200613 エンターテイナーへの思慕
私は、あるミュージシャンが好き。彼は「天然・純粋培養の陽キャ」だなと思う。彼を見ていると、学生の頃の同級生を思い出す。いつも明るく陽気で、自然と周りに人が集まってくる。勉強も遊びも、何でも卒なく(時折「うっかりミスをして友達に助けられる」場面も抜かりなく適度に交えながら)要領よくこなすのに、全然嫌みがなくて、男女問わず教員を含めて文字どおり「みんな」から好かれてて、やんちゃもするけど最後は結局「もー、しょうがないなあ」って笑って許されちゃう、そういうポジションの愛されキャラ。
かく言う私は、偽善的な担任教師に心からの軽蔑の眼差しを注ぐ無口な孤立主義者であり、端から彼は自分とは違う人種だと確信を抱き、遠くから未知なる種の生態を物珍しく思いつつぼんやり観察する、という程度には離れた位置にいた。同じクラスの(主に男子)同級生たちの私に対する目は、こいつちょっと怖そうだから関わるまい、もしくはただの空気、くらいだったと思うけど、彼だけは真っ直ぐな濁りのない瞳で、物怖じせずに声をかけてきた記憶がある。(当時は全然うまく受け答えできなくて、申し訳なかったなと思う)
あのミュージシャンの柔らかくて人懐っこそうな笑顔は、彼の笑顔によく似ている。
要するに私は、彼らのように、己から発する太陽の光が特別なものであるとは全く考えもしないような、まるで愛に疑いの余地などあるはずがないと信じきっているかのような、いわば底無しの明るさをたたえた人たちを、「眺める」のが好きだ。
同じ土俵に立ってどうこうしようとは決して思わないけれど、彼らの平等博愛の精神、他を巻き込んで愉快な場をつくりだす遊び心、そういうエンターテイナーたちのエネルギーに触れると、単純に元気が出るから。ただ、近づきすぎると太陽に焼かれて死んでしまうので、遠くから見守るに限る。