私が議員になった理由~高橋富代・最後の一般質問~

うっかり?政治の渦に飛び込んでしまった!

私の政治活動のきっかけをお話ししたいと思います。
あるとき新聞の折り込みに一枚のチラシが入ってきました。
そのチラシには、下田に大きな箱物が三〇億円の予算を使って建てられるこが書かれていました。
子供から学校の教材がなくて困ったという話を聞いていた時でしたので、何故公立学校にお金を使ってくれないのかという素朴な疑問を持ちました。
チラシによるとその箱物事業の勉強会があるということでしたので、それならば出かけてみようと思ったわけです。
この箱物事業は旧自治省のリーディングプロジェクト(以下リープロ事業)という補助金事業に採択されて行われているものでした。
リープロ事業はとても有利な補助金事業で、事業費の九〇%を借金していいですよ、そのうちの35%から55%を財政力に応じて交付税の基準財政需要額に算入しますよという、交付税の交付される、下田のようにお金のない自治体にとっては、嬉しい補助金事業でした。
 下田市はそれに手を挙げたのですが、そのベースになるものにはもっと大きなものがありました。

リープロ事業の背景には大きな開発が

下田湾の中に旧ドックの跡地がありました。
下田船舶という会社があったのですが、もうやっていけないということで閉鎖されて、大きな空き地が転売されニチメンという商社が取得しました。そこにツインタワーを建ててショッピングモールを作り、マンションをつくりという、バブルの頃によく描かれた、そういう計画ができたのですね。
 その土地の売買した金額がその当時で147億円でしたから、それだけの大きな利権があったのだと思います。
いくつかの市民グループが一緒になって、といっても、ごくわずかでしたが、市民がリープロ事業に賛成しているのか反対しているのか知るために、住民投票をやったらどうかといった話にもなってきました。
そして法律に詳しい人も居たということで出来たのですが、わずかな人数で直接請求に取り組み、住民投票条例の制定を目指しました。
 
 しかし残念ながら直接請求をやって条例案を出しても、議会が否決するという結果でした。
 直接請求ができなかったので、では今度は何をしようといったときに、議会の議員になって議員提案で条例案を出そうということになりまして、それで私は選挙に出てしまいました。

私もそうだった…地方政治に興味はない住民

その運動をやってきた中で何がわかったのかなというと、住民の政治に対するアンテナの低さなのですね。
自分もそうだったのですが、行政のことにほとんど興味がないのです。
お任せなのですよ。
 住民運動自体もお任せでした。
自分が参加するのではなくて、あなた達が勝手にやってと見ている感じです。
そういう中で経験してきたことが、地域代表で出てこられた方とは多少違った視点で、あれをやれこれをやれというよりも、それをやって大丈夫なのかと、まず財政を考えるという議員活動をしてきたのだと思います。

最後の一般質問「よっく聞きやがれ!」というちょっと悔しい想いで演壇に

下田市議会での最後の一般質問で、リープロ事業のことと、財政状況を議事録に残すことにしました。
というのも、のど元過ぎれば熱さ忘れる、先物食いをしているのに気にしない、そういう人が多くなってきたからなのです。
新しい議員さんが議事録を読むかどうかは解りませんが、ケーブルテレビでも放映されるので市民の皆さんにも、もう一度思い出してほしいと思ったのです

最後の一般質問

一般質問を少し紹介をさせて頂こうと思います。

今回の一般質問の内容は、「下田市政と市長の政治姿勢について」という幅が広いわけでございますが、
1.下田市の財政について2.行財政改革について
3.まち・ひと・しごと地方創生について
4.産業振興について5.男女共同参画についての、
5項目を取り上げて議論をさせて頂きたいと思っております。

1つ目は、議論をしていくうえでの共通認識として、少し過去を振り返りつつ、テレビで市民の皆様も視聴されていることですので、確認の意味も含め財政の質問を致します。

私が市議会議員に初当選したのは平成11年の統一地方選挙でありました。
当時は箱物行政がクローズアップされているときで、財政が悪くなったのは箱物を作ったせいだという論調で、各報道がされていた時代です。
振り返っていただくと、ああそうだなあと、思い出されるんじゃないかと思います。
下田市に30億円かけて箱ものが出来るよという、南豆自治研究会発行のチラシが、新聞折込に入っており、そのチラシを読んだときに、「あれ?まてよ」と、子供が学校の状況を話していたことを思い出したんですね。
体育館でマット運動をやろうと思ったら、マットの綿が出ていてマット運動が出来ない。バレーボールのネットが破れて糸のようになってしまっていて、バレーボールができない。
理科室の暗幕がですね、全部切れちゃっていて光が入ってスライドが見られなかった。
パソコンを使っていてプリントアウトをしようとしたとき、紙がないから印刷してはいけないと先生にいわれた。
そういうことを聞いていたものですから、30億円のうちの1億円でもいいから、子供のために、学校のために使って欲しいという、ごく普通の母親が思う気持ちで政治活動を始めました。
泥船で海に漕ぎ出すようなものだと言われたリープロ事業、ベイステージ・道の駅開国下田みなとの建設事業のことですが、火の車である下田市の財政に油を注いだ形となり、集中改革プランで徹底的な歳出削減をしてもなかなか改善しませんでした。
保証金免除の繰り上げ償還がなければ、今も高利の借金返済に苦しんでいたはずです。
そのリープロの借金がようやく今年度で返済が終わります。

この時の地方債の借入額が27億9910万円、
元利償還額は32億5363万8千円。
下田市の実質的な負担額は12億2503万3千円です。
公債費比率を見てみますと、平成12年が15.9%、平成14年が15.4%、平成17年が18.3%です。
10%を超えないことが望ましいという指標ですから、下田市の状況が如何に厳しいものだったかご理解いただけると思います。
市民文化会館で、「乾いたぞうきんを絞る歳出削減を」と、渡辺助役が熱弁をふるった平成17年は、自由に使えるお金のうち、2割近くを借金返済にしているという事になります。
昨年11月の全員協議会で配布された中期財政見通しによれば、現在は6%台になっていますので、当時と比べたら随分と良くなりましたが、
今後、給食センター・庁舎建設と大きな公共事業が続いていますので、
その借金が後年度にどれほど影響してくるのか、他の事業に予算を振り分けることが困難な事態がやってくるのではないかという不安を覚えます。
また、先だっての補正予算の賛成討論でも触れさせていただきました、
臨時財政対策債の問題もあります。
臨時財政対策債は、平成13年から行われてきた「赤字地方債」の制度です。

地方債は将来に物が残ることが要件で、それは何故かと言えば、その物を将来の人も使うから借金をしてもよいという理屈なのです。
ところが臨時財政対策債はあくまでも一般財源という、なんにでも使って良いもよいお金なので、物としては残りません。
簡単に言えば、国もお金がないので、地方交付税の一部を借金という形で肩代わりさせたということです。
3年据え置きの20年償還ですから、平成13年に借りたものは平成36年に償還が終わるという事になります。
財政の厳しい下田市においては、制度が出来てからずっと臨時財政対策債を借りて財政運営をしてきたのではないでしょうか?
新年度の予算書によれば、臨時財政対策債の年度末現在高見込額は
44億8630万円です。
返済分は後年度に基準財政需要額に算入してよいとう事ですが、出来ることなら、臨時財政対策債を使わなくても財政運営ができることが理想なのでしょう。
経常収支比率も臨時財政対策債を経常一般財源に入れないで計算したものは、平成24年決算ベースでは、96%を超えています。
このような現状ですので、とても楽観視できないと思いますが、市長はどのように下田市の財政をとらえているのかお伺いを致します。

そして、昨年の11月に配布された中期財政見通しによれば、総合計画の財政計画と比べ、平成25年度から31年度までの税収見込み額がトータルでマイナス12億円余りの異差が生じております。
そして、新年度の予算説明資料よれば、昨年度と比べ6400万円を超える市税の減という調定をしています。
市税の減の要因とその分析をお聞かせください。

テレビで視聴されている方にも、何より、議場にいるすべての人に「忘れるなよ!」と言う意味を込め伝えました。

私なりのけじめ


リープロに始まりリープロに終わる。
リープロの元利償還が終わった平成27年の統一地方選挙には出馬せず、地方議会から引退しました。

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