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ライオン堂連句「いもむしの夢」

双子のライオン堂では、毎年連句会を行っています。

連句とは、俳句をつなげていき、この世界のあらゆることを表現してみようという古くからある遊びです。

複数の人たちで集まり、前の人が作った句に対して、次の句を考え、新しくできた句に、更に次の句を作って……と続けていきます。前の人のイメージに近づきすぎず離れすぎず句の世界観を広げていきます。

誰でも楽しむことができる連句会、ぜひご参加ください。

2014年にライオン堂で行った連句会で出来上がった句を掲載します。


ライオン堂連句「いもむしの夢」

ひまわりの 種がたびする ひかり川
麦茶片手に招き入れる手
柱に背 測る瞬間背伸びして
本棚の上探す思ひで
三日月で聞こえた歌は誰の声
いもむしたちの照れる横顔
唐辛 加えて振るう中華鍋
新米もらい手紙をつづる
純真の 思いを隠すチマチョゴリ
川をへだてて離れ行く心
雨の日にしずくをためるガラス瓶
宴の席に取り乱す男
泣き虫の小僧もいまは人の親
大晦日 神社で食べる 椀の月
あの世でも見る 鷹の初夢
手を合わせ そなえた肉を拝借し
家に帰ってひとっぷろ浴びる
風吹かれ ほした着物に庭の花
かえるよこぎる小道を歩く
山ウドが薫る土から顔を出す
金脈を掘る 親方のこぶし
高笑い 酒池肉林のラスベガス
夢から覚めて 虫になる俺
墓参り 隠れミッキー探す孫
碁盤にゆれる影夏暖簾
映画館ではモノクロの町
休日はローマに行って二人乗り
千フィートでの永久の約束
狭い家 ラフマニノフの曲が鳴る
鈴虫の翅透かし見る月
夜なべして メガネの下にクマできる
一人さみしく神の留守番
ドアの外には輝く太陽
らくだ乗り三蔵法師の後を追う
書物から出る方法探す
花の束 鍵を隠して 投げつける
四月ばかだと今になり知る

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