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SHAZNAのAuroraという曲

 彼らのファーストアルバムに収められている楽曲。アルバム曲というのは総じてマイナー曲となってしまう。なぜなら、メインとして宣伝される事がタイアップでも無い限り、基本的には無いからである。なので、アルバムに収録された楽曲というのは、自ずと人気のない楽曲と思われてしまう。

 勿論SMAPの世界に一つだけの花のように、元はアルバム曲の一つで、それがダブルミリオンになるような名曲として世に出るケースもあるが、大体はシングルカットになるのが良いところだ。

 そんなマイナーな楽曲の中でも、このSHAZNAのAuroraという楽曲は好きな曲である。

 どうしても当時のプロダクションがIZAMさん押しの、キャラそのものを売ろうとするプロモーションにより、活動休止に向かって段々ポップすぎる路線に舵を取られてしまい、本来の彼ららしさを失いつつある中の、名曲である。

 インディーズの頃の激しさでもなく、末期のポップな路線とも違う楽曲だ。あぁ、末期のポップってもう少しこう、相応しい表現があるような。そう、アイドルチック!バンドマンとはあまりにもかけ離れた路線!

 しかし、アルバム曲は頑張っているようで、インディーズの頃の雰囲気というか、何とかそれを押し出そうとしている雰囲気がこの楽曲にも感じられる。

 思えばこの当時のビジュアル系というのは、メジャーに多くいるものの、やはりメジャーなので一般受けをする楽曲を作るように言われ続けていたそうだ。故に、アルバムになるととてもメジャー受けしそうにない楽曲を聞けるのが、当時のビジュアル系の特徴だ。

 しかし、今にして思えば、結局逆らってでも独自路線を貫いたアーティストの方が、最終的な結果としては良い方向へ向かっているような傾向にある。

 この楽曲を聞くと思い出すのは、やはりプロダクションの考えは分からなくはないものの、本人たちの意志はある程度尊重しないと、結局本人たちのモチベーションが下がってしまうし、結果的にどっちつかずなキャラになって、伸びるものも伸びなくなってしまう。

 某事務所によく見られるプロモーションではあるが、このプロダクションのイメージする戦略と、本人たちの希望があまりに噛み合わな過ぎて潰れてしまうアーティストというのは結構多いのだが(実は鬼束ちひろさんも噛み合わずに揉めた側である。揉めた理由はそれではないものの。)、SHAZNAほど、その噛み合わなさでキャラ崩壊してしまったバンドは無いのではないだろうか?

 この楽曲はそんな迷走しかけた時期のアルバム曲ではあるが、自分たちのスキルの範囲で出来る演奏、アレンジでしっかり楽曲を作っているのがよく伝わってくる。

 実際、2020年ではあるが、余計な音、無駄な音というのを精査して制作するスタイルは彼らの得意分野のようで、こだわりが見える。何だかんだと勉強になる音作りをされている。色物扱いをされてきたバンドではあるが、音にはちゃんと、何だかんだ言いながら、当時のJ-POPチャートに名を残すにふさわしいだけの楽曲センスを持っている事がよく分かる。

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