手書き分光器光路

note 53: 分光器設計 その4_edit1-190830

note 53: 分光器設計 その4_edit1-190830

前回に引き続き、平面回折格子を使った分光器設計について説明していく。

「The Optics of Spectroscopy」という小冊子でした。
JABIN YVON-SPEX
https://web.mit.edu/8.13/8.13d/manuals/Hydrogenic/jy-theory-optics-spectroscopy.pdf

2.10 Exit Slit Width and Anamorphism

分光器の非点収差.png

一般的な分光器は入射スリットに円形で入射しても射出スリットで射出される。普通は縦長の楕円上のスポットで射出される。
分光器(モノクロメータ)の原理上、入射スリットと射出スリットが必ず必要である。但し、ポリクロメータの場合は射出スリットが無く直接検出器上に光が分光分散されている。

では、何故入射されたスポット形状と射出されるスポット形状がちがうのだろうか。

原因は、note 50: 分光器設計 その1_edit XX-190828で説明した分光器の構成要素の、2.、4.のミラーにある。

2. 1.で広がった光をミラーで平行光にする。
4. 回折格子で反射した光は波長毎に回折する方向が変わり平行光として反射される。

ここに使う凹面ミラーは入射角に対してある角度傾いている。そうすると、ミラーの焦点距離の縦方向と横方向で焦点距離が変わってく。これを、非点収差と呼ぶ。

分光器では波長分散する方向に、入射スリット、射出スリットの開閉方向をそろえてある。分光器は所望の波長成分だけを正確に取り出す装置なので、当然凹面ミラーの横方向の焦点位置がこれに一致する様に設計されている。そうすると必然的に縦方向では焦点位置がずれてデフォーカスした像になる。

より高性能の分光器(イメージ分光器等と呼ばれる)はこの非点収差を少なくするように、二枚のミラーにトロイダルミラーを用いている。トロイダルミラーは縦方向と横方向で焦点距離が違うミラーで、入射各に対応して設計すれば非点収差をキャンセルできる。

#分光器


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