動画補足記事:「Sigma fp meets Snow Peak: ミニッツドーム Pro. Air 1 の夜」にまつわるあれこれ
今回の「人と接触しない平日ソロキャンプ」では、
- Sigma fp の「素の画作り」の真価を見極める(カラーモード:OFF)
- ミニッツドーム Pro. Air 1 を中心にスノーピークギアで楽しむ
という二つのテーマで、五光牧場オートキャンプ場にお邪魔してきました。
五光牧場オートキャンプ場
五光牧場オートキャンプ場は長野県南佐久郡、八ヶ岳の麓に広がる野辺山高原に位置する、広大な芝生のキャンプサイトです。元は牧場ということで区画を切らずに自然の地形そのままを解放していて、広い空の下、丘の上、木立の中、好みの場所で自由にキャンプができる最高のサイトです。特に夜の星空は素晴らしくて、その条件の良さは、「近くに野辺山宇宙電波観測所がある」という超一級の折り紙付きです。
傾斜地が多いのと、広大すぎてあまり離れるとトイレが遠くなりすぎるのが難と言えば難ですが、そのトイレも設備はかなりしっかりしていて家族連れの方などにも問題なくお勧めできる感じのキャンプ場だと思います。
Sigma fp の「素の画作り」
さて、一つ目のテーマですが、今回の動画は全編を、2020年6月リリースのファームウェア Ver. 2.00で追加された「カラーモード:OFF」で撮影しており、ほぼ全てのカットを「画像無加工」のままで編集しています。
Sigma fpのカラーモードは「ティールアンドオレンジ」など非常にハイレベルなものが色々搭載されていてそれはそれでもちろん素晴らしいのですが、今回は、あえてそれを一切使わずに「撮って出し」の「素の画」をそのまま使っているわけですが、どうでしょう。個人的にはこの落ち着いたトーン、光と影の捉え方は、非常に好ましく感じます。というか、むしろ今までああでもないこうでもない、とカラーコレクションとカラーグレーディングに使ってきた時間は一体なんだったのか、という気さえしてきます。
いくつか動画からのキャプチャーを貼っておきます。(1枚目はNDフィルターをつけて撮っているので、左側の青については少しその影響が出ているかもしれません)
今回、ちょっと地味な画画が多いのですが、この落ち着いたしっとりとしたトーンは、もちろんカラーグレーディングのベースとしても優れた素材となりうる一方、そのままでも全然アリというか、むしろ下手に手を入れるのがもったいない気さえしてきます。というか、これが撮って出しの動画なんだなぁ…
ちなみに、星空のタイムラプスのカットも、今回はあえてRAW画像をLightroomでそのままJPEGにエクスポートしただけの、「撮って出し」で作っています。(設定はISO1600 f/1.4 SS:20秒で、25秒インターバル=撮影間隔5秒)
Sigma fpによる撮影の裏テーマ 「手持ちAF」
実は今回、「素の画作り」に加えて、もう一つ、個人的に試したかったポイントがありました。それが「手持ちで動く撮影」と「AFの投入」です。これまでは基本的に三脚を使って、MFでフォーカスを固定しての撮影をしてきていたんですが、撮影の幅を広げる意味でちょっと新しいことに手を出してみたわけです。
結果はまぁ、「試してみました」としか言えないというか、まだまだ全然、実戦投入できるレベルではない感じで、コンティニュアスAFの切り忘れとか、本当ならボツにすべきカットがけっこう含まれています。(申し訳ない限りです)
とりあえず今回、手持ちの撮影は撮影者側にまだまだ鍛錬が必要で、AFについては使いどころの選定も含めて、それを生かすためのノウハウがまだまだ足りていない、ということがはっきりしたので、今後しばらく重点的に鍛えていきたいと思っています。
スノーピーク ミニッツドーム Pro. Air 1 について
このところずっと、「ブッシュクラフト!」というほどではないにせよ、どちらかというとそちら寄りで、バックパックひとつに収まるキャンプを続けてきていたんですが、そもそも改めて振り返ってみればわたしが最初に自前で買ったテントはスノーピークの一人用テント、「ヘキサイーズ 1」だったのでした。最近、出番がありませんがヘキサイーズはかなり気に入っていて、テントは張りつつも基本はその外で過ごす、という自分のスタイルは、ここから始まっている気もします。
今回のミニッツドーム Pro. Air 1 はスタイルは違うもののやはりソロ用のテントで、約3kgという軽量・コンパクトさと設営の簡単さが売りになっています。
実際に試した感じで言うと、確かに設営は簡単で、作業としてもかなり楽です。ヘキサイーズもシンプルはシンプルなのですが、タープの位置決め、張りの調整はやはりそれほどシンプルな話ではありませんし、中にインナーテントを吊るして固定する時の作業姿勢がけっこうしんどかったりします。その「作業姿勢」による負荷、と言う観点では、このミニッツドーム Pro. Air 1はかなり楽で、特に「インナーテントは初回取り付けたら後はつけたままでいい」というのが最高です。個人的にテント/タープの中に潜り込んで「中腰やしゃがんだ姿勢であれこれやらされる」というのが激しく苦痛に感じられるんですが、このテントはインナーテントがそういう形になっているので、2回目以降はかなり楽になるんじゃないかと思います。懸念というか、次回、グランドシートのループをフライシートのペグにかける部分がどんな感じか、というところを確認しておきたいと思います。
あともうひとつ素晴らしいのが、インナーテントのファスナー開口部が正面以外にもサイド両方に切ってあって、すべてメッシュカバーが付属した二枚張り構造になっているところです。人の出入りは想定していないと思いますが、メッシュは残して虫は避けつつ風を通したり、コットやマットなどの嵩張るものを横から出し入れしたり、と便利に使えます。
他にも寝る態勢に入った時の枕元にメッシュポケットがあったり、ランプを下げたりする小さなループがあったり、とインナーテントの中の居住性はかなり高いレベルで考慮されている辺りがスノーピークっぽくていいですね。
各所のレビューで言われている「収納ケースが大きい」という点ですが、確かに、本気でたためば収納時体積は半分くらいにできるんじゃないかという気がします。ポールが収納時も割と長さがあるので別扱いにする必要がありますが、ペグやポールはタープ用のポールなどと合わせて別収納にして、本体はギリギリまで小さくして8Lの薄型ドライサックに入れるとか、そういう運用もありかもしれません。どこまで小さくできるかはその内、試してみたいと思います。
その他のスノーピークギア
今回は「スノーピークな夜」というコンセプトだったので、動画中には他のスノーピークギアがチラチラと映っています。参考までに、リストアップしておきます。
・焚き火台Mスターターセット(相当)
個人的なお気に入りは「ローチェアショート アイボリー」で、こういうオートキャンプで荷物を好きなだけ持ち込める時にしか使えないんですが、Helinoxなどの折り畳み式のキャンプチェアと違い、座面のサポートがしっかりしているので、長時間座っていても疲れにくいのがいいですね。
ソロキャンプのスタイル
何度か書いてますが、わたしがキャンプに行く時は基本ソロで、かつ「撮影機材と食材以外のギアはバックパックひとつに収める」というのが基本方針です。そうすると必然的に寝泊まり部分はハンモックとタープとか、シェルター系になりがちで、それは「外で一夜を過ごす」ということを堪能するという観点ではむしろ望ましいというか、目的に合致・特化したスタイルなんですが、その分、犠牲になっている部分というのは当然あって、設営・撤収はむしろ構造をシンプルにしている分、大変になっているところもあります。
特に撤収の方は、バックパックに収めるために切り詰めて確立した「パッキング」を「現地」で「使用後の汚れたギア」に対して同じように再現しないといけないのが割と手間だったりします。最適化したパッキングは往々にして「厳密にその形にしないと成立しない」形態だったりするので。(この辺は、まだまだモノが多いせいではあるのですが)
もちろん趣味のソロキャンパーには「その手間を楽しむ」という無敵の防御があるわけですが、雨の後とか、チェックアウトの時間がタイトな時などもあるわけで、そういう時にはやはり余裕がなくなってしまいます。
それに対して今回の「スノーピークな夜」的な方向性は、別にグランピングのような贅沢さに倒れるわけではなく、あくまでシンプルでミニマルなソロキャンプのラインは守りつつ、設営・撤収の利便性、居住性、快適さというところに、豊かなゆとりをもたらしてくれます。テントもテーブルも椅子もトランクから出して置いてワンアクションで広げるだけ、撤収時には同じくワンアクションでたたんでトランクに戻すだけ、ということで手間を極限まで省いてくれつつ、居住性・快適さも圧倒的に高いわけです。
個人的にこの辺りは、キャンプで何を楽しむか、というところの根幹に関わるポイントだと思っていて、たとえば価値観のひとつの軸として、
キャンプという場でどんな時間を過ごすか
v.s.
キャンプという場で何をするか
という構造を考えた時に、わたしは普段、後者の比重が大きいんですね。あれこれやる、ということを楽しんでいるというか、もっというと、「能動的にあれこれしないと、そこで過ごす時間自体がそもそも成立させられない=生存できない」という状況を楽しんでいるわけです。
かたや、今回のスタイルでは、何かをする行為はそれはそれで楽しみつつ、その前提となる土台、環境を成立させる部分については労力を省き、「キャンプの時間」はすでに与えられたものとして、それを堪能することにシフトしています。
今後もやはり「何かの課題をわざわざ設定して、それを達成するためにあれこれやって特別な時間を自力で『作る』」ということに重きを置いたスタイルを基本線にしていくのは変わらないと思うのですが、ずっとキャンプをやっていくのなら、たまにはこういう「日常とは異質な、特別な時間をただ『過ごす』」ためのキャンプを挟んでいくのも、それはそれでありだな、と今回改めて思いました。
まとめ
最近、note.com公式の「記事の書き方ガイド」的なものを改めて読んでいて、記事の最後にまとめをつけよう、みたいなことが書いてあったので、まとめておきます。今回のポイントは、
・Sigma fpの「カラーモード:OFF」は素敵
・ミニッツドーム Pro. Air 1 は素敵
・スノーピークで手間を省いて快適に過ごすスタイルも素敵
・どうあれ、キャンプは素敵
の4点です。それではまた、次のキャンプで。