201231 〈TED〉イーサン・ホーク: 自分の創造性を解放しよう

まさかTEDで彼にお目にかかるとは思ってもみなかった。拝見する度に渋みが増してゆかれている気がする…一瞬ジョシュ・ブローリンと見違えた。

2020年6月、約9分の短い講演。TEDを見ていると、視聴後すぐに得た知識を整理してメモしたくなるパターンと、見終えたらただそれだけで自然と元気になっているパターンとに分かれる。この講演は明らかに後者のパターンだ。ここで彼の言葉を要約しても無意味だしそれは野暮なことだと思うけど、見てよかったなという気持ちは残しておきたかったので、ただ感想を書くに留める。

見慣れている気がする俳優さんも、あくまでも役を通じて知っているだけで、本人がご自身の言葉で語る姿は案外見たことがないものだなと思わされた。短いながらもエネルギッシュで情熱的な語り。こんな雰囲気の人だったなんて、少し意外だった。なんというか私の勝手なイメージで、もう少し寡黙で沈思黙考型の人を想像していたからだ。それに、ビフォアシリーズ三部作の若干軽薄な優男風の役柄(私見)のイメージが強すぎたし、これまで彼の若い頃の作品を見ても役者さんとして特別な魅力を感じることはなかった。でも、『しあわせの絵の具 / 愛を描く人 モード・ルイス』を見たときに大きくイメージが変わり、少しずつ興味を引かれるようになっていた。今回のTEDでますます興味が湧いた。彼の近年の出演作を見てみたい。

「創造性」という、ともするとTEDでは語り尽くされた感のあるテーマを扱いながらも、自身の体験や家族にまつわるエピソードを複数取り入れて視聴者を飽きさせない展開を作っている。一つ一つのエピソードはさりげなくも印象的なものばかりで、全体としての話の持っていき方が、とにかく上手だと思う。知らなかったけれど、小説を書いたり映画監督を務めたりされたこともあるようだ。まさにストーリーテラー、最後の演出がまた心憎い。まんまと彼の術中にはまっている気がして手放しで感動するのは憚られる気持ちもあるけれど、人の心に響く言葉の用い方や振る舞いを存分に心得ておられるのだろうと感じたのは確かだ。

強いて内容に触れるとすれば、創造性は(命にかかわる)きわめて重要なものであり、それはお互いを癒やすことである( It's vital. It's the way we heal each other.)という言葉が、創造性に対する解釈として素敵だなと思った。私も「道化」になりたい。

↓彼の最新の出演作(2021年3月26日より全国順次公開予定らしい)