見出し画像

最終話『世界の中心でアイを叫んだけもの』/新世紀エヴァンゲリオン

自分がいなくなること
でもこんな自分ならいなくてもいいと思う
どうして?
だって私はいらない人間だもの
やっぱり僕はいらない子供なんだ
僕のことなんてどうでもいいんだ
どうでもいいと思うことで逃げてるでしょ
失敗するのが怖いんでしょ
人から嫌われるのが怖いんでしょ
弱い自分を見るのが怖いんでしょ
そんなのミサトさんも同じじゃないか
そうよ私たちは皆同じなのよ
心がどこか欠けているの
それが怖いの
不安なの
だから今1つなろうとしている
お互いに埋め合おうとしている
それが補完計画
人は群れていていなければ生きられない
人は1人で生きていけない
自分は1人しかいないのに
だから辛いんだな
だから寂しいのよ
だから心を体を重ねたいの
ひとつになりたいのね
人は脆く弱いものでできている
心も体も脆くて弱いものでできている
だからお互いに補完し合わなければならない
そうしなければ生きていけないからだ
なぜ生きてるの?
それを知りたくて生きてるのかな
誰のために生きてるの
もちろん私のためよ
多分じぶんのために
生きていて嬉しい?
分からない
生きていて嬉しい?
嬉しいに決まってるわよ
生きていて嬉しい?
楽しいことしかしたくないの
寂しいのは嫌いかい?
好きじゃないです
辛いのは嫌いかい?
好きじゃないわ
だから逃げるのか?
そうよ嫌な事から逃げ出して何が悪いって言うのよ
逃げちゃダメだ
どうして逃げてはいけないの?
逃げたら辛いんだ
辛いことから逃げ出したのに?
辛かったんだ
辛いことがわかってんなら、それでいいじゃん
そう、辛かったら逃げてもいいのよ
本当に嫌だったら逃げ出してもいいの
でも嫌だ、逃げるのはもう嫌なんだ
そう逃げちゃだめなんだ
それはただ逃げる方がもっと辛いと感じているからよ
逃げ出した辛さを知ったから
だから逃げるのが嫌なのね
だって逃げ出したら誰も相手にしてくれないんだ
僕を見捨てないで
お願いだから僕を捨てないで!
人の言うことには大人しく素直に従う
それがあの子の処世術じゃないの?
そうだよ
そうしないとまた捨てられちゃうんだ
自分が傷つくのが怖いんでしょ
そう思い込んでるだけでしょ
傷ついてるのはシンジ1人じゃないよ
難儀なんはお前一人やないで
そう考えると楽だからそう思っているだけね
うるさいそんなの関係ないよ
僕のことなんかどうでもいいんだ
そうやって直ぐに自分の価値を放り出す
私には何も無いもの
まあた価値がないだと思い込む
そう思って何もしなければ傷つくことも無いもの
人に褒められることで自分を維持しているのよ
誰も僕を受け入れてくれないんだ
そう思い込んでるだけでしょ
だから僕はエヴァに乗らなきゃいけない
自分には最初から価値がないと思い込んでるだけなんでしよ
そうしなきゃいけないんだ
そんなことないさ
そう思い込んでるだけやできっと
違う僕に価値はない
誇れるものがない
だからエヴァに乗ってる
エヴァに乗ることで僕は僕でいられる
エヴァに乗ることで私は私でいられる
エヴァに乗る前の僕には何もなかった
僕はエヴァに乗っているからここにいられる
他には何も無いの
他には何も無いもの
僕には何も無い、何も無いんだ
僕には無い
僕は僕が嫌いなんだ
あんたなんか嫌い嫌い大っ嫌い
お前なんかだいっ嫌いや
僕は嫌いだな君のことが
ごめんなさいあなたのこと嫌いなの
嫌いね
嫌いですね
嫌いだよ
嫌いですあなたのこと
嫌いだな君のことが
大っ嫌い
ほらみんなそう思ってる
きっとそう思ってるんだ
そう思い込んでるだけでしょ
違う
だって僕は僕が嫌いだもの
だから皆もそう思い込んでる
嫌い嫌い大っ嫌い
でも褒めてくれるんだ
エヴァに乗ると褒めてくれるんだ
人に褒められたんだ
人に褒められたんだ
どちらがほんとの気持ちなの?
わからない
いやどっちもホントの気持ちだ
だからエヴァに乗るのね
今の僕にはエヴァしかないから
そうしないと自分が保てないのね
確かにエヴァ初号機はあなたの心の一部だわ
けどエヴァに縋っているとエヴァそのものがあなた自身になってしまう
エヴァそのものが君の全てになってしまう
本当のあなた自身はどこにもいなくなってしまうのよ
いいんだ、元々僕にはなにもなかったんだ
習っていたチェロだって何にもならなかったんだ
自分から何もしなかっただけじゃないの
でもエヴァに乗れるんだ
でそのうちエヴァが無ければ何も出来なくなるのよ
私みたいに
それが僕のすべてだから
雨、憂鬱な気分
僕の気分みたいだ、好きじゃない
夕日
消えていく命
私の願い
好きじゃない

今日の始まり
嫌な一日の始まり
好きじゃない
青い空
暖かいもの
なれないもの
怖いもの
いらないもの
好きじゃない
みんなみんな大っ嫌い
何を願うの?
何が欲しいの?
何を求めているの?
私を嫌わないで
怖いものは
そばにいてもいいの?
ここにいてもいいの?
私のこと好き?
ママのところにいきたいの?
行きたくない
お父さんの所へ行かないの?
行きたくない
どうして?
嫌われるのが怖いから
私が消えてしまうのかもしれないから
何を願うの?
何を求めるの?
幸せではないのね
その前に欲しいんだ
僕に価値が欲しいんだ
誰も僕を捨てない大事にしてくれるだけの
それはあなた自身で認めるしかないのよ
自分の価値を
僕に価値がない
生きていくだけの価値がない
ではあなたは何?
じゃあ僕って何?
僕ってなんだ?
これは?
僕だ
僕を他人に見せている形
僕という記号だ
これも
これも
これも
みんな僕を表すものに過ぎない
僕を他人に認識させているものに過ぎない
じゃあ僕ってなんだ?
これは僕?
本当の僕?
偽りの僕?
あなたは、あなた
ただあなた自身の広がりと境目があるの
そうだ
僕の服
僕の靴
僕の部屋
それらは僕の1部
あなたの意識で繋がっている、もの
僕と感じているものが僕
でも僕がわからない
僕はどこにいるんだ
僕ってなんなんだ
僕ってなんなんだ
誰も僕のことなんてわかってくれないんだ
あんたバカァ?そんなの当たり前じゃん
誰もあんたのことなんてわかんないわよ
あなたの事を労り、理解できるのはあなた自身しかいないのよ
だから自分を大事にしなさい
そんなこと言ったって自分が無いんだ
わからないんだ
大事にできるわけないよ
やはり不安なのよ
今のあなた
今のあなたの周りの人々
今のあなたを取り巻く環境
どれもずっと永遠に続くものでは無いわあなたの時間は常に流れ
あなたの世界は変化の連続でできている
何よりもあなたの心次第で
いつでも変わるものなのよ
これは何?
何も無い世界
誰もいない世界
自由の世界
自由?
何者にも束縛されない自由の世界だよ
これが自由?
そっ、自由の世界
その代わりに何も無い
僕が考えない限り
そうあなたが考えない限り
そんな
どうしたらいいのかわからないよ
不安なのね
自分のイメージがないのね
漠然としすぎている
何も掴めない世界
君の好きにしていい世界
けどあなたは不安なのね
どうしたらいいのか分からないのかね?
どうしたらいいんですか?
不自由をやろう
ほらこれで天地ができたわ
でもこれで自由が1つ消えた
あなたは地に立たなければならない
だが君は安心する
自分の心が少し楽になったから
そして歩いてみる
それはあなたの意志
これは僕の意志?
世界に地が存在するのはあなたの周りの世界
せやけどお前は自由に動けるんや
その気になれば世界の位置を変えることもできるさ
そして世界の位置も常に同じところではないの
時の流れと共に変わっていくのさ
君自身も変わることが出来る
お前をかたどっているのはお前自身の心とその周りの世界だからな
だってこれはあなたの世界ですもの
あなたが捉えている現実の形なのよ
これは?
何も無い空間
何も無い世界
僕の他には何も無い世界
僕がよく分からなくなっていく
自分がなくなっていく感じ
僕という存在が消えていく
ここにはあなたしかいないからよ
僕しかいないから
自分以外の存在がないと、あなたは自分の形が分からないからよ
自分の形
そう他の人の形を見ることで自分の形を知っている
他の人との壁を見ることで
他の人との壁を見ることで自分の形をイメージしている
あなたは他の人がいないと自分がみえないの
他の人がいるから自分がいられるんじゃないか
1人はどこまでも1人はじゃないか
世界はみんな僕だけだ 他人との違いを認識することで自分を象っているのね
一番最初の他人は母親
母親はあなたとは違う人間なのよ
そう僕は僕だ
ただ他の人たちが僕の心の形を作っているのも確かなんだ
そうよ碇シンジ君
やっとわかったの?バカシンジ
ようやくお目覚めねバカシンジ
なんだアスカか
なんだとは何よ
こうして毎朝遅刻しないように起こしに来てやってるのに
それが幼なじみに捧げる感謝の言葉?
うんありがとう
だからもう少し寝かせて
何甘えてんの?
もう、さっさと起きなさいよ
エッチバカ変態!信じらんない
仕方ないだろ朝なんだから
シンジったらせっかくアスカちゃんが迎えに来てくれてるのに、しょうのない子ねえ
ああ
あなたも新聞ばかり読んでないでさっさと支度して下さい
ああ
もういい歳してシンジと変わらないんだから
君の支度はいいのか?
はいいつでも、もう会議に遅れて冬月先生にお小言言われるの私なんですよ?
君はモテるからな
バカ言ってないでさっさと着替えてください
ああわかってるよユイ
ほらさっさとしなさいよお
わかってるよ本当うるさいんだからアスカは
なんですってえ
じゃあおば様いってきまーす
いってきます
はい行ってらっしゃい
ほらもうあなたいつまで読んでるんですか?
ああわかってるよユイ
今日も転校生が来るんだってね
まあねここも来年は遷都されて新たな首都になるんですもの、どんどん人は増えていくわよ
そうだなどんな子かな、可愛い子だったらいいな
んもう
あー遅刻遅刻う、初日から遅刻じゃかなりヤバいって感じだよねえ
ハッハッ
あいたたた
ごめんね、マジで急いでたんだ
ほんとごめんねー!
なーにい!んで見たんかその女のパンツ
別に見たって訳じゃあチラッとだけ
朝っぱらから運のええやっちゃなあ
いきなり何すんのや、もう委員長
鈴原こそ朝っぱらから何馬鹿なこと言ってんのよ
ほら、花瓶の水替えてきて週番でしょ?
ほんまうるさいやっちゃなあ
なんですってえ
尻に敷かれるタイプだな、トウジって
あんたもでしょ
なんで僕が尻に敷かれるタイプなんだよ
何もほんとのこと言っただけじゃない
どうしてだよ
見たまんまじゃなーい
アスカがいつもそうやってポンポンポンポン言うからだろ
うるさいわねバカシンジ
いやー平和だね
おおー!ミサト先生や
おおー!やっぱええなあミサト先生は
何よ3バカトリオが、バッカみたい
喜べ男子、今日は噂の転校生を紹介しよう
綾波レイです、よろしく
あああんた!今朝のパンツ覗き魔!
ちょっと言いがかりはやめてよ
あんたがシンジに勝手にパンツ見せたんじゃない!
あんた事なに?すぐにこの子庇っちゃってさ、何デキてるわけ2人?
ただの幼なじみよ、うっさいわね
ちょっと授業中よ、静かにしてください
あらあ楽しそうじゃない私も興味あるわ
続けてちょうだい
そうだこれも1つの世界
僕の中の可能性
今の僕が僕そのものでは無い、色んな僕自身が有り得るんだ
そうだ
エヴァのパイロットではない僕も有り得るんだ
そう思えばこの現実世界も決して悪いもんじゃないわ
現実世界は悪くないかもしれない
でも自分は嫌いだ
現実を悪く嫌だと捉えるているのは君の心だ
現実を真実に置き換えている君の心さ
現実を見る角度、置き換える場所
これらが少し違うだけで心の中は大きく変わるわ
真実は人の数だけ存在する
だが君の真実は一つだ
狭量な世界観で作られ自分を守るために変更された情報
歪められた真実さ
ま人ひとりが持てる世界観なんてちっぽけなもんや
だけど人はその自分の小さな物差しでしか物事を測れないわ
与えられた他人の真実でしか物事を見ようとしない
晴れの日は気分よく
雨の日は憂鬱
と教えられたらそう思い込んでしまう
雨の日だって楽しいことはあるのに
受け取り方ひとつでまるで別物になってしまう脆弱なものだ、人の中の真実とはな
人間の真実なんてその程度のものさ
だからこそより深い真実を知りたくなるがね
ただお前は人に好かれることに慣れていないだけだ
だから
だからそうやって人の顔色ばかり伺う必要なんてないのよ
でも、皆僕が嫌いじゃないのかな
あんたバカァ?
あんたが一人でそう思い込んでるだけじゃないの
でも僕は僕が嫌いなんだ
自分が嫌いな人は他人を好きに、信頼するようになれないわ
僕は卑怯で臆病で狡くて弱虫で
自分が分かれば優しくできるでしょう?
僕は僕が嫌いだ
でも好きになれるかもしれない
僕はここにいてもいいのかもしれない
そうだ僕は僕でしかない
僕は僕だ、僕でいたい
僕はここにいたい
僕はここにいてもいいんだ
おめでとう
おめでとう
おめでとう
おめでとう
おめでとう
おめでとう
めでたいな
おめでとさん
クックックーク!
おめでとう
おめでとう
おめでとう
おめでとう
おめでとう
ありがとう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?