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ゲイのポップシンガーとデザイナーのがちんこのケンカで同性婚の広がりを感じる

イタリアのデザイナーコンビ、ドルチェ&ガッバーナとイギリスのポップ公、エルトン・ジョンがLGBTの家族のあり方について、ケンカしているようです。

コトの発端は、D&Gが地元イタリアのテレビ取材を受けた時に、こういう発言があったとか。(元のイタリア語の細かいニュアンスまではわかりませんが、英語で読んだ記事だとこんな感じ。)

「私たちはゲイカップルが養子を迎えることに反対。伝統的な家族だけが本物」

「誰にでも生まれた時にお母さんがいて、お父さんがいる、そうあるべき」

「家族ってのは流行りで作れるものじゃない。そこには神秘的な絆があるんだ」

つまり同性婚で養子を迎えるような家族はsynthetic(人工的、まがい物)だと言ったそうな。

でもドメニコ・ドルチェもステファノ・ガッバーナもばりばりのゲイで、二人は何十年も仕事だけでなく、私生活でもパートナーだった過去を持つ。それでも同性婚や養子縁組に反対なんだなぁ、とちょっとビックリ。そういうところはやっぱりイタリア人だからなのかなぁ。

先日もツイッターで知り合いが日本人とイタリア人が似ているところを挙げていたのだけれど、私もイタリア人社会が高齢者に優しくて若者に厳しいのは日本と似ていると思う。カソリック教徒がほとんどなので、ヨーロッパの中でも保守的。家の中では男性上位で、かつ男はマザコンで、自分が結婚する女性には貞節を求めるくせに、そうじゃない女性(日本から来ている女性観光客とか)にはヒューヒュー姉ちゃん、一発やらせてよ〜、みたいなのが挨拶だと思っているからねぇw

車でも服でも、デザインに関しては斬新でセクシーなものを作るくせに、家族に関する考え方が保守的だよなぁ、と日頃から思うことが多いので、ゲイといえども、ドルチェ&ガッバーナみたいな感じなんでしょうかね。

これがイギリスのテレグラフ紙で紹介されて、エルトン・ジョンの逆鱗に触れたらしい。彼は昔、女性と結婚していたことがあったり、自分のことを「バイセクシャル」と呼んでいたこともあったけれど、それはカムフラージュだったことを認めていて、今はデイヴィッド・ファーニッシュといういわゆる一般人のパートナーがいる。昨年春にイギリスでも同性婚が認められるようになって、さっそく入籍した。そして、代理母が出産した息子が2人いる。

エルトンは自分のインスタグラムで「よくも私のビューチフルな子供たちをsynthetic呼ばわりしてくれたな。そして代理母の体外受精にも文句をつけたな。代理母のおかげでゲイだけでなく、子供を望む多くの人の夢を叶えられてきたのに。もうそういう考え方は旧い。君らのデザインする服と同じでな。もう絶対ドルチェ&ガッバーナなんて着るもんか」と宣戦布告、ブランドのボイコットを呼びかけた。

これに対し、D&G側は、家族に関する発言だけが歪曲されたと言っており、自分の意見に賛成しないからといって、ボイコットを先導するような権力ふりまわすのはどうよ?と答え、正式に「自分たちの価値観を答えただけであって、人の生き様や選択を批判したわけではない」とコメントを発表。

ゲイの人たちにもいろいろな考え方があって、同性婚を求める人もいれば、シビル・ユニオン(結婚に準ずる一部の法的権利をパートナーに認める)で十分という人もいるだろう。なにもゲイだからといって、等しく同じ考え方に統率されなければならない、一丸となって戦わなければならない、という時代を通過したんだなぁ、と痛感させられるケンカでした。

それが日本だと、最近ようやくネズミーランドで2人揃ってウェディングドレスを着たレズビアン・カップルがいたり、渋谷で同性パートナーシップ制度の条例案が出たり、LGBTの公民権が認められるようになる兆しがあったかと思ったら、渋谷でヘイトデモですか。

もてないキモウヨ君とセックスレスのウヨおやじどもが、他人の幸せをやっかんでみっともないったらww と思ったら、頑張れ日本!系のバリバリ右翼がバックですか。

ちなみにアメリカのお茶会連中も同じ価値観。「伝統的な家族」じゃないと国が乱れるとか、自然が許さないって主張。でもそれもこの4〜5年でだいぶ様相が変わってきてて、西海岸、東海岸のリベラルな青い州では既に同性婚が認められているところが多く、南部がまだ(無駄な)抵抗をしている感じ。同性婚を禁じる法律を作っては法廷で却下されてて、そのうち最高裁で決着が着くでしょう。

でもさぁ、お父さんがいて、お母さんがいて、つがいでカップルになって、生涯浮気もしないで、子供を産むのがずっと伝統的かっていうとそうでもないし、全然そうじゃない宗教や伝統もあるし、自然界でもそうじゃないのが多いし。結婚なんてお役所の決まりにこだわるのは人間だけだしねぇ。

ちなみにアメリカだと、モルモン教は(今はいちおう禁じているけど)少し前まで一夫多妻が許されていたし、アラブの一部だと養えるんだったら妻は4人までオッケーってのもあるし。日本だって、江戸しぐさとか(笑)道徳的なこと皆さんでやってた同じ時代にお殿様には大奥があってよりどりみどりだったわけだしねぇ。

じゃあ、子供に恵まれない夫婦はアウトなんですか?って話だし。オシドリは実は全然「おしどり夫婦」じゃなくて、毎年相手をとっかえひっかえするらしいし、生涯同じオスメスのパートナーで過ごす動物は少なくて、人間にいちばん近いとこだとテナガザルがそうだと言われていたけど、調査の結果、例外もあるとわかったそうだし、鳥だと、オシドリじゃなくて、白鳥や白頭ワシやアホウドリぐらいらしいですね。あ、あとマンソン住血吸虫は生涯パートナーは一匹だそうで。

ついでに出版業界関連の話題でいうと、日本語版も出ている児童書『タンタンタンゴはパパふたり』(原題:And Tango Makes Three)はここニューヨークのセントラルパーク内の動物園にいた2羽のヒゲペンギンの実話に基づいてます。仲良しのオスのペンギン2匹が、子どもほしさなのか卵ぐらいの大きさの石を温めているのを見て飼育係が雛をあてがったところ、2匹で仲睦まじく可愛がって育てたという話。初版が2005年ということで、それ以来、この本はずっと保守的な地域で「禁書」にされてきた曰くつきの絵本。

そしてもう1冊、LGBTの子育てをテーマにした草分けの児童書、Heather Has Two Mommies(ヘザーちゃんにはママが2人、日本語版はないみたいですね)は初版が1989年(四半世紀前!)と、古いのですが、この度、お色直しをして改訂版が出たばかり。時代の変化に合わせて、イラストでは2人のママの指には指輪が描かれていて、結婚しているレズビアンカップルであることを暗示してるんですね。

 

ある意味、私も伝統的な結婚制度とは縁のない人間なわけだけど、結婚したい人たちが男だろうと女だろうと、子供を持とうと、持つまいと、やっかむ気もないし、ケチをつける気もない。みんなお幸せに、子育てガンバレ〜と願いたい。

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