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妄想昭和歌謡 て「てんとう虫のサンバ」チェリッシュ

昭和48年 歌 チェリッシュ 作詞 さいとう大三 作曲 馬飼野俊一

男女デュオ チェリッシュ最大のヒット曲で、昭和を代表する結婚式ソングだ。
有名だがリアルタイムで見聞きした記憶はあまりない。
「チェリッシュはどちらに出るんだろう」と思いながら紅組で出場した紅白歌合戦を見た気はするが。
当時のヒット以上にその後子どもでも知る結婚式定番ソングとなった。多分70代を中心とした人の中には友人によるこの歌で祝われた人も多いのだろう。
しかし素直に結婚式に憧れる女子でもなかった私と類友の面々は嫌がらせとして「結婚式に呼んでくれたら“てんとう虫のサンバ”歌ってあげよう」と言い合って身をよじっていたのだ。
それには理由があって、歌詞の中の「口づけせよとはやしたて」の部分を繰り返し、手拍子ではやしたて、やがて会場一体となって新郎新婦がキスするまで続ける、という定番演出が知るところとなり、それがどうにもこうにもたまらなかったからだ。

そんなにヒットはしなかったけど、昭和51年の、山手線で出会ってお好み焼き屋の二階で二人で結婚を決める「決心」という歌は何となく覚えていて、昭和ニューファミリー的世界観はまだ受け入れやすかった。

それはそうと、チェリッシュが後に結婚する二人の男女ペアとなる前、男4人女1人のグループだったとは知らなかった。結成時なんか男ばかりだ。まるきりチェリッシュのイメージではない。結構知られている曲、‘なのにあなたは京都へゆくの‘ のSPジャケットの写真を見ると、確かに女一人と男四人が写っていた。でもどれが残った松崎くんなのか自信がない。

多分前の二人がその後のチェリッシュだとは思う

いくら昭和40年代とはいえ、ジャケット写真もう少しなんとかならなかったのか?草むらからこんな人達がぬっと出てきて見つめられたら、悲鳴をあげると思う。

3枚目シングル ’ひまわりの小径‘ からデュオとなったらしい。

そう、松崎くんとえっちゃんなのだ。70歳過ぎようと。同じ70代でも位置付けは「若者(昔の)」
何というか若い頃がデフォルトで、それをアップデートしない、というか位置的にする必要ない人たちに思えた。時々こういうタイプがいるが。
チェリッシュのイメージとは結婚前から当然結婚すると思われるような、最初から正装はウェディングドレスと白いタキシードっぽいイメージなのは、「てんとう虫のサンバ」のせい?


昭和終わりのある日、チェリッシュについて母の見解を聞いたことがある。

昔から父母共に芸能人であっても派手な浮き沈みのない位置にいる人についてなぜか感心するところがあった。「芸能人は生活が安定していないから不安な職業だけど、たまにそうでない人もいる」と言うのだ。

例えば岡本信人さん。
主役にはならないけれど、若い時から御用聞きとかその他のモブに引っぱりだこ。大河ドラマに橋田壽賀子ドラマ、2時間ドラマに連続ドラマ、大作映画と仕事が切れたことはないらしい。
今は野草調理でも有名。

それから高橋元太郎さん。
こちらは水戸黄門のうっかり八兵衛のイメージが強烈だが、小さくてその記憶はないが、歌手(スリーファンキーズ)の時代も知っている(ようだ)。1〜3歳ごろ“おかあさんといっしょ”に出ていたらしいから。
水戸黄門も大岡越前も、他の出演者は総入れ替えの中、共通してずっとレギュラーの座にいたのはこの人だ。と言うことは仕事が途切れないということだ。
私自身は「でもずっと団子を食いすぎてお腹がイタタ」みたいなキャラを続けて本人的にはどうなのか?と思ったが。
ドラマの中でも時々歌を披露はしていた。
今現在はわからないが、探したら70過ぎとは思えない美声で歌う動画が出てくる。

母親が長期入院していたため、私も実家に帰っていた時期、「金子信雄の楽しい夕食」という番組を見ることがあった。
料理のうまい俳優でさえなければただの飲んだくれのじいさんが、東ちづるに軽くセクハラしながらもうまくいなしてもらって収録の最後の金曜日は呂律が回らない状態で、血管浮き出た手で料理する番組だ。
このいなし方が絶妙で、竹下景子を元祖とする当時の「お嫁さんにしたいタレント」一位を獲得していたと思われる。昭和は今ならセクハラと炎上するような行為でも、大袈裟にせずうまくかわすのが賢い女性だと言われていたからだ。もっとも金子信雄のそれは今ならアウトだが、本格的に強要していそうな感じは薄く、当時よくいるおっさん的ではあったから成り立っていたとは思うが。

その番組のテーマを歌っていたのが、チェリッシュだった。オープニングにも、料理ができた時にも歌われるので、番組にとってかなり重要だ。

ふと思って
「歌手の中ではチェリッシュって岡本信人さんみたいに浮き沈みのない位置にいるんじゃない?」
と母に言ったことがある。昔のヒットで息が続いているコンビではあるが、一発屋ではなく、89年のその時もかなりの人達から認識されている。そして熱心なファンとかリスナーではなくとも、何となくみんな知っているし、スキャンダルめいた話とも無縁だ。
母はしばらく首を捻っていたが
「うーん、でも片方は スッススッスって言ってるだけってとこがなんか心配だよね」
と却下。
確かにチェリッシュのそのエンディングテーマ(COOK・クッキング という曲)で松崎くんの歌はスッススッスのみに聞こえる。(実はセッセセッセ らしい)
デュエットまでもいかない。夫の方は添え物であるけど裏方でもないというところに不安はある。
ダメか。

しかし今のチェリッシュの写真は、まるで二世帯住宅かシニア向けマンションの広告モデルのような姿だ。ニューファミリーが絵になるように歳を重ねたような理想の姿。

えっちゃんは胃ガンで全摘術を受けたとあるが
やわらかい雰囲気そのまま

その後の昭和結婚式定番ソング「乾杯」の長渕剛が、結婚こそ継続中だが本人の投影をためらうものを醸しているのとは訳が違う。
実際はいろいろあるかもしれないが、円満で裏切らない雰囲気をずっと残してくれている。
これはやっぱり素晴らしい。

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