陰キャ非モテの私が女装して発展場に行った話#あとがき
あとがき
この物語はフィクションであり、実在の人物、場所とは一切関係がありません。
当然、ストーリーも作者である僕の想像ですが、主人公には共感できる部分があります。
それは自分の中に秘めていたものを解放し、人に認めてもらいたいという欲求です。
主人公が「エリカ」を認識してもらいたく発展場へ出向くように、僕もこの作品を認識してもらいたくここで公開したということです。
本来であれば自分のためだけの秘め事。
それを公開するという意味ではこの作品が僕にとっての「エリカ」というわけです。
元々、こういった世界に興味があった僕ですが、この作品の構想を練っている間に不思議な夢を見るようになりました。
それは僕自身が女装をする夢です。
夢の中では僕は女性の服を着てメイクをし、夜の街で時間を過ごします。
その夢はとてもリアルで目が覚めてからもあれは本当のことだったのではと思うほどです。
不思議とそんな日は目が覚めてからも何だか徹夜明けのような倦怠感に襲われます。
まどろみの中でふとこんな事を考えました。
本当に存在するのは「エリカ」の方ではないかと。
つまりこういうことです。
自分の存在が認められた「エリカ」は、さらに自分を広く認知してもらいたいと考えた。
その手段が「小説」です。
「小説」という形をとれば多くの人に「エリカ」の存在が認知され、読者は自分の中に理想の「エリカ」を思い描いてくれる。
これがエリカが望んだ人に認めてもらうことになります。
そのために作り出されたのが「僕」ということです。
「実在するエリカ」が「実在しない僕」を作り出して「小説」を書かせた。
しかしなぜそんな事をするのか。
「僕が書いた小説」ということにしなければならない理由。
それは一つだけです。
それは、この話が全て「実在するエリカが体験した現実に起きた事」であるということ。
現実であるエリカの話を小説ということにする為に架空の作者である「僕」を作り上げたということです。
今、僕の隣にはキャリーバッグが置かれている。
その中身はなんだろうか。
今日もきっと夢を見る。
甘美で妖艶な夢。
そしてまた「新しい小説」が生まれる。
エリカの話はこれからも続く。
だって私はどこへでも行けるのだから。