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「遅れている」電車はdelaying train? delayed train?(その1)

先日、TOEIC800点を目標に勉強しているクライアントさんからこんな質問がありました。空欄に入る単語を選ぶ問題で、「遅れている」電車は”delaying” trainだと思ってそれを選んだのに、正解は”delayed” trainでした。なぜでしょう?と。

確かに、「歩いている」男の人=walking manなので、「~している」という意味の形容詞として、動詞の現在分詞(~ing)を使いそうですよね?問題集には、特にその点についての解説はありませんでした。

「delaying trainって聞いたことないし、delayed trainでしょ?」と特に何も考えずに正解を選べる方もいるかも知れませんね。文法書を読んでみると「分詞の形容詞的機能」という項目に説明があり、文法書通りのアプローチで記事を書いてみたのですが、奥が深い項目ゆえにものすごく長く、そのうえ文法用語ばかりで難しく、分かりにくくなってしまいました。なのでその下書きは一旦捨てて、ここでは違うアプローチをしてみたいと思います。それでも長くなりそうなので、2回に分けて書きます。

delayは自動詞か他動詞か?
早速、「自動詞」とか「他動詞」とかいう文法用語が出てきて嫌になってしまった方、ごめんなさい。今回の説明にどうしても必要な言葉なので、TOEICの勉強をしようと思っている方は、これを機に覚えて欲しい言葉です。自動詞とは、「~を」という目的語が要らない動詞のことで、「walk(歩く)」などがそうです。他動詞とは「~を」という目的語が必要な動詞で、「have(持つ)」などがそうです。そしてやっかいなことに、英語では1つの動詞が、自動詞としても他動詞としても使われることが多く、delayもその1つです。そして実はwalkも、自動詞としても他動詞としても使われます。

辞書でdelayを引くと、名詞としての意味「遅延」などもありますが、動詞としては

1.他動詞:①~を遅らせる(しばしば受け身で用い、「遅れる」の意味になる)
②~を延ばす(主として失敗・過失などによって早くすべきことを延ばす)

2. 自動詞:③ぐずぐずする、手間取る

とあります。

「遅れている」電車と言いたい場合、①の意味が近いようですが、()内にあるように、何かを「遅らせる」という意味の他動詞なので、受け身で使われてはじめて「遅らされる→遅れる」の意味になる、ということですね。

例えば、こういうことです。

  1. The accident delayed the train. (その事故はその電車を遅らせた。)

    ↓ trainを主語にした受け身の文に書き換えると

  1. The train was delayed by the accident. (その電車はその事故によって遅らされた→遅れた。)

この文に続けて「その遅れた電車はOOOだった。」と言いたい場合、The delayed train was….と続きます。このように、名詞の前に他動詞の過去分詞(~edなど)を置くと、「OOOされた OOOO」という意味になります。なので、今回出題されている電車も、恐らく悪天候や事故などによって「遅らされた」→「遅れた」電車なので、delayed trainを選ぶのが正解です。

ここで、文全体で過去ではなく現在のことを表したい場合、英文はbe動詞を過去形から現在形に変えるだけで終わりです。The delayed train was….という英文は、The delayed train is…..となり、delayedの部分は変わりません。しかし日本語は「その遅れた電車はOOOだった。」から「その遅れている電車はOOOである。」と変える場合もありますし、変えずに「その遅れた電車は」とすることもあります。前者の方が一般的でしょうか。日本語では、文全体の時制が変わるとdelayedの訳の時制まで変わってしまうんですね。今回の問題は現在形で出題されていたので、「遅れている電車」という日本語の進行形の言葉に引っ張られて、進行形を作る時に使うdelayingを選びたくなる気持ちも分かります。ここでは、日本語に惑わされず、trainはdelayという動詞の動作・作用を受けた側なので、他動詞の過去分詞(delayed )を使って「OOOされた(受動)」という意味を表すことがポイントです。


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