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2023年最後の一本。「光る校庭」を観て
2023年ももうあと数日。下北沢トリウッドでこの映画を観た。フライヤー表面のキャッチコピーは「ひと夏の出会いが、僕らを変えた。」裏面は「人って、死ぬとどうなるの?」。わたしは元々コピーライターなので、文字表現は大切にしている。人様が創ったものも、もちろんだ。表と裏の2本から想像すると、子供が死ぬんじゃないか、と容易に想像ができ、あまり見たくない印象。おそらく、通りすがりにこのプロモーションに出会ったなら、わたしは観なかったと思う。
なぜ観たのか、と言えば主演の梅垣君のお母さんが友人だから。つまり、梅垣君が出るから観に行っただけ、なのだが、結果、こうしてnoteするくらいによかった。
梅垣君は魅力的だった。1秒1秒がどんどん過去になっていく小学生の日々の彩り。彼は深く静かに、かつ熱を秘めて演じていた。
子供が病気で死ぬ映画など観たくないわたしにとって、おそらく脚本も演出も敵であろうと覚悟していたのだが、演出は想像とは異なり、とても良かった。えげつないいじめのシーンも、半狂乱の母親も、苦しみもがく死にゆく子供も、出てはこなかった。「目で見たくないもの」を、監督は生まなかった。現実に目を背けなくても、観る人を不幸に巻き込まない作品は創れる。
この優しく温かな読後感は、比嘉監督そのものなのだろう。
(特記・光石研さん演じる祖父のキャラクター、最高)
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