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母語:日本語 VS 他言語:英語

小さい時から子供に英語を学ばせたいと考えている親はとても多い。その理由は、小学校で英語の授業があるから、英語が話せると将来に役立つから、自分が英語を話せなくて苦労したから子供にはそうであってほしくない、といったところが大多数ではないだろうか。

先日、あるお母様から相談をいただいた。息子(6歳)のオンライン英会話の初回クラスで、クラスが終わった後に息子が「難しい」と言って泣いてしまった。申し込みしたばかりで、まだたった1回のクラスしか受講していないが、辞めるべきかどうかを迷っていた。お母様自身は、日常会話をスラスラ話せる程度の英語力を持っている。そのお母様が横で見ていても、6歳の子が初めて受けるクラスの内容としては、取り上げている単語が難しい、と感じられたとのこと。

私はそのお母様からもっと詳しい状況を、細かく質問をしながら聞き出した。そのオンライン英会話クラスは、マンツーマンではなくグループクラス。以前からずっと学び続けている子と、初めてクラスに参加する子というのは関係なく、全員が年齢別でクラス分けされる。そうすると、相談者のお母様の息子は初回のクラスで「難しい」と感じても、同じ年齢の他の生徒からしたら積み上げてきている分、難しいとは感じない。

私の所見は、その6歳の男の子は、クラスの内容が難しくて泣いてしまったのではなく、初めて聞くフィリピン人講師の英語に対して、防衛反応のような形で萎縮してしまったのだ。6歳であっても既に母語である日本語脳は固まりつつある。そこに全く違う言語が聞こえてきたため、分かりやすく言うと、びっくりしてしまったのだろう。絶大な信頼を置いている母親から愛情込めて語りかけられ、親しんできた言語でないため、「分からない、理解できない」と一気に不安を感じ、クラス中は我慢していたかもしれないが、クラス後にその我慢と緊張の紐がほどけて泣いてしまったのだ。

この「萎縮」という現象は、子供だけでなく大人にももちろん起こる。私のクライアントさんからのフィードバックにあったのだが、フォニックスを習得するまでは、自分の耳にも脳にも全く英語が入ってこなかったが、つまり、チンプンカンプンだった、ということだが、A~Zまでのフォニックス習得と、文章の中でその音をどう繋ぐのかを実践していく中で、不思議なくらい何の文字や単語を発しているのかが聞こえるようになった、と。しかも、意識して聞こう、リスニング練習しようとしなくても、テレビやラジオから何気なく聞こえてくる英語が入ってくるようになったとのこと。

ただし意味は分からないんです。。。

そう!この「意味を知ろう」とすることが、実は母語でない言語に触れたときに起こる萎縮に対する防衛反応の一つなのだ。英語初心者にとって意味が分かるという事は、日本語で理解することになる。日本語で理解することによって「分からない、理解できない」=「不安」を解消しようとする。言語の世界でこの不安が募ると、イライラし始め、自分の存在価値を脅かされるように感じ、大きな孤独と孤立の中に自分を置くことになる。だから、先ほどの相談者のお母様もその息子も、大きな不安を感じ、そこから抜け出すためには「分かる」=「安心」のエリアに行きたい、そのためにはどうしたらいいのかと、私のところに相談に来られたのだ。

日本語脳を持っている私たちにとって、英語を日本語で落とすことによって、英語を理解できた、習得できていると思い込みをしやすい。だから多くのお母様たちは子供に英語を学ばせるとき、子供が楽しんでいるかと同時に理解できているか、に期待が傾いてしまう。同じように、多くの英語学習初心者は英語を日本語で理解する方へ時間を費やしてしまう。子供でも大人でも「理解」を求め始めると急激にやる気がなくなり、英語学習が衰退してしまう。なぜなら、聞いた英語を自分の知っている日本語に結びつけなくてはいけないので、理解のハードルが高すぎるのだ。

それでは日本語を母語として持っている英語学習初心者はどんな学習をしていったらいいのか。。。

答えはシンプル。

英語の音を知ることに徹底的に重点を置く。

英語の音を知るためには、まず、一文字ずつの音を聞き、音が発せられる時の相手の顔の表情や、口や舌の使い方を見る。それを真似して発声する。自分の口から音を発することで、その音を耳と脳が認識し、英語の音が定着していく。私のセッションでは「文字の音を潜在意識にすり込みましょう」とクライアントさんに言っている。初めの英語学習のステップをから入ると、壁となってしまう「理解しようとする」ことから離れることができる。

理解は後でついてくるもの。というか、理解は後から自分でつけていけるもの。目の前の英語講師や英語コーチに教えてもらわなくても、理解は自分で身につけられる。単語や英文の意味をネットで調べるもよし、英英辞書などを使い、他の英語での説明で理解するもよし、もちろん目の前にいる会話の相手(外国人)に、分からない英語の意味を聞きながら、それさえも会話として習得するもよし。

英語の音が聞こえればその他のスキルはいくらでも乗せられる。英語を理解するというのは、英語を日本語で訳すことではなく、英語を英語で感じ受け取れるようになることであり、英語の文化を楽しむことにある。

ただし、母語が日本語である私たちは、英語の音が聞こえるようになった後は、その英語の意味を日本語で落として理解してもいいのだ。むしろその方が「安心」して英語を学び続けることができる。言語を身につけるのは一生ものなので、2、3年で英語を理解できるわけがなく、5年、10年、20年と繰り返し繰り返し英語を聞いて発して潜在意識にすり込んでいく。そしてそのベースを「英語の音が分かる」に置いておくと、一生ものの言語の学びが楽しく続けられる。

私たちが母語である日本語を持っていることはとても大事なことで、自分の存在価値を絶対的な安心に置いてくれる。しかしその母語ゆえに、他言語を習得するときに防衛反応が起こり、母語で他言語を理解しようと必死になってしまう。母語をセンターに置きながらも、他言語を取り入れるときは「音」から入ることで母語が邪魔をしなくなる。

「音」さえ習得できれば、あとは母語が助けとなり他言語をうまく効果的に取り入れることができる、という仕組みだ。

この「音」について興味のある方は、今モニターを募集しているので、ぜひお問い合わせいただきたい。


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