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詩「廻る冬」

廻る冬

滑る銀色の包丁に

左手を添えた貴方は

割烹着の白はれやかに

私の心をとつぜん突いた


捲れる本の薫りのあひだに

偽の蜃気楼が立ち上り

まなかひを狭めて

やをらからかふのだ


林檎のやうな唇は

新雪に落ちたいつてきの血

寒風轟々の往来は

その為に人が霞んでしまつた


あれから如何したい?


橋の欄干に透かした千鳥に

柿の立て矢が花下駄を踏む

征く〜燕の鳴き渡り

きやらきやらと子らの声

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