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IV. 黙示録の7シリーズに秘められた預言④ ラッパと鉢の間(1):教会の戦いの救済史的背景(12章)

改めて… 4章で天の御座が開かれ、そこで神から子羊へ、封印された巻物が渡され、終末の新しい歌が始まったのが5章。6章ではその封印が解かれるのとあわせ、巻物を取り巻く人類/世界の歴史が、総括的に明らかにされます。そうして、巻物の内容が、御使いを通してヨハネ(~教会)に与えられ、ラッパによる備えの時の啓示、それから、鉢によってもたらされる完遂の啓示へと、終末の展開が提示されます。その流れの中に敢えて挿入されている箇所にこそ、教会の救済史的位置づけ(7章)、そして教会が礼拝に与りつつ、預言を担い、伝えるという召し/働き(10-11章)が明らかにされている――と見てきました。

では、教会が受け、語るべき預言の内容は何なのか? それが、「大きなしるし」をともなう幻として与えられます(12:1, 3; 15:1)。後者は最後のわざわいであり、神と子羊の怒りの日(=7つの鉢)についてです(15-16章及び17章以降のクライマックス)。では、その前に提示される「大きなしるし」の幻は何なのでしょうか? 結論から言うと、そこにこそ、終末の完成へ向けて、教会が勝利を得るために、耳を傾けるべき預言のメッセージが秘められているのです(12-14章)。

2つの「大きなしるし」
➊12:1, 3(12-14章)   
➋15:1(15章~ 7つの鉢)

救済史の総括と教会

12章で明らかにされるのは、天からみた救済史の物語、そして教会に挑まれる戦いの経緯です。天の視座から描かれる壮大な降誕物語とも言えるでしょう。前半(12:1-6)は救済史の大筋を、後半(12:7-18)は、後半はその最終段階である終末の時代(子の復活とその後)――つまり、ヨハネ(また教会)にとっての”今”を描きます。

最初に登場する「女」は、救い主キリストを産んだ者として描かれています。12:5の「鉄の杖であらゆる国の民を治めることになっていた」とは詩篇2:9の救い主待望を示唆するもので、「神のみもとに、その御座に引き上げられた」とは、十字架での死を超えた復活~昇天のイエス・キリストに他なりません。この女は、キリストの母マリヤと捉えることもできますが、救い主の待望を宿してきた神の民(イスラエル、シオン)を象徴的に体現するものととらえることもできるでしょう。冒頭の太陽と月と12の星の冠の描写(12:1)に、ヨセフの夢物語(創世記37:9)との類似がうかがわれ、また、神の民の救いの待望が産みの痛みに例えられてきたこと(例えば、イザヤ66:7-9; ミカ4:9-10)からです。さらには、この女(神の民)にこそ、創世記3:15-16の原福音の約束が託されていたとも受けとめられるからです。

一方、7つの王冠をかぶる頭と10本の角を持つ大きな竜(12:3)は、「古い蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれる者、全世界を惑わす者」(12:9)で、キリストの死と復活によって神の救いと力が現された結果、天では存在しおおせず、地で女(神の民)の「子孫の残りの者、すなわち、神の戒めを守り、イエスの証しを堅く保っている者たち」(12:17)、つまり教会に、戦いを挑むと言われます(cf. 11:7; also 第一ペテロ5:8-9)。(この7つの頭、また10本の角がそれぞれ何ないし誰を意味するのか、議論は尽きないですが、ヨハネにとっては、当時のローマ帝国がその具現化として映ったことは確かでしょう。 )そうであっても、教会には、神の養いがあり、助けが備えられているというのです。

教会の真髄は、世々、神の庇護下にあり、サタンは触れることができず、滅ぼされることは決してない――幾多の苦難においても、不思議に諸々の助けがあり、敵を逃れ、生き延びるのです。ただし、教会は、実のところ、常に戦いの只中にあり、戦いを挑まれ(てい)るという現実は心すべきでしょう。教会、キリスト者は、続く13章に記される敵を、ある意味では醒めた目で見定め、戦いに臨む覚悟が求められるのです。とはいうものの、いかに激しく、困惑する戦況が繰り広げられるとしても、究極的には、敗北者との戦い、すなわち、勝利がすでに定まった戦いであり、それにどう組みするか――敗北者とともに陥落、脱落しないよう、いかに勝利を治めるか――という問題なのです。

この12章(特に12:17-18)を受けて、13章では、教会が直面する敵の正体と手法が暴かれます! 

【補足】以下、思い立った時に、ポチポチ補足しています。脈絡を気にせずご参照ください。

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◆トップ画像
https://www.riverheightsvineyard.org/sermon-archive/2019/9/3/a-year-of-good-news-revelation-12-gay-narron

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