退職コンシェルジュを利用して40万をドブに捨てた話

※注意:数字や細かな部分については事実から一部脚色・改変しています。

1. 退職コンシェルジュとは?
「退職者に寄り添うプロフェッショナルパートナー」を自称し、主に社会保険給付金の受給についてどうすればいいか分からない人のためにあれこれサポートすることを売りにしている会社。
社会保険給付金、俗にいう傷病手当金というものをもらうには、精神科ないし心療内科への定期的な通院と申請書の提出が必要になるのだが
「何をどうして何書いていつまでにどこへ提出すればいいか分からなーい」
的な、受給に値する状況であるにも関わらずその方法が分からない人達を導くのがこのサービスの本懐とも言えるだろう。


2. 自分が退職コンシェルジュを選んだ理由
結論から言うとPinterestに流れてきた広告がきっかけである。
当時の自分は派遣で勤続2年目を目前に控え、転職というより退職を真剣に考えていた。社会的に言えば低所得者層にあたるだろう。
通勤時に見かける不快なDQN車、陰鬱とした職場の雰囲気、退屈な業務など、細かな要因がいくつも重なり合い、個人的にかなり参っている状態だった。
何を食べても美味しく感じない、どんなゲームをやっても面白くない、仕事以外の時間を当てもなくネットサーフィンして過ごす。全てに辟易していた。(のちに上記の内容を踏まえて医師に話した結果うつ状態と診断される)

そんな時上記の広告を見てしまったのである。当然最初は詐欺まがいの何かだと疑った。というのも広告の内容は「失業保険以外に280万貰える⁉」みたいなものだったし、何より筆者は過去に傷病手当金を受給していた経験があったからだ。(3ヶ月間だけ)
ただ、過去の受給時は当時の会社の担当者任せで「社会保険給付金に関して詳しい仕組みを全く知らないでいた」こともあり、本当に広告で見たような金額を受給できるなら…と心が揺らいでしまったのである。
無料の説明会なるものをやっているようだったので、とりあえず話だけでも聞いてみることにした。

当然というべきか、説明会はオンラインで行われた。筆者以外に同時視聴していた人がいたかは分からない。
画面越しに現れたスーツ姿の男性は物腰柔らかな様子で社会保険給付金の仕組みや受給条件などをスライドを使って説明してくれた。後で知ったことなのだが、この説明された内容のほぼ全てが自力で調べようと思えば自力で調べることができるものだった。まぁ知らない人向けに説明しているのだから当然っちゃ当然ではあるのだが。

説明会が終わるとすぐに一対一のオンライン面談に移行する。
先ほどの説明会と同じ男性が現れた。多分説明会も自分しか見てないやつだこれ、と察する。
面談では質疑応答とサービス利用に関する具体的な話、要は料金の話をした。今思えばこの時点で引き返せばよかったと思う。

筆者は単刀直入に「このサービスを利用することで結果的に損する可能性を危惧している」と伝えた。これまでの月収から、見込み受給金額が11万円であると伝えられたからだ。最初に見た広告の話とはずいぶん違う。
ちなみにこの月々の受給金額は働いていた時の収入に左右される。安月給で働いていれば受給金額も必然的に少なくなる。

また、年金などの各種税金__働いている間は勝手に給料から引かれていたあれこれ__を今までの手取りの8割程度の金額から支払っていかなければならない。おまけに毎月通院する労力や診察代、薬代も考慮すると手元に残るのは健康で文化的な最低限度の生活を送るのにギリ足りる?程度の額になることが容易に見込まれるからだ。

さらに想定外だったのが利用料金である。なんと40万もかかるらしい。
調べようと思えば自分で調べられる、やろうと思えば自力で申請できる申請のために40万である。正直に言ってぼったくりだ。
筆者はこれまでの年収や受給見込み金額に応じて利用料金も多少変動するものだと予想していた。月11万受給なら利用料金はせいぜい20万くらいかな、と勝手な予想をしたりもしていた。全然甘かった。

面談相手の男は「最大18ヶ月受給できるので約200万、利用料金を差し引いても160万。損することはありません」の一点張り。
いやそういう話してんじゃねーよ、小学生の算数やってんじゃねーよ(意訳)とやんわり伝えてみたものの男は困ったような顔をするだけで一向に話が進まない。

本当に、本当にこの時「じゃあいいです」と言えていたらよかったのだが精神的に疲弊した状態というのは非常に軟弱かつ不合理な判断を下しがちである。
失業手当だけでは3ヶ月分の生活費しか捻出できない事実に怯え、当面のあいだ再就職をすることも考えていない(というか考えたくなかった)著者はこの話にあえなく合意してしまう。
一括で払ったほうが手数料かからない分安いから…ということで40万を指定の口座にボッシュート。かくして筆者の退職コンシェルジュとの付き合いが始まった。


3.現状
その後どうなったかというと、実はどうにもなっていない。
正しくはどうにもできないと言ったほうが正確か。
40万を失い月一の通院と傷病手当金支給申請書の送付だけがマストになった生活は、よく言えば仕事をしなくて快適、悪く言えばこれ以上貯金が減らないようにするため極貧生活、である。

時間だけはたっぷりあるのだが旅に行くにも欲しいものを買うにもとにかく金、金、金が足りない。1ヶ月の間に自由に使える額は2万を下回っている。まさに「金」縛りである。
とはいえこれは貯金を減らさないためのやりくりをしているが故であり、貯金がたんまりあるだとか、もっと言えば40万を払わず自力で受給まで漕ぎつけられればもう少し余裕のある生活を送れるだろう。

とりあえずうつ状態をどうにかするために処方された薬はきちんと服用し、晴れの日は散歩、それ以外の日は家でなか〇まき〇に君さんの動画を見ながらエクササイズをしている。体を動かすだけならタダなので。

うつ状態といえば退職コンシェルジュからは
「あくまで傷病状況にある人がもらえる給付金なので医師に嘘付いたりしないでね。仮病は反則だからね。分かってるね?(意訳)」というようなことを念押しされている。グレーすぎるだろやってることが。
最初こそ申請書の記載について事細かく指示を送ってきたものの、3ヶ月を過ぎると「以降は同じカンジでよろしく~」と投げやりになってしまった。サポートとは名ばかりで月に一度の通院したかどうかの定期連絡のみ。これが40万の対価かと思うと悲しくなってくる。
最近はイメージキャラクターにヒ〇ミを起用したりして健全な会社であることをアピールしているようだが、Googleマップの会社のクチコミが何十件もあるのに(著者が確認した時点では)☆5.0なのは逆に怪しい。☆1クチコミを削除したりとかしてるんだろうか。もしかするとこのnoteも、筆者の身も危ういかもしれない。消されないことを祈るばかりだ。


4. 自分らしい退職をするために必要なこと
そもそも論ではあるが、退職を考えていない人やすぐに転職する予定の人、心身共に健康で傷病手当を受け取るべき状況にない人にとってはこの体験談はクソの役にも立たない。また、社会保険給付金を受給する方法はインターネットで検索すれば自力で会得することも可能なので、もし退職コンシェルジュを利用するか検討している人がこの拙い文章を読んでいるのであれば、是非とも「待って」ほしい。自力でできるから。40万いらないから。

以上


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