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激レアな冬蜜凍頂烏龍茶、入手しました。

皆様、台湾茶の代表、凍頂烏龍茶って聞いたことがあるでしょうか。

凍頂とは、凍頂山のことを示し、その地で作られている烏龍茶は凍頂烏龍茶と呼びます。
昔から「北包種、南凍頂」という程台湾の中南部地方の代表的なお茶であり、1960〜1980年代が最盛期でした。1987年から、初めての高山茶が現れ、製法や機械の技術が進むにつれてもっと海抜の高い地域で茶の木の栽培ができるようになり、同じ製茶方法で違うエリアの特徴を楽しむことになりました。違う山の味は「山頭気」(サントーチー)と言います。

今の2600メートル以上の高山で栽培されるお茶(通称高山茶、高山烏龍茶)と比べて、わずか800メートルで栽培されて作られた凍頂烏龍茶は、今の台湾茶トレンドで見ると、少し時代遅れだが、少しレトロな感じもします。というのも、クラシックな感じですね。

また、凍頂烏龍茶の特徴である「中レベルの発酵度」+「中レベルの焙煎度」という組み合わせで作られたお茶も「凍頂風」烏龍茶として呼ばれます。つまり、「凍頂」は地名から、お茶の製法まで意味が変わったのです。この製法は現在の高山茶の作り方のベースとなり、クラシック、定番な味という位置付けになっています。近年、高山茶も中発酵から低発酵へ変わる傾向があり(主に消費者の好みで左右される)、低発酵の高山烏龍茶をさらに「清香烏龍茶」と呼び、中発酵の高山烏龍茶を「熟香烏龍茶」と呼びます(熟香高山烏龍茶について)

今回ご紹介したい「冬蜜凍頂」とは、11月に採って作られた「冬茶」で、ウンカに噛まれることで「蜜香」も付いている凍頂烏龍茶です。

このお茶の何が特別かというと、普通ウンカ(緑のコバエのような虫)の繁殖期は夏が一番なので夏〜初秋のお茶が一番蜜香ができます。

夏摘みのセカンドフラッシュダージリンと同じく、ウンカに噛まれたことがマスカテルフレーバーと言われ、やっぱり夏のお茶に限ります。特に山が高い程、虫の量も少なくなりますので、蜜香紅茶、東方美人、貴妃茶(ウンカに噛まれた高山烏龍茶のことを示す)などの生産時期は普通夏から初秋に集中します。夏場の茶葉は、冬や春茶と比べて成長が早いので風味が荒く、それほど繊細ではなため、前発酵の紅茶にすることが多いです。(東方美人は一心一葉という極若い葉っぱしか採りません)一般的に夏のお茶は烏龍茶に作ることができません、というのは茶農家の常識です。

今回の「冬蜜凍頂」とは、「冬茶を採る季節なのにウンカに噛まれて蜜香ができた」という今年だけの極レアなお茶を、たまたま見つけました!また、凍頂山も海抜が高くないため、11月の冬茶収穫時期にもウンカがいました。夏茶でなく冬茶なので茶葉の繊細さが保たれ、あえて紅茶ではなく烏龍茶にしました。紅茶ほど深くなく、ちゃんと凍頂烏龍茶の本格的な味も味わえて、ハチミツのように甘〜い香りも楽しめます。今回このお茶を作ったのは、17世紀から凍頂で住んでいて今は8代目の茶農家、原昌茶業の蘇さんです。実は凍頂エリアに行くと、茶農家やお茶屋さんが何軒も続く中、半分以上のオーナーさんの苗字が蘇という、あのエリアの大家族だそうです。毎年の烏龍茶コンクールも、金賞から銅賞まで蘇家族の方が取るのがよくあることだそうです。一見農園の看板に違う名前が載っていても、凍頂烏龍茶の歴史をよく知っているの台湾茶の通は、オーナーさんの苗字で判断するのですね。


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