海猫沢めろん『キッズファイヤー・ドットコム』読書会
2018年1月21日『キッズファイヤー・ドットコム』の読書会を行いました。
今回の課題本は第39回「野間文芸新人賞」候補作にもなった話題作です。
二つの作品が収録されており、歌舞伎町のホストが突然現れた赤ちゃんをクラウドファンディングで育児していこうとする「キッズファイヤー・ドットコム」、その未来が描かれた「キャッチャー・イン・ザ・トゥルース」の両作品について話し合いました。
当日の話題は、子育てに悩む人々に対するアプローチなどの社会的実践についてや子供が出てくる作品(漫画やアニメ)についての話題、テクノロジーの進歩速度と陳腐化についての話、文学作品(フィクション)のメッセージ性について、本書に含まれる文学に対するパロディー要素など多様なものとなりました。
『キッズファイヤー・ドットコム』に出てくるテクノロジーとそのアイディアは今日から見ると抵抗感のないモノになっているかもしれません。しかし、子育てに対する人々の苦悩と矛盾は普遍的です。
その苦悩に対してこの書籍に提示されているアイディアや不機能性は様々あるのですが、大きな動力となっているのがSNSの炎上的な勢いと新しい知識人の視座です。この作品はSFとしても読むことが可能ですが、最もSF的(思弁的で創造的)な要素は未来世界を描いている点ではなく、新しい知識人が社会を牽引していく様子だと思いました。
双子のライオン堂書店では海猫沢めろんの選書した書籍を見ることができます。また海猫沢めろん×ムツキキョウのアナログゲーム制作サークルの作品も販売しています。
(記事執筆:tanaka)
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