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210511 〈TED〉ブライアン・リトル: 自分はいったい何者なのか―性格の謎を解き明かす

〈内容メモ〉

※TED2016 | February 2016
以下、Transcript/日本語訳に基づくメモ

▶話者の専門は人格心理学

▶特性論(頭文字をとってOCEANと呼ばれる)
=人格科学で最も影響力のあるアプローチの一つ。正規分布した5つの尺度に個人を当てはめることで個々の違いとして普遍的に現れる側面を描き出す

→Open(好奇心旺盛な人⇔保守的思考な人)
→Conscientious(勤勉な人⇔意欲がない人)
→Extroversion(外向的な人⇔内向的な人)
→Agreeable(協調性のある人⇔協調性のない人)
→Neurotic(神経質な人⇔泰然とした人)

▶3つの気質
→生体由来の気質(神経生理学的な性質)
→社会由来の気質(後天的に身についた気質)文化、社会面に関連
→個人由来の気質

▶内向型と外向型の違い・各々の特徴について
〈外向型〉
・刺激を必要とする(大音量、パーティーなど)
・カフェインが内向型よりも効果的に働く
・たくさんの人と近い距離で出会おうとする
・近くに立ってアイコンタクト、じっと見つめ合いたがる
・よく人にあだ名をつける
・白黒はっきりした、具体的でシンプルな言葉を好む
〈内向型〉
・できるだけ刺激を少なくする(非社交的とは限らない)
・相手から親密にしていいという許可が出るまで距離をつめない
・修飾句の多い、わざとぼかした言い回しを好む

▶人間は特性のみによって分類されるのか
→我々の個性を作るもの=パーソナル・プロジェクト
自分にとって譲れないこと(例:母親が病気の子供を病院で診てもらう)のために、普段とは打って変わって人物が豹変するように見えることがある
→「自由特性」=人生の中核にあるコア・プロジェクトを進めるためにスクリプト(場面に応じた振る舞い)を実行すること
→コア・プロジェクトは自分の気質とは異なる振る舞いをすることを可能にする。ただし、使いすぎには注意すること

〈感想〉

ユーモアに溢れた楽しいお話。表現が適切か分からないけれど、そのまま映画に出てきても良さそうなくらい、とてもチャーミングな「プロフェッサー」。こんな先生が大学にいたら講義も討論も楽しいだろうな…

人格心理学の内容については、一般向けに分かりやすく語られている。私にとって特に重要だったのは、「個性を形づくるものはパーソナル・プロジェクトであり、人は人生のコア・プロジェクトのために自由特性を発揮することができる」と指摘されていた点だ。特性論はまだしも、私には類型論に引きずられて絶対視してしまっているところがあったので、非常に反省を促された。類型論はわかりやすく人間理解の枠組みを与えてくれるものだけど、人間をわずか数種の分類の型に押し込めることはできないし、パーソナリティの多面性や変化が見落とされやすいという類型論の短所は、既に十分指摘されてきたはずだ。

私も話者と同じく自分は内向型だと自覚しているけれど、困難に直面したときにそれを言い訳に使っていないか、省みるようにしたいと思った。もちろん、自分の気質を知って実生活の中で役立てる視点を持つことは大事だ。でも、「私は内向型だから」と自分に言い聞かせて何かを諦めたり努力を怠ったりするのは、やはりおかしい。少なくとも、私はそんな(不適切な)形で人格心理学の知見を利用したくはない。迷ったときや失敗したとき、自分の内向性にその理由を求めるよりもまず、「私のコア・プロジェクトは何か」と問えるようになりたい。