孔雀

西へと海沿いに車を走らせ友人を訪ねた。小さな島だけど、フリーウェイでは100キロくらいで飛ばして、田舎道をトロトロやり過ごし1時間くらいかかる。

マカハ。この辺りは、森林保護区だけあって自然たっぷりだ。

恋人と別れて、新しいスタートを切りたいという友人と、とっぷり日が暮れるまでお喋りをした。
お喋りというほど夢中になれるような話題があるわけでもなく、上司の言い間違い事件や、お決まりのダイエットの話題、仕舞いには、大根は水から茹でるかお湯からか・・・なんて。

冷えた白ワインも2本目が空になる頃には、二人とも笑い泣きしながら、流行りのつけまつ毛も取れて、ブラの紐を何回も持ち上げている。

誰に言うでもない文句を言いながら、2階のベランダから下に目をやると、ヤシの木陰に大きな黒い影が行き交う。目を凝らして見ると、それは孔雀だった。

文句は、静かに行き交う孔雀に向けられ、

「おい、聞いているのか!」「こんなにいい女を泣かせるんじゃないよ!」
と言うと、孔雀はその美しい羽根をいっぱいに広げた。

夕陽が、その青色と金色を散りばめたような扇状の羽根を更に美しく光らせた。

私たちは更にもっと泣いた。