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【LAD】2024 ドジャース戦力分析【投手先発編】

みなさんこんにちは。さぁ本日は3月20日。待ちに待った開幕日です(ドジャース&パドレスのみ)。ドジャースの開幕ロースターも固まりました。
今回は今シーズンドジャースの戦力分析と言うことで、ブルペン投手陣を見ていこうと思います。先発投手陣全体と選手個人の成績展望をまとめました。
選手の基本的な紹介も含んでいるので、「今年からドジャースを見始めるよ!」という方は選手名鑑のような感じで読んでいただけると幸いです
ブルペン編はこちら



23-24オフシーズンの動き

昨シーズンの反省

近年のドジャースはプレーオフでの失敗が相次いでいます。2020年短縮シーズンにワールドシリーズ優勝を成し遂げて以降、ワールドシリーズに駒を進めたシーズンはありません。

2021: NLDS vs SF 勝利 → NLCS vs ATL 敗退
2022: NLDS vs SD 敗退 1勝3敗
2023: NLDS vs ARI 敗退 被スイープ

この3年間の敗因を投手側から分析すると、2022年を除いて強力な先発陣がいなかったことが分かります。
2021NLCSでは、まともな先発投手はGame 2, 3に登板したシャーザービューラーのみでした。

NLCS Game1~4登板投手

そのシャーザーも登板後に
"My arm was dead" → 「俺の腕は死んでいた」と発言したように、満身創痍の状態だったことが分かります。

また記憶に新しい2023年シーズンは怪我、不調、逮捕と不運が重なりました。結果的にレギュラーシーズンで16ゲーム差をつけたダイアモンドバックスにスイープを食らうということになりました。

Game 1 クレイトン・カーショー : 0.1回 6失点 防御率162.00
Game 2 ボビー・ミラー: 1.2回 3失点 防御率16.20
Game 3 ランス・リン: 2.2回 4失点 防御率 13.50

※ランス・リンに至っては1イニング4ホームランのポストシーズン記録付き

怒りの大補強

シーズン終了後の会見でドジャース編成本部長のアンドリュー・フリードマンは23年の失敗を"Organizational Failure"(組織としての失態)としたうえで、次のように発言しました。

“Our goal was to win 11 games in October and we didn’t win one. So we need to figure out what we can do differently and how to go about it.”

我々の目標は10月(ポストシーズン)に11勝することだが、1回も勝てなかった。我々はどこを変えるのかを見つけ出さなければならない。(筆者訳)

この"どこを変えるのか"に対する答えは私が考えるにこのようになったと思います。
「レギュラーシーズンは勝てる。ポストシーズンを主眼に補強する」
過去10年間のレギュラーシーズンの勝率は6割をこえており、これは毎年100勝している計算になります。フロントオフィスはポストシーズンで勝てる投手陣作りに着手しました。

ドジャースの過去10年成績

タイラー・グラスナウ トレード獲得&契約延長 5年 $136M
山本由伸 ポスティング移籍 12年$325M(投手史上最高額)
ジェームス・パクストン 1年$7M+出来高

各投手の詳細はおいておくとして、3人ともポストシーズンでの活躍ができる選手です。

24シーズン

概観

現在の各投手の立ち位置は以下のような感じになります。

山本(Yamamoto)・グラスナウ(Glasnow)のエース2人に2年目のミラー(Miller)、ベテランのパクストン(Paxton)でトップ4人を形成。開幕はストーンで迎えるようですが、5枠目からはストーン(Stone)シーアン(Sheehan)ナック(Knack)などが争います。
また、開幕1,2か月程度でビューラー(Buehler)が、夏頃にはカーショー(Kershaw)が復帰する予定で、シーズン後半への頼もしい援軍となってくれるでしょう。山本を含めた新人や故障気味の選手が多いことから、登板間隔を調整するためにローテ漏れした選手も大きな貢献をすることが期待されます。

6人ローテについて

25年シーズンに大谷翔平が投手として復帰する関係で、今季からも6人ローテを採用するのかが注目されています。5人ローテと6人ローテの違いは以下の通りです。

5人ローテ:
・トップ5人をできるだけ多く登板させることができる
・先発要員が5人で済むため、ブルペンに枠を割くことができる
・休みが短いため各登板の質が下がる。また負担が5人に集中する
6人ローテ: 
・6人に負担を分散させることで、怪我を防止する
・ブルペン投手の枠が一つ減ってしまう。深い投手デプスが必要
・休みが長いため、各登板の球数を増やせる。

メジャーでは5人ローテが基本ですが、昨年のメッツのようにベテラン投手の負担を減らすために1試合だけ違う人に先発させたり、ブルペンデーでごまかしたりすることは珍しくありません。私は今年のドジャースはこのパターンだと見ています。
現状ロバーツ監督やフリードマンから6人ローテを導入する発言は出ていません。一方で選手層は深く、何でも屋のヤ―ブローも所属していることから、言えば"5.5人ローテ"くらいなら可能だろうと思います。

次からは各選手の情報や今季の展望を見ていきます。
たくさんの指標が出てきますが、特に見るべきモノを書いておきます。
指標のカラーリングは赤→良い、青→悪い、となっています。

全体指標
IP: 昨年投げたイニング数。先発投手は150回程度を投げる
ERA: 9イニングあたりの失点数。一線級なら3.50以下は欲しいところ
K/9: 9イニングあたりの三振数。9.00以上あれば優秀
WAR: 平均的な選手と比べて何勝分の価値を生み出したか

StatCast指標
xERA: 打球速度・角度から算出した予想防御率

球種指標
Pitch Type: 球種
FA: フォーシーム, FC: カッター, FS: スプリット, FO: フォークボール,
SI: シンカー, SL: スライダー/スイーパー, CU: カーブ, KC: ナックルカーブ,
CH: チェンジアップ
Usage: 球種の使用割合
Velocity: 平均球速
Stuff+: 球種の質を測る。100が平均。120あれば優秀, 130以上あれば超優秀

先発ローテ1番手 Yoshinobu Yamamoto 山本由伸

投手史上最高額の12年$325M契約でドジャースに加入した日本のエース山本由伸。オリックスで長年そうだったように、ドジャースでもエースとしての働きを期待されます。
また、2023年日本シリーズで14奪三振完封を達成したように、プレーオフでの勝負強さもワールドシリーズ優勝を目指すドジャースにとっては重要です。

山本は投球の90%をフォーシーム、スプリット、カーブで構成し、スライダー、カッターを時々投げます。主要3球種は全てStuff+が120を超えており、非常に優秀な値です。山本の球種の特徴については過去記事で触れているので、良かったらどうぞ。

メジャー1年目の山本にはまず1年間健康に投げることを期待したいです。一部では新人王+サイヤング賞のダブル受賞候補にも挙がっているようですが、私はそれはボーナスと見ています。レギュラーシーズンとプレーオフを通して防御率3点台後半で回してくれれば、と言う感じです。
成績目安はこちら

25先発 160回 防御率3.50 WAR 3.0程度 + メジャーへの適応

先発ローテ2番手 Tyler Glasnow タイラー・グラスナウ

タンパベイ・レイズとのトレードで加入し、5年$136Mの契約延長を結んだタイラー・グラスナウ。今後数年間は山本とのダブルエースとしての活躍が期待されます。
三振をバシバシ獲る投球が魅力の投手で、特にプレーオフではグラスナウの支配力は非常に重要になってきます。

前述の通り三振を奪う投球をするグラスナウ。その原動力となるのは平均球速96.4mph、時には100mphにも達する速球球界トップクラスの球威を誇る落ちるカーブです。速球をゾーン高めに、カーブをゾーン低めに投げることで空振りを量産していきます。

グラスナウの唯一の懸念点が耐久性です。キャリア8年間でイニング数が一番多いのが2023年の120回で、通常の先発投手に求められる150回程度を投げたことは一度もありません。
一方で記者のBlake Harrisが指摘しているように、イニング数の少なさはチーム事情や大きな怪我が絡んでいることが少なくないようで、グラスナウの潜在能力がすべて解放されているとは言えないかもしれません。

グラスナウ自身はpodcastのFoul Territoryにおいて、イニング制限はない旨の発言をしているため、シーズンを始める上では問題はなさそうです。

以上のことを踏まえた上での成績目安はこちらです。
グラスナウに関しては試合に出場さえできればエリートレベルの成績を残してくれると思います。

20先発 140回 防御率3.20 WAR 2.5程度 + 長期離脱しないこと

先発ローテ3番手 Bobby Miller ボビー・ミラー

今年メジャー2年目を迎えるボビー・ミラー。昨年は22先発で防御率3.76NLDSでは2戦目の先発を任されるなど、ルーキーとしてはまずまずのシーズンを送りました。今年は今後のドジャースを担う存在として更なる飛躍が期待されます。

ミラーの特徴はやはり球速を生かした投球で、フォーシームの平均球速は99.1mphと、先発投手の中ではメジャー1位です。また、他球種も速球につられるように球速が速く、スライダー・チェンジアップ・カーブは全て球界トップ~平均以上の球質を誇ります。
一方で球速を武器に速球でガンガン押していくタイプではなく、変化球の投球割合も高く、カーブ・チェンジアップは決め球としても使用します。

課題としては若さによる完成度の低さで、昨年のミラーはスライダーをとっても、球速を95mphまで上げる高速スライダーや横変化を減らしたり、増やしたりする(スイーパーの使用)など試行錯誤している様子でした。
スライダーを減らし、カーブ、チェンジアップを主に使用する試合もありました。
逆にとれば、超優秀な球威の持ち主なので、経験を積んでいけばゲリット・コールジェイコブ・デグロムのようなサイヤング争いを長年戦うような投手になれるポテンシャルは十分に持ち合わせています。

成績目安は2年目の成長込みでこのようになるでしょうか
(ケガすんじゃねーぞ)

30先発 180回 防御率3.50 WAR 3.5程度 +オールスター出場

先発ローテ4番手 James Paxton ジェームス・パクストン

(おそらく)ドジャース2024年ローテのラストピースとして1年$7Mの契約で加入したジェームス・パクストン。怪我に振り回されたパクストンのキャリアですが、昨年はレッドソックスで96回を投げて防御率4.50とプチ復活を果たしました。速球の平均球速が維持されていて、奪三振率も9.47と十分な数の三振も奪えているので、投げさえすればまだまだやれる投手です。

パクストンは平均95mphの速球とスライダー、カーブで投球を組み立てます。投球の半分以上を占めるフォーシームでガンガン押していき、決め球としてナックルカーブを用います。
パクストンは他にカッターを投げます。彼の全盛期と言える2018年にはフォーシームとカーブの中間球として機能していました。The AthleticのEno Sarrisのインタビューに対して、カッター(&カーブ)の球速を怪我前の水準に戻したいとコメントしており、今季のパクストンのカギになるかもしれません。

山本やグラスナウと同じように、パクストンにもプレーオフでの活躍が見込めます。前述の通りフォーシームで押していく投球スタイルは支配力が求められるプレーオフにおいて役に立ちますし、過去にパクストンはヤンキース時代にALCSで投げた経験があります。この時は強力アストロズ打線を圧倒していました。

成績目安はこちら

20先発 100~120回 防御率 3.50~4.00 WAR2.0 + 長期離脱しないこと

先発ローテ5番手 Gavin Stone ギャビン・ストーン

前述のミラーとデビューが同じ年で、今季2年目を迎えるギャビン・ストーン。2022年をマイナーで無双し、23年は先発のコマ不足で緊急デビューしましたが、最初の3試合を4失点→5失点→7失点と大きく躓き、マイナー再調整となってしまいました。その後、再度昇格し先発登板しましたが、大きく改善することはなく、メジャーでの立ち位置を確保できませんでした。
3/18の対韓国代表戦では3.1回8奪三振とアピールに成功し、その後ロバーツ監督よりローテ5番手に入ることが発表されました。

ストーンは元来フォーシーム、チェンジアップ、スライダーで投球を組み立てていましたが、1回目の昇格で失敗してからはシンカーとカッターを加えました。
直近の試合では球速、球質共に昨年より向上しており、本格的な先発投手としての成功が期待されます。

成績目安はこちら

20先発 100~120回 防御率 4.00 WAR1.5 +ローテを1年間守る

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