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わたしの出産顛末記

このnoteの相互さんの出産記に触発されて書き始めました(アイデア盗用?!いえ、許可済みでございです)。このnoteでも色んな出産記を書いてらっしゃる方がいますね。どれも大変なんだけど、一つ一つドラマで、中には抱腹絶倒なのもあった。

私はというと、抱腹絶倒というにはちょっと遠いけど、産んでから非常に納得がいったので、自分的には面白かった。端から見たらそうじゃないでしょうけど。

さて。私の子どもはお腹の中にいる時、わりとずっと逆子だった。治ることもあったけど、よくクルクル動いてた。

臨月、お医者さまはいった。

「普通は下に降りて、骨盤にはまってうごかなくなるんだけどねえ。よく動くねぇ」

「次にきたとき逆子だったら帝王切開だなぁ。日付はこのあたり。」

その言葉に私は震えた(骨盤にはまって動かなくなるというのもなかなかびっくりだったけど)そりゃ帝王切開と言われてニコニコそうですかと言える人は少なかろう。陣痛からの自然分娩なんだと思い込んでた。それが帝王切開だって?

逆子を治すという体操があって、最後はお医者さまに言われた側に横向きで寝る。ちょうどその向きは夫の顔が見えなくなった。聞こえない私にとり暗がりで視野に誰もいないというのは精神的にきつかった。ちょっと涙が出た時もあった。

運命の健診日。

「逆子なおってるね!」

やったぁ!その時、予定日まで2週間ほど。予定過ぎても気配なかったら入院ね、といわれたけれども、その日にならないとわからないっしょ、と浮かれ気味。

2週間たち、明後日さはいよいよ予定日という日。前の晩気配もないからちょうど休みの夫と買い物行こうかと話して寝て、朝起きようとしたら何かが流れていく感覚。

破水だ!初めてなのにわかった。

それを告げると珍しく夫は慌てて、病院がくれたノートの緊急連絡先のページ分からないといい、冷静に私はここだよと教えた。電話したら破水か分からないので念のため来てくださいとのこと。私は妙に落ちついていて、夫が作ってくれていたパスタをしっかり食べて病院に向かった。美味しかった。

病院に着くと先生は私の顔をみて、あれ?という顔した。

「余裕だね?痛みはあまりないのかな」

それなりに痛みはあったけど、我慢できないほどではない。生理痛の重いくらい。その病院には夫婦2人共通の友人が勤めていて、仕事終わりに夜に見舞いにきてくれたけど、やっぱりあれ?という顔されて、余裕だね?と手話で彼女は言った。  

ああ…陣痛はもっと七転八倒するくらいなんだ。この時ぼんやりと不安を感じた。

レントゲンを撮りたいとお医者さまはいい、体勢的に苦しかったけど、なんとか撮った。

そしてわかったことは。

産道と子どもの頭との隙間がほぼないということ。ぴっちりなんだって。

児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんこう)というらしく。私は身長が150センチしかないんだけど、その身長からもうお医者さまはリスクとして疑っていたらしい。医学書まで出してきて、ほらここに150センチ以下は狭骨盤の恐れとかいてあるでしょと。ご丁寧に。

このまま陣痛が進まなかったら帝王切開だねと最後通牒。

ささやかな抵抗を試みていたけれど、翌朝、予定日ぴったりの日。

やっぱりお腹の痛みはそんなに痛くなくて、決まりだねっ!となった。観念するしかなかった。

一旦出された朝食は引っ込められ、絶食となった。色々なことが恨めしかった。ペットボトルをストローで飲めるやつとかテニスボールとか用意してたのにぃ。聞こえないこともあるし、一応立ち会ってね、とも話してたのに。

なんか緊急手術があったらしく、だいぶ待たされ、手術は夕方になった。

時間になり、生まれたままの姿で術衣きてストレッチャーで運ばれていく。これが急病とか怪我とかなら余裕もないだろうけど、陣痛もそんなにないし、キョロキョロ観察しながら私は運ばれていった。

大きい総合病院なので手術室はいくつかあり、奥に運ばれていった。中に入ると思ったより(わたしには)使わない機械とか置かれていて、雑然としていて、ドラマでみるのと違うやん!と思った。

せーの!とまな板…いや手術台に移されて、眼鏡も補聴器も取られる。手術なので、部分麻酔(全身の人もいますね、ケースによる?)をするわけですが、背骨の骨と骨の間にするんですよ。痛いと聞いていたので、びびっていた。まだ赤子は出ていない大きなお腹を抱えて丸まってくださいと言われた。事前にも説明を受けていたので、うーんと丸まったけど、足りないらしい(丸まった方が骨と骨の間がのびるからそうするらしいけど、しんどい!)。紙芝居みたくスケッチブックに指示が書かれていて、必死だったので忘れちゃったけど、もっと丸まって!とか書かれてだと思う。たくさんの手が私の身体をあれこれ伸ばしたりしてくれて、そのうちにダメだ、と眼鏡と補聴器が目と耳に戻され、「もっと丸まってください!」と言われるも、わかってるよ…でもできないんですよ💦と泣きたい気持ち。そうこうしてるうちに気がついたら入ったらしく、緊迫した空気が緩む。なんか痛いとか感じる暇なかったよ。必死すぎて。

数を数えてみて、と言われて10数秒で足の感覚がなくなった。今触ってますよ、わかりますか?と書かれたスケッチブック。わかりません、というとついに手術は始まった。

聞こえる人は会話が聞こえたり、病院によっては鏡とかで見えちゃうらしいけど、私は聞こえないし、お腹の向こうはカーテンで遮断されている。見たかったなー、つまんないの(見たら卒倒するくせに)。感覚もないので私的にはつまんなかったです。なんか感じちゃうよりはいいか。

そうこうするうちに、子どもはお医者さまにとりあげてもらって、顔を見ることができた。元気にわあわあ泣いてて(補聴器かけてもらったのでなんか泣いてるのはわかった)、あー、これはクルクル動くはずだわと感心し、なんでか涙がでた。

これだけ医学が発達しても、超音波の写真はぼやぼやしてて(私の病院は3Dなかった。でも3Dでもとても詳しくはわからないよね)、だからこういう顔してたんだ!肌白いな!と思って、この子がお腹の中にいたんだなって。なんかね、名前を2パターン考えてたんだけど、この子は元気そうだから、こっちの名前だなって見た時思った。「こんにちは。私たちの世界へようこそ」って感じでみつめたり。それで感極まったかな。

流れた涙はふかれ、さっとむすめは連れていかれ、私はおそらくお腹をちくちく。また来た時と同じようにストレッチャーに移され、運ばれていく。エレベーターに乗せられ、チンと扉が開いたら夫がそこにいた。

そして手話で「早いね!行ったと思ったら、もう帰ってきた」と言い、感動というよりも、はええ!ということに驚いているようだった。感動する暇がないみたいな感じ。時間は40分くらい。

お医者さまによると、子宮の戻りも良かったらしく(自分で戻るの?それとも戻すの?それがどんな状態なのか謎なので聞けばよかったと後悔してる)、大丈夫でしょうということでした。羊水はほとんどなかったらしく、やはり破水だった、早くしてよかったとのこと(破水して24時間以内に取り出さないと細菌感染の恐れがある)。破水かどうかも本人の感覚でしかわからないんだなぁ、妊娠って神秘なことだらけだ。

麻酔はですね、片足から切れると予言されていて、確かにそうでした。割とすぐ切れてきて、片足から感覚が戻ってくる。両足じゃないんだ!と驚く。段々感覚の戻る場所が広がっていき、その間寒くて震えがくる。この辺りは人それぞれだと思うんですけど、やっぱ怖い。産むまでの時間は私は短かったけど、そのあとの後の麻酔がちゃんと切れるかとか術後の痛みはおそらくこっちのほうがコワイ。比べられないけど、精神的に怖い。

痛み止めの点滴打ってくれてるんだけど、痛かったら薬出すよと言われてて、頼まなかったら強いねと言われた…。むむむ。頼めばよかったかしら。次の日は噂に聞いていた、即歩かされーの。動かないと癒着すると聞いていたので、そっちがイヤだ!と張り切ってトイレまで歩き、途中でナースコール呼び出された看護婦さんより先にいっちゃったよね。てへ。

12月のはじめからおよそ10日くらい入院し、入院した時部屋の窓の外は工事してたんだけど、段々足場が取れて、退院する日は紅葉した木々が見れて青空にとても映えていた。あの窓からの景色は忘れないな(このnoteについてる写真がその時の風景です)。

入院中は、これは割愛するけどある理由で授乳にいろいろ苦労したり、ナーバスになることがあった。やっていけるのかなって。夜中それを看護師さんにこぼしたら、柑橘類の香りをつけたてるてる坊主みたいなお人形さんくれて、香りは気持ちを落ち着かせますよって、話を聞いてくれた。ちょっと私と同じドジな人だったけど、私が肌が弱いので、傷を止めるテープをどれにするか色々試してくれたり、仕事だとはいえ優しい人だったな。聞けばナーバスになる人はやはりいるから彼女はお人形さん用意してるんだって。この子は香りはなくなったけど、まだ持ってます。

あ、胎盤は食べはしなかったけど、冷蔵にしてくれて手術翌日に見ました!夫は見るの?と理解できないみたいだったけど、うおーこれが胎盤!まんまレバー!と感動しました!

なぜ逆子が治らなかったか。それは答えを先に書きましたが、骨盤と頭が合ってなかったからなんだろうな。だから骨盤にハマることもなく、くるんくるんと回ってた。帝王切開いやだと抵抗したけれど、終わってみれば、そうしなければ双方どうなっていたかわからかったなと、納得した。合点がいった。答え合わせという感じ。臍の緒がまきついてたとか、そういうのを割と聞くけど、こういうケースもあるんだよということで。経験してから気にしてると芸能人でも結構それになってた人いた。

ちなみに、名前はほぼ夫婦の中で候補でどっちかすぐ一致してたけど、私が実家にいるのもあり、どちらにするかなんとなく話す時間とかがなくて、伸ばし伸ばしにしてて、退院後届を出した(出生後14日までとなってるみたい)。実家からはまだなの?花子さんと呼ぶわとかいろいろ言われたけど、結構ギリギリに出した人周りにもいて、いるんだな!と思った。

それからね、破水の前の日に気配がないから動いとこうと書類を出しにいった市役所の1番上まで階段を歩いて登って下ったのはナイショwそれが破水の原因か?!でも落ち着かなくて行けなかった美容院や夫がジャケットほしいといってて、見に行こうかと話してたのがパァ。結局ジャケットは4年後にしてようやく先日買いに行ったんだよね。美容院もね、早めに言って綺麗にしておくのをお勧めします…。長い髪はとにかく産後は鬱陶しい。

血栓関係の数値が高く、すわ大変と検査したこともあったけど(結果血栓はなかった)、概ね私は予後は順調で、麻酔の副作用もなかったし、痛みも平気なタイプなのか?なんとか耐えたし、むしろ体質が快便体質に変わって(尾籠な話で失礼。人によっては辛い方に体質がかわることもある、傷が痛むとか、前好きだったものが嫌いになったとか)、ドラマチックとかではないけど、以上、私の帝王切開端末記でした。

〈FIN〉

↓おまけ。こっから先は生々しいこと書くので嫌な人は飛ばしてね。



これを書いてる途中、帝王切開楽でいいねといわれて泣いたという従姉妹の夫と義母に怒ったと言うツイを見た。それにはすごいリプがついていた。

私もね、楽でいいねと言われたんですよね。いるんだ!と思ってビックリした。2人いて、一人は大昔出産の方、もう一人は私のちょっと前で長時間かかり、出産時に意識朦朧となり、上に乗られて押されて大変だったらしい。切った方が楽だったかなって。うーん、彼女の場合、そうかもしれないけど、麻酔がちゃんと切れるのか?!という恐怖と、翌日まで尿管カテーテルいれんだよねぇ。あれはなかなかですよ。あと、あまり書かれてないけど、尿の量を容器に入れてしばらく出すんです。これね、結構狭いトイレの中で傷ありの中でやるの苦しい。傷は横に切ってくれた(緊急だと縦の場合もあり)けど、なかなかの長さで衝撃受けるしね。痛むしね。自然分娩で裂けてしまう方もあるみたいだから、色々皆さん苦しいと思いますけどね…。だからどっちがどっちということはないと思うんだけど、なかなか帝王切開がよかった、楽だね、はパワーワードですね。やっぱおるんや!と衝撃的でしたねぇ。しみじみ。













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