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京都丹後の旅

丹後?
天の橋立?
町内会のおばさま方がバスで行くところ?
なんと私としたことが
京都にある日本海に何の興味も抱いていなかったところから今回の旅ははじまった。
というのも、今までは旅自体の目的がリゾートだったり買い物だったり
古城をめぐるだとか美術館に行くだとかだったために、日本の美しい場所に取り立てて目を向けていなかった。
彼の人と出逢い、お互いに忙しい時間をやりくりして、よくふたりで旅をするようになった。
今回の旅は、古くは大陸から船がやってきた表舞台であったであろう港のある丹後。
そして有名な天の橋立。これは天への架け橋
を作っていたイザナギが居眠りをしていて
倒してしまったことにより出来たのだと言われている。
たくさんの人で賑わっていたかのような
雰囲気を残しつつも、今はとても静かな場所だった。

まず籠(この)神社に参拝し
すぐに隣の真名井神社へ向かった。
だいぶ歩いて山の奥へ奥へと入っていく。
狛犬ではなく狛龍が出迎えてくださる。
磐座から生えたふたつに分かれた大きな木に
天照大神そしてイザナギ、イザナミが分かれて
祀られている。
2500年前からそのままの形で祀られている古代祭場とのこと。
山神さまのようでもあり、
決して姿を現さぬぞと
おっしゃっているかのような
何とも不思議な気を感じた。

そして丹後には富士酢の醸造所があることを知り、訪ねた。400年前からあるその醸造技術で作られた見事なお酢は思いもよらぬこんなところで作られていたのだと知り、嬉しくなる。

老舗感抜群


ホテルに着いて
体調すぐれない彼は昼寝をするも
夜になっても体調戻らず、大好きなお酒も飲まず、その長い夜を彼が持ってきた本の音読をしながら過ごした。

太宰治、坂口安吾、夢野久作、酒好きの著名人が酒にまつわるエピソードを書いた短編集だ。なかなか面白いが飲んだくれてるには訳がある。酒に溺れているのはきちんと理由がある。だらしなくただ飲んでる訳ではないという内容だ。
なるほど
酒も飲んでるうちに面白いことになってくる。
誰とどう飲むかそして酒の席ではどう転がるか
わからないことがロマンでもあり冒険でもありホッと出来る場でもある訳だ。
わたしたちの
目的を決めない旅に感性が働き思いもよらぬ自分を見つけたり作られすぎないその景色に
懐かしさを感じたりするやわらかなエネルギーの喜びも酒を飲む男たちの喜びも
感じるものだからこそ面白い。
旅で大切なのは誰といくか。
お酒もそうなのだろうと丹後のホテルで
ぼんやり考えながら早々に深い眠りに落ちた。

翌朝すっかり元気になった彼と
朝ごはんをいただきながら、また丹後の内海の輝きを見つめた。
『よく眠ったね。』
お互いそう言いながら、真名井神社の、他に2つとない成分の御神水がふたりに深い眠りをくださったのかもと思った。
たった二泊三日の小さな旅ではあったが
感じたこと、感謝したことが
とても多く、静かな丹後は思い出の地となった。

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