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「LINEジャーナリズム賞 23年2月〜4月期」発表!選ばれた"心を動かす"記事を紹介

2023年から四半期に分け実施している「LINEジャーナリズム賞」。さまざまな社会問題を題材として、読んだ人の心を深く動かした記事を閲覧数やSNSでの拡散数、ユーザーアクションなどをベースに選考し表彰しています。

今回は23年2月から4月にLINE NEWSに配信された、100万本を超える記事の中から3本を選出しました。

東日本大震災によって生業を失った酪農一家が再起するまでを追った福島中央テレビニュース、いじめを巡る大人たちの対応に失望した2人の13歳の悲痛な叫びを紡いだMBSニュース、そして歌舞伎町「トー横」や大阪「グリ下」に集う若者の抱える孤独や問題に深く切り込んだTBS NEWS DIGの記事。心を動かす3本を紹介します。


「地獄絵図」にうなされても…夢追う息子に誓った牧場の再建「僕の代で潰すわけには」

福島中央テレビニュース(2023年3月5日掲載)

編集部コメント

あの原発事故が酪農一家をどう変えたのか、「震災から12年」のような一言ではとても片付けられない日々の重さを突きつけられました。

全村避難に涙ながらに抵抗した祖父・信次さん、取り残された牛の変わり果てた姿を見た父・哲次さん、村の学校に通うことにこだわり続け「将来の夢は酪農家」と口にした長男・亮次さん-。それぞれの場面で心情が丁寧に描かれ、読んだこちらも葛尾村に息づく人の気持ちの一端に触れ、心が揺れ動くのを感じました。

12年を経て農業短大に進学する息子は、無邪気な夢とは違った重みと共に酪農家を目指し、記事中の写真の表情がどんどん変わっていきます。その姿に頼もしさを覚え、牧場が「次」に繋がっていくことを願わずにはいられません。

LINE NEWS編集部 杉本良博

当記事は、ヤフーとLINEの共同企画「3.11 これからも、できること。」の特設サイトにも掲載しました。LINE NEWS編集部のコメントと合わせて、Yahoo!ニュースからのコメントも紹介します。

原発事故を12年経った現在から振り返ることで、非常に困難な状況から少しずつ前に進む佐久間さん一家の姿を実感できました。葛尾村に代々受け継がれていた大切な生活があったことや、一家が困難な状況に耐え忍びながら、その営みを次の世代に引き継いでいく様子がテキスト、写真、映像などから伝わってきました。牛、そして親子をめぐる「家族」のストーリーは、震災の記憶が薄い世代にも共感を呼んだのではないでしょうか。その裏側には、地元メディアならではの、長きにわたる被災者に寄り添った取材活動があったと想像します。

LINEとヤフーの3.11の取り組みの中で、素晴らしいコンテンツをユーザーに届けることができ、記事の制作や配信に関わった方々、そして取材を受けてくださった方々に感謝しています。

Yahoo!ニュース サービスマネージャー 中村塁

「世界を変えて」総理に宛てられた手紙と、命を絶った男の子の叫び "13歳の声"に見る『不登校』のいま

MBSニュース(2023年4月5日掲載)

編集部コメント

学校の担任や行政などの"大人"に救いを求めながら、逆に不信感を募らせていった13歳の2人。どれほどの勇気を振り絞って、彼らは声をあげていたのか。それを踏みにじられて、どんなに無念だったことか。本人や家族の切実な思いとともに、目を背けたくなるような現実が、痛いほどに伝わってきます。

一方で、もし自分が相談された側の大人だったらどんな対応ができたのか。心無い言葉を返した大人たちは、どんな思いで子どものSOSを受け取っていたのか。そんなことを考えながら読んでいました。

かき消されそうになっていた2人の声に耳を傾け、伝えてくださったことに、大きな意義を感じます。それを受け取った私たち大人に何ができるのか。一人ひとりが考えていかねばならないと、強く思いました。

LINE NEWS編集部 前田将博

クラスで起きたいじめ、そしていじめを巡る大人たちの対応に深く失望した生徒の悲痛な叫びを丁寧に紡いだ記事。13歳の少年少女があんなにも懸命に声をあげても届かず「ないもの」とされる現実の残酷さ、2人の悔しさが伝わる記事の構成に胸が苦しくなりました。

「お前の話は信用できない」「見て見ぬふりをしろ」-。これらの言葉が子どもたちにどれだけ重くのしかかるのか。教師という立場の大人が問題に真摯に向き合ってくれていたら、生きている命があったかもしれないと思うと無念でなりません。

学校に行きたくても行けず、「大丈夫。大丈夫」とお母さんに声をかけられ涙する芽生さんの姿に、未来ある中学生のために今自分にできることはと考えさせられました。

LINE NEWS編集部 荒川のぞみ

「売春してお金もらって。5000円」、“トー横”や“グリ下”・・・“家に居場所がない”漂流する若者達

TBS NEWS DIG(2023年4月22日掲載)

編集部コメント

「トー横」や「グリ下」に集う、行き場所のない若者たちの言葉から感じる圧倒的なリアル。学校や家庭から逃れ、暴力や薬物、犯罪と隣り合わせの路上にたどり着いた彼らの現状を丹念に取材していきます。警察や地域が浄化を進める一方、「明日ですら考えられない」と語る少年少女たちに支援の手は届いていません。「貧困」という言葉から、これまで想像された状況とは全く異なる、新たな貧困の形を見せつけられます。

大人を信じていない若者たちをどう守り、どう居場所をつくっていけばよいのか。それぞれの過酷な経験から、社会に背を向ける彼らを絶望から救い出すためにはどうすればよいのか。読者一人ひとりが向き合い方を考えるきっかけになる記事。

LINE NEWS編集部 葛西耕

社会問題化しつつある「トー横」問題を、俯瞰的に捉えた記事。"路上に集まる若者"という存在は70年代の「シラケ世代」や90年代の「ヤマンバ」など、さまざまな時代に登場してはメディアを賑わせて来ました。しかし、現代の「トー横」に生きる彼女らの言葉からは、かつての若者たちとは様相が全く異なることがうかがえます。自分たちを「本当に気持ちが悪い人」と評している通り、眼差し自体が下へ向いているのです。

また、本記事では、「大人側」からの対応のチグハグさにも迫っており、目先の解決策では全く対応ができない現実を突きつけられます。こういった問題提起をきっかけに、居場所を奪う形ではない方向で、物事が進んでいくことを願います。

LINE NEWS編集部 嘉島唯

当事者を丁寧に取材し、生の声を伝えた3本を紹介しました。次回は23年5月から7月の期間に配信された記事を対象に選考・表彰します。日々さまざまなニュースをお届けしているLINE NEWSをぜひ覗いてみてください。

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