200731 〈TED〉ルーシー・ホーン: 心のレジリエンスを高めるための3つの秘訣

〈内容メモ〉

※TEDxChristchurch | August 2019
以下、Transcript/日本語訳に基づくメモ

話者は10年前にレジリエンス(心の回復力)について研究を始め、アメリカ兵の心の健康維持のための訓練プロジェクトなどに携わってきた。しかし、不慮の事故で12歳の我が子を亡くすという経験に直面し、身を以てレジリエンスを試される事態に陥った。
悲劇的な体験から5年の時を経て、話者は「逆境から立ち上がることは可能であり、然るべき考え方と行動をとることによって、つらい時期をしのぐことはできる」と断言する。レジリエンスを高めるための方法として、以下3つのポイントを指摘している。

●レジリエンスの高い人たちの3つの特徴
1.悪いことが起きることを知っている
→現実に幻想を抱くことなく、苦悩はあらゆる人間にとって存在の一部であると受け止めている
→厳しい現実や不幸に直面しても、それを不公平なものだとは考えない

2.どこに自分の意識を向けるかしっかり考えて選ぶ
→現実的に状況を把握し、自分が変えられることに注意を絞り、変えられないことは受け入れている
→この態度はレジリエンスを高めるためにとても大切なスキルであり、学習可能である
→人間は進化の観点(生存可能性を高めるため?)からみると、脅威や欠点などのネガティブなことに敏感に反応するプログラムを備えている。現代人は継続的に脅威に晒される時代に生きているため、良いことの方に気持ちを切り替える力が必要となる

心理学:有益性の発見(自分の素晴らしい新世界の中で、感謝できることをなんとか探し出そうとすること。意識の焦点を肯定的なことに変えること)

3.「今してることは自分を助けているか傷つけているか?」と自問する
(=自分のしていること・考えていること・振る舞いが、自分を助けているのか苦しめているのかを考える)
→良いセラビーでよく使われる質問、非常に効果的である
→努力に対する考え方や行動など、あらゆる状況に応用可能
→これにより、自分の意思決定をコントロールしやすくなる

以上3つの方法はいずれも、いつでもどこでも実践可能である。必要なのは、やってみようという意欲だけ。「この方法で苦痛がすべて消えるわけではないけれど、それは非常に役立つものであり、悲しみながら生きることは可能であることを明らかにしてくれた」と話者は言う。

〈感想〉

・1つ目(苦悩の受容)について
→順風満帆に見える人生を送ってきた人が、一つの失敗や挫折で一気に心の健康を損なってしまうという事例を目にすることがある。自分は「不幸」とは無縁だと思っている人ほど、いざ「不幸」が身に降りかかると、対処方法がわからず途方に暮れてしまうのかもしれない。

・2つ目(意識の向け方)について
→これと似た指摘は各方面で見かける気がする。「変えられることに集中し、変えられないことを受け入れる」というシンプルかつ強力な知恵の起源をたどれば、ストア派に行き着くのだろうか?いずれにせよ、方法としての有用性の高さは自明だと思う。

・3つ目(自問すること)について
→人はみな常に何らかの形で努力していると思うけれど、その努力を正しく(自分を元気にできるように)方向づけるのは、簡単なことではないとも思う。今している努力が、心身を健康にしているか、本当に自分をよりよくするものなのかを問うことは、危機的な状況に限らず、常日頃から意識したい点である。