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遂に起きてしまった事件(1)

 私はとあるネットカフェに勤務している事は、ここのnoteを見ている方は知っているだろう。

 先週、埼玉県の大宮にあるネットカフェで、利用客による従業員を人質に取る立てこもり事件が発生してしまった。

 ネットカフェに勤務をしている人からすると「遂に起きてしまったか」という感想が真っ先に頭に浮かんだ。

 はっきり言う。ネットカフェは犯罪者のたまり場と言っていい。私の勤務しているネットカフェも、何をやらかしてもおかしくないような人が集まってくる。

 私の勤務地、運営会社は口が裂けても言えないのだが、従業員とお客とのやりとりで、トラブルに発展した店舗もあるし、私が勤務している店舗でもやはりトラブルに発展した事は何度もある。

 今年に入ってから、刃物を持って歩く人、急病で倒れる人、人をお店に預けに来る人、とても漫画やネット、仕事をする為の施設とは思えない出来事が発生している。半年の間の出来事である。恐らく他の店舗、運営会社のお店でも何らかのトラブルは発生しているだろう。

 私も随分と心が荒れてしまっている。何度もお客とのバトルも経験してきたし、その都度ねじ伏せてきた。ねじ伏せるという表現を使いたくなるようなぐらい、酷いトラブルを経験してきたのだ。

日本人は皆様が思っている以上にモラルのない国民だ。

日本人は皆様が思っている以上にずっと貧しい国民だ。

日本人は皆様が思っている以上に頭の可笑しい国民だ。

そして、日本人は皆様が思っている以上に危険な国民だ。

 例えば朝、元気に家を出て、学校へ向かう男子高校生。両親からしたら学校で一生懸命勉強をしている息子に見えるだろう。しかし、ネットカフェに足を運べば、昼間から狭いブースに籠って、作ってくれたお弁当を一人虚しく食べているような、そんな空間が生まれる。

 例えば夜、その日仕事を終えたサラリーマン。会社では嫌われ、取引先とのストレスを抱え、会社が終わったと思えばネットカフェに入り浸る。真っすぐ帰るには早すぎる。帰り際、帰る家すら憩いを奪う虚しい男の背中。

 例えば昼、疲れた顔をしてシャワーを浴びる女の子。笑顔など見ることはない。夜が来ると姿を変えて、ネオン街へと歩き出す。

 どれも普通の生活をしていると、出会う事のない、表の世界では見ることはない日常が、ネットカフェには一つの店内で沢山生まれている。そしてそのどれもが、普通の人が知る事はない。

 ネットカフェという空間は、皆様が想像している以上に、日本の闇が集まってくるのだ。

 大宮にあるネットカフェの事はよく知らない。が、事件が起きたのはたままた大宮にあるネットカフェだったというだけのことである。

 街に存在する全てのネットカフェは、何かの事件がいつ起きてもおかしくない。これが今の日本であるのだが、普通の国民はその日本の表情を知る事はない。

 たまたま大宮から、ネットカフェの闇があふれた。それだけのこと。

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