど、様々な条件と制約のもとで現在の体重に至りそれを維持しているのであり、言うまでもなく何より重要なのは、当人が心身ともに健やかな毎日を送ることである。

他人の身体や体重にとやかく口を出す人間がいれば、それはただ単にその人が無知で愚かなだけだ。自分の身体や体重と付き合っていくのは、あくまでも自分自身である。無責任な言葉に惑わされてはならない。

心と身体が元気であることが、一番大切。
ダイエットは、やめよう。


追記(200814)