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日本文学全集『源氏物語上』読書会

双子のライオン堂書店では河出書房新社日本文学全集をすべて読む読書会を行っています。

2018年1月13日に『源氏物語上』を課題本に読書会を行いました。

9人の参加者と共に紫式部の描いた小説世界について感想を話し合いました。

与謝野晶子、谷崎潤一郎、田辺聖子、瀬戸内寂聴、アーサーウェイリーなど他の訳者で本作について親しんだ人から初めて挑戦した人まで様々な参加者で盛り上がった会になりました。

課題の範囲は一帖「桐壺」から二十一帖「少女」まで。光源氏の放埓で華麗な様子が描かれ、後に繰り広げられる彼を巡る人間模様についてことのはじまりが納められています。最後に載っている「少女」では光君から息子である夕霧へ橋渡しを匂わせる区切りがつき、次巻へ続くという構成になっています。

今まで数多の作家が現代語訳に挑んできた『源氏物語』ですが、今回の角田光代は特に冷静に作品を提示しているように思います。過剰に各キャラクターを描くことなく、鳥瞰するような視座はこれから『源氏物語』に挑戦しようする若い読者も違和感なく足を踏み入れられるであろう文体でした。

読書会では、マンガ『あさきゆめし』の話題に触れたり、各自がどの登場人物に思い入れがあるかなどが話題に上がりました。また1000年前の作品でありながら今日的な悩みに共感可能なことも話しました。ゴシップを好む人間性や愛や政治に惑う人々は10世紀後も同じです。

河出書房新社『源氏物語上』のおまけが人によって異なることに驚きました。初回の購入者には源氏物語のシーンが書かれた栞と源氏香(?)のおまけがついてきました。栞の文章も香りも購入者によって違ったようです。読書会で他人の本を見なければ気が付かなったことでしょう。

『源氏物語中』の読書会は夏に行われる予定です。ご参加お待ちしております。


咲きてとく散るは憂けれどゆく春は花の都を立ち帰り見よ


(記事執筆:tanaka)

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