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日記: マカロンさえ摂取していれば十時間は全力で集中できる(2024/11/1)

昨夜は夢を見なかった。雨音がかすかに聞こえていた気がするが、冥く重い夜の森に閉じ込められているような、じっとりとした眠りだった。

目が覚めてみると雨はやんでいる。ただ、空気は湿っていて、風は雨がいまにも降り出しそうに不穏な気配。ウォーキングはやめて墓参だけにした。ダリアと菊は雨に濡れていた。雨が降っているからあんまり意味がないのだけれど、水を替えて綺麗に活けなおした。

朝ごはんはカブの葉と油揚げを炊いたん、トマトスライス、豆腐とかぼちゃのお味噌汁、焼きおにぎり、みかん。
朝食ができる頃には少し強めの雨が降り始めていて、いつものスズメ氏たちはこなかった。半分に切ったみかんと殻を剥いて少し砕いたひまわりの種をおいておいた。あとで見てみると、食べた形跡があったから、もしかしたら雨のなか来てくれたのかもしれない。

朝ごはんを食べながらSNSを巡回していると、もうXは「社会」としての寿命が来ているなとか強く思う。まだ残っている住民は、自分を中心としたクラスタが損なわれることが恐ろしいから動けずにいるんだろう。しかし、なんであれ、どんなところであれ、終わりはくる。

BlueskyやThreadsなどに移住した者たちは、まず自分を中心としたその移住先の情報密度や人口密度の低さにしばらくは耐えなくてはならない。いやまあ、ずっと独りぼっちでもいいというひともいるんだろうけれども、たいていは、自分にとって「ソサエティとみなしうる場」になってこそ面白くなるものだろう。
しかし、BlueskyやThreadsは新興プラットフォームゆえに、人口はまあ別として持っている情報の総量が少ない。Xで検索して出てくるものも、移住先では検索結果に出てこないことも多い(Threadsの場合、検索エンジンの精度をわざと上げないのは、プラットフォームが所有している情報の絶対量が少ないからだろう)。

だからというわけではないが、これはあくまでぼく個人のSNSの利用の仕方でしかないが、自分が面白いと思えるポストに出会えたら、それに見合ったなにかを「プラットフォームへ」返すということを心がけたい。
ソサエティであるためには、まずそこに情報の蓄積がなければならない。それを伝って、人間と人間は結びついていく。「お腹が空いた」、「眠い」、「セックスしたい」、それもまあ情報ではあるが、それ以外にも、つまり「思考のヒントになるもの」「表現や感情を触発するもの」「自分を善くするもの」もそのうちに含まれていないと、住民は増えないし、ソサエティにまで育たない。しばらく前まで長くSNSから離れていて、余計にそう思う。まあ、当たり前のことだが。

いつものように仕事。室内も湿度も高く空気もひんやりしていて、ロンTで机に向かっているとお腹が痛くなってきた。さらにもう一枚羽織って床に座ってしばらく休憩。
クッションを抱きしめて、間歇的にぎゅうっと内臓を絞ってくる痛みに耐えながら、なんとなくともちゃんを思い出していた。彼女は生理痛がきつくて、よくお腹を押さえて座り込んでいた。うーんうーんと声を出し、しんどそうでかわいそうで、ぼくは後ろから抱っこしてお腹をさすったりしていた。うざかったろうか…ほんとに痛いときは気が散って余計にしんどかったりしたんじゃかろうか…などと、ぐるぐる考えていた。

お昼ごはんは、冷凍庫にあったトマトソースでグラタン。具材は鰯のコンフィとじゃがいも。そして午後も仕事。いただきもののマカロンを食べながらえっちらおっちら。アリシア、マカロンぐらいじゃ10時間の全力集中なんてできないよ。

午後も雨が降ったりやんだりで、家の周りも静かなもので雨音くらいしか聞こえない。気がついたらすっかり暗くなっている。
お風呂に入って、夕食。茄子とピーマンのラー油和え、セロリとささみのサラダ、蕪のおかゆ、お茶。

夜は読書と音楽。
イーサン・ドイル・ホワイト(河西瑛里子・定木大介 訳)『Pagans 多神教表象大全』読了。ペイガニズムと言っても概念はずいぶんぼんやりしていて、けっきょくこの本を読んでも核心はよくわからない。

「ペイガニズム」というのは非常に問題の多い概念である。キリスト教徒と非キリスト教徒、真の宗教と迷信的な偶像崇拝を区別するというキリスト教の宣教師の思考様式を人々に強いるからだ。人類学者や宗教学者がもはや単一の通文化カテゴリーとしてはこの言葉を使わず、例えば、アフリカの伝統宗教や東アジアの宗教、あるいはアメリカ先住民の宗教といった言い方を好むのは、驚くべきことではない。この言葉が居残るのは、キリスト教が古代や中世に遭遇したヨーロッパの諸宗教について論ずる歴史学者や考古学者の間くらいだが、ここでさえ、「伝統宗教」のような他の言葉への置き換えが一般的になりつつある。「近代のペイガニズム」について語るときだけが、より安全な用語の領域に達するのだ。

『Pagans 多神教表象大全』p.22

しかしあくまで、多神教の表象に関する資料を集めた本なんだから、あまり期待をし過ぎてもよくないのだろう。ペイガニズムとヨーロッパのゴシックメタルやシンフォニックメタル、さらにナショナリズムやオルタナ右翼との関係が気になっているぼくとしては、図版資料が多くて、そこは参考になった。

そろそろ寝ようかという時間になって、Aisha M. Beliso-de Jesús『Excited Delirium: Race, Police Violence, and the Invention of a Disease』という本をBlueSkyで知る。
たまにXで見かけていたEXD (Excited delirium syndrome)という「症候」と、サンテリア信仰と関係づけた有色人種に対するレイシズムとの深いかかわりを説いた本らしい。EXD(ExD, ExDSなど表記される)は、Bibgraphにも載っているワードなのに。今日いちばんの驚きだった。

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