トツキトウカの日
2020.09.24
トツキトウカの出産予定日。
私たちが描いてた未来は、10ヶ月ちょっとお腹ですくすくと育ち、9月末に産声をあげて娘が生まれてきて、4人家族になる未来でした。
問題なく無事に出産した場合、おそらく「予定日より早かった」「予定日より遅れて生まれてきた」という話題にはなるけれど、お誕生日が大切な記念日となり、出産予定日を後々まで特別に思い入れることはないような気がします。
死産の場合は、お誕生日=命日になり、多くの場合は、その日の後に幸せな未来を描いてた思い入れのある「トツキトウカ」の出産予定日がやってきて、深い悲しみの中で迎えることになります。
「出産予定日がくるのが辛い。」
夫にそう伝えると。
「俺、休み取ろうと思ってる」
その時、私は夫の優しさに感謝せずに、「えっ、やめてよ。なんでもない日として過ごそうと思ってるのに。」と答えてしまいました。本心でした。なんとも可愛げのない妻です。
そんなイキサツがあり、話がこじれて「やすむ」「やすまない」の一悶着はありましたが、息子は保育園にお願いして、久しぶりに夫婦で過ごすことにしました。
夫が提案してくれたこと。
「水天宮に子授かり祈願に行こう!」
死産から2ヶ月が経ち、2回目の生理があったこの頃、年齢のタイムリミットが迫っている私たち夫婦は、悲しみの中にいながらも、次の妊娠・出産を考えていく必要がありました。
息子は水天宮にお参りした直後に授かり、戌の日に安産祈願もしていただきました。
思い返して気づいたことは、娘とは水天宮の思い出がありませんでした。娘の戌の日も水天宮でと思っていましたが、コロナ禍の緊急事態宣言が出たばかりで、感染したら安産もなにも本末転倒なのでと控える選択をしました。安産祈願のお参りしてたら…何か運命が変わったのかもしれないと思ってしまう私がいます。
色々な想いが出てきますが、夫が前向きなプランを考えてくれてたこと、とても嬉しかったです。
水天宮まで久しぶりのドライブデート。首都高を通って都内に。戌の日でもない、世間にとっては、ただの平日で、パラパラとお参りにこられる人がいました。私は、ご祈祷をお願いしましたが、ご社殿に入れるのは本人のみで、指定の時間までは、密を避けるため屋外で待つようにとのことでした。
夫は仕事の電話が入ってしまい、ひとり人間観察をして時間をつぶしました。仕事の合間なのか、ひとりでお参りするスーツの男性がちらほら。各家庭にきっと色々なストーリーがあるんだろうな~なんてことを考えていました。
時間になり、指定された場所に行くと、なんと…私だけでした。ありがたすぎて、お作法に緊張しまてしまいましたが、女性の宮司さんがご祈祷してくださいました。私の名前だけが呼ばれ、祈願の間合いも私にあわせてくださる、それはとても特別な時間でした。
そして、屋外にあるお犬様のお腹を撫でて、夫と一緒にガランガランと鈴を鳴らして手を合わせてから、水天宮を後にしました。
その後、事前に調べたところでランチをして、カフェに行き、2ヶ月後検診で病院へ行くというフルコース。
2ヶ月後検診では、担当医から「すごいきれいだよー!前回(1ヶ月検診)と全然違うからね。」と、とびっきりの笑顔で子宮を褒めてもらい、またパワーをいただきました。本当に言葉でパワーを注入してくれる素敵な先生です。
デートの最後に、息子を二人で迎えに行きました。パパがいることにビックリしつつも、とびっきりの笑顔で息子が教室から飛び出してきました。
そんな1日の最後にわかったこと。
「トツキトウカの日」は、娘がお腹の中にいた証に私たちに残してくれた日。
その日は、悲しみとともに、次なる未来へ夫婦で一歩踏み出した日になりました。
お読みいただき、ありがとうございます。
lily
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