【SS】鏡顔｜＃毎週ショートショートnote

その国の新年は『鏡顔かがみかお』というものを玄関に飾る。皿に笑った男又は女の顔が描かれていて、必ず男女ペアの2枚で飾る。日本でいうところの内裏雛…みたいな感じだ。

鏡顔の並べ方は地域により異なる。右が必ず男の所のもあれば、上下に飾る所もあり様々だ。かかあ天下と言われる地域は、女の鏡顔が上になっているようだ。

鏡顔は家族円満と健康を祈願して飾られる。どこの家でも、所帯を持った時にペアを揃えて毎年それを飾るし、連れ合いが亡くなると、連れ合いと同じ性の鏡顔を一緒に墓へ納める。そして新たな鏡顔を探して招福を祈念し新年を迎えるのだ。

独り暮らしの者も、幸せに送れるようにと鏡顔を飾る。理想とする顔の描かれた鏡顔を見つけて飾り、もしその年に良いことがあまりなかったら、日本でいうところの神社へ持参し「畜生！（邦訳）」と叫んで、御神体の岩にぶつける。

今年の鏡顔の欠片は例年より少ない。良い年だったのだろう。

［407文字］

日曜日の午後は『毎週ショートショートnote』のお題を考える日になりました。
鏡餅からの連想で、なんだかよくわからない季節行事を思いついたので書きました。

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#鏡顔