風流韻事・能戸高校書道部【春弦サビ小説】
「いくよっ!」
「はいっ!」
袴の和装に襷をかけて、
少女たちは巨大な毛筆を振り上げ、
音楽に合わせて筆を運ぶ。
流れるように三人が同時に漢文らしき文字を書き
少し遅れて、鉢巻をキリリと締めた主将らしき女子が
たっぷりと墨を含ませた筆を紙面に落とす。
夏前に開催される書道部の席上揮毫大会に向けて練習中。
今日は汚れても良いように濃い色の和装だが、
大会では爽やかな色で参加する予定だ。
「やはり、最後の歌詞は力強く書いて決めなくっちゃね!」
今年は大好きな校歌を揮毫する。
書道部の女子たちは、校歌のメロディーに身を委ね巨大な紙面の上を舞いながら筆を運ぶ。
まるで、天女のように…
[約300字]
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