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肌寒い時期に、身体も心も温めてくれる高山茶。

前回10月号の続きに、11月号は包種茶ver.3を紹介いたします。

復習:【包種茶、ver.1 ~ver.3まであるの?】

包種茶ver.1: ジャスミンの他に、台北の近郊にモクセイが沢山栽培されました。特に「南港」と「石碇」という二つの場所で一番多く栽培されています。この地のフレーバーティーは「包種茶」と呼ばれるようになり(青心烏龍種のお茶を紙で包む、という意味で包種茶)、中では「南港包種茶」が一番有名です。この時期の包種茶は、実は現在私たちが飲む包種茶と違い、桂花(モクセイ)が使用されています。

包種茶ver.2:1912年に、「お花が入っていないのに、お花の香りがするお茶」が初めて発明されました。この前代未聞の作り方で大ヒットして以来、「包種茶」は「お花の入っていない香り高いお茶」に生まれ変わりました。昔の包種茶と区別するために「包種茶ver.2」と呼ぶこともあります。特に文山地域で作られた「包種茶ver.2」の品質がよく、「文山包種茶」という呼び名もこの時期から定着してきました。

包種茶ver.3:これは、高山茶の前身でした。北台湾の人気で代表的な包種茶は、包装をより小さくするために、製茶工程において「乾燥」の1個前の「揉捻」というステップで、茶葉を小さく整形するようになりました。揉捻とは、茶葉に圧力をかけながら揉むことにより茶葉の汁を表面に出すことで、お茶を淹れる時により短い時間で抽出できるのです。細長く揉み、そのまま乾燥して包装したら茶葉が折れやすいのです。栽培や製茶の技術が進み、より高い山で茶の木の栽培が可能に、そして海抜の高い所で栽培された茶葉がより分厚く、ペクチンの含有量も豊富で、丸く揉捻しても破れることなく綺麗に仕上がることができました。包種茶ver.2における「お花の香りの出せる作り方」を継いで、香り高くて体積の小さい包種茶ver.3が誕生し、最初は「球型包種茶」と呼び、1960年代より「高山茶」という名に呼ばれるようになりました。

60年代から台湾茶を代表する凍頂烏龍茶がよく知られ、その製法による味わいも、今の台湾茶に大きな影響を与えています。その製法というのは、軽〜中の発酵度と軽〜中の焙煎度の組み合わせでまろやかな味わいが沢山の人気を得ました。発酵度を低くすれば、お茶の本来の味がそのまま残されそれぞれの違いが比較でき楽しめます。中レベルの焙煎を入れることで、茶葉の生っぽさもなくなり(特に中医学では発酵、焙煎されていない緑茶が身体を冷やす効果がある寒涼性の物だと見做され、多く飲まない方が良いとよく言われます)飲みやすいことで人気があります。凍頂烏龍茶とは、標高750mの凍頂山で作られるお茶ですが、1000m以上の高山の霧と湿気で高品質な茶葉が作られることで80年代からは高山茶が主流となり、凍頂烏龍茶のような製法(中発酵+中焙煎)で作られた高山茶は、熟香烏龍茶とよく呼ばれます。「熟」という文字は「生」の対義語で、「熟香」とは焙煎のあるお茶の意味を示します。ちなみに軽焙煎の高山茶はよく、「清香烏龍茶」という名称で呼ばれます。台湾という小さな島の中で、標高3000m以上の高山はなんと268座もあり、それぞれ違う日当たり、風当たり、土壌の鉱物質などの条件で違う風味が味わえます。有名な高山茶産地は、阿里山、梨山、玉山、杉林渓、大禹嶺などがあり、それぞれのファンもいます。

#023阿里山金萱冬片|Mt. Ali TTES No.12 (Jhinhsuan) late winter

今回ご紹介するのは、沙里仙中焙高山烏龍。
沙里仙とは、台湾最高峰玉山における台湾茶産地の一つであり、原住民(ブノン族)語で「美しい場所」という意味です。ミディアムローストの焙煎加減の高山茶は、ほうじ茶のように身体と心を温めてくれます。

このエリアの茶葉の特徴は、他の高山茶と同じく昼間と夜の大きな温度差で新芽が柔らかいが分厚い、天然なペクチンたっぷりな茶葉で甘い味わいが出るほか、飲んだ後の余韻が強くて長く、そして茶湯が甘いことです。阿里山、梨山や杉林渓などの有名な産地と比べて、最高峰の玉山に位置していることで開発が難しく、栽培面積が極少なく、生産量も非常に少ないのです。


品種は青心烏龍種でほんのり蘭の香りがします。生産時期は11月の冬茶〜翌年の4月までの春茶で、それぞれのファンがあります。高山茶の茶畑では、ほとんど秋が休耕となり、茶木にしっかりと休ませて冬に向けて栄養をたっぷり作らせますので、多くのファンが、毎年首長く冬茶を待っています。一方、春に取る春茶は、春の暖かい気温で新芽が沢山生え、風味も栄養も豊富であります。

#022沙里仙中焙高山烏龍|Shalishian Midium Roast Oolong

合わせるお菓子はいつも大人気で再入荷の要望を沢山いただいている澎湖(ポンフー)の正一花生酥。ピーナッツバターを固めたようなお菓子で濃厚で素朴な味がします。成分はよてもシンプルで、ピーナッツ、バター、砂糖、塩、水飴のみ。人気な老舗正一の新しいパッケージ、アルミ個包装を使用することで、賞味期限も少し長く伸ばすことが可能になったそうです。



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