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【一般TCG理論】MtGライクなTCGにおいて、テンポを損ねたりデッキの構造を歪めてまで再現性を上げるのが強いのだろうか

0.はじめに

みなさまこんにちは、liliと申します。
今回は以前のnoteで軽く触れた、「再現性」に関するお話をできればと思います。
今回の話は主にMtGやデュエル・マスターズなどの、カードを使用する際に基本的にマナと手札のリソースを消費しながら戦うカードゲーム(このnoteでは以後MtGライクなカードゲームと呼ぶ)に関するお話です。他のカードゲームについても触れますが、基本的にデュエル・マスターズ・プレイス(以下デュエプレ)というDCGのカードやデッキなどをベースで話すことが多いと思います(筆者が長くプレイしていてかつ実績も多少あるカードゲームであるため)。
なお、何かしらの行動する際にマナリソースを基本的に消費するという観点から、今回は筆者の主観ではありますがMtGやデュエマだけでなく、WIXOSSやワンピースカードゲームもこのnoteではMtGライクなカードゲームに分類します(WIXOSSはマナリソースが基本使い切りである上にシグニの召喚にマナリソースを基本的に必要としない、ワンピースカードゲームはマナリソース=ドンを打点増強にも使える上にリーダーカードなどの別システムがあるため、これらは一概にMtGやデュエマと同じとはいえないが、「マナと手札の限りあるリソースの中で行動する」という観点で見れば同じと判断したため、今回はこのような分類をさせていただく)。
また、遊戯王やポケモンカードゲームのような、カードを使う際に基本的に手札のリソースのみを消費するカードゲームはまた話が変わってくる(遊戯王は逆に再現性を上げるカードとそのカードや盤面展開をメタるカードを大量に入れる、ポケモンはゲームシステム上派手なドローソースや大量のサーチ札を入れることが多い)ので、今回の話の範囲の対象外とします、ご了承ください。

1.デッキの「再現性」を上げるために有効なこととそのリスク

そもそも、「再現性」とはなんなのか。
以前のnoteでも軽く触れたが、要は「デッキの軸になる強い動きをどれだけ安定して行うことができるか」を指す(と筆者は考えている)。
デュエプレのデッキをを例にして強い動きを出すと、モルネクであれば4〜5ターン目にモルネクを投げる動き(ジャクポ経由も込みで)、アガサ天門であれば246でブーストしながら4ターン目に天門でアガサ+ミルザムを投げる動き、青単リキピであれば2ターン目マイパッド→3ターン目エリートジャバ+クロス2ndの動きである。
デュエマやデュエプレをやっていない方はこれらの動きをそれぞれ「4ターン目〜5ターン目にフィニッシャー着地」「大型クリーチャーを4ターン目に踏み倒し」「3ターン目に手札を揃えながら初期枚数のシールドを全て割り切れるだけの打点を揃える」と考えてください。
これらの強力な動きを毎試合行えるようにするために再現性を上げたい場合、主なやり方としては
・キーパーツをそれぞれ最大枚数まで採用する
・キーパーツをサーチできるカードや、キーパーツを引き込むためのドローソース、ルーターを採用する

がある。
しかし、筆者は無理にデッキの再現性を上げると犠牲になるものが主に二つあると考えている(主に後者のやり方で再現性の担保をしようとした場合)。
それは、「構築の統一性」「出力」である。
それぞれ確認していく。

・「構築の統一性」について

要は、「デッキ全体をそのデッキのコンセプト・主な勝ち筋にどれだけ寄せているか」である。
基本的に何かしらのコンセプトを持ったデッキには、何かしら明確なキーカードと勝ち筋が存在する。

例えばデュエプレの「モルトNEXT」のキーカードと勝ち筋を簡潔に説明すると、以下の通り。

・キーカード
各種ブーストカード、《超戦龍覇モルトNEXT》
・勝ち筋
ブーストカードを使って早く火ドラゴン5枚を含む6マナか7マナに到達した上で《龍秘陣 ジャックポット・エントリー》を経由するなどして《超戦龍覇 モルトNEXT》を場に出し、《銀河闘将城 ハートバーン》と組み合わせたワンショットで殴り切るか、バトライ閣を絡めたドラゴンの大量展開を絡めた物量で押し切る

5cコントロールのように、カード1枚1枚のカードパワーと状況に応じたフィニッシャーで勝つのもまたコンセプトであり勝ち筋と言えるだろう。
では、この「モルトNEXT」というデッキに、再現性を上げるためのサーチカードやドローソースは入るだろうか?
答えは否である(ジャックポットエントリーは近しい性質を持つが)。
理由としては、
・そもそも赤緑のドラゴン比率多めで構成されているデッキに青のドローソースは基本的に入らない
・この手のマナ加速しながら早いターンに大型のフィニッシャーを立てるデッキでは、マナの数が少ない早いターンでドローソースやサーチカードを使うと、コスト的に実質1ターンのロスになる上にデッキの強い動きに直接繋がらない

これらが挙げられる。
その代わりと言ってはなんだが、このデッキにおける「出力」は凄まじく、このデッキは「再現性」と引き換えに「出力」を得ていると言える(詳しくは後述)。
再現性を上げるなら無理にサーチカードやドローソースを積むよりもまず、キーカードを可能な限り枚数を積むことが第一であり、そもそもデッキコンセプトに合わないカードを無理に入れると構築が歪み、勝てる対面も勝てなくなると筆者は考えている(これについても後程触れる)。
ただし、デッキコンセプト上サーチカードやドローソースを無理なく入れられて、テンポ損することなく打てるデッキ(デュエプレで言うところの祝門など)や、そもそもドローソースやサーチカードが手札の確保だけに留まらず、他の動きも行える場合、ゲームルール上テンポやリソースを失うことなくドローソースやサーチカードを打てる場合は例外である(この話は後程いくつかの項目に分けたり、デッキやカードの実例を出して深掘りする)。

・「出力」について

構築の統一性についての項目でも触れたが、無理にドローソースやサーチカードを使って再現性を高めようとした場合、一部のデッキを除いて、早い段階でそのカードを使うとマナの数的に基本的にはその後そのターンを終えることになる。
これを本来序盤はマナ/土地を加速するようなデッキで無理に行おうとすると、次のターン以降の動きの出力の高さに影響する。
要は、
1ターン目:マナ置きエンド
2ターン目:フェアリー・ライフ(1ブースト)
までは共通だったとしても、
3ターン目:エナジー・ライト(2ドロー)/フェアリー・シャワー(山札の上からカードを2枚見て、1枚を手札、もう一枚をマナに置く)
この動きの違いで次に使えるマナが1マナ違う。
そして、例えば現代デュエプレではインフレの影響で、自分の手札リソースを増やして管理しながら戦うよりも、先にある程度のリソースを確保したりマナを伸ばして、自分の強い動きを叩きつけるデッキの方が強い傾向にある。
先程触れた「モルトNEXT」は、その代表例と言っていいだろう。
その自分の動きの出力が弱いと、他のデッキに力負けしてしまうことがあるのが現状である。
そのため、これは筆者の個人的な考えではあるが、下手に出力を下げて(デッキの動きのテンポを悪くしたり、デッキコンセプトに反した動きを取ってまで)ドローソースやサーチカードを使って、無理矢理でも安定性を取るのはどうなのか?と言う疑問を持っている。
もちろん、前項で触れた通りドローソースやサーチカード、ルーターが複数の役割を持っていて、それがデッキコンセプトに合致したり、ルールやデッキの構造上デッキのテンポを阻害しない場合は肯定されるべきであると思う。

2.複数の役割を持つサーチカード/ドローソース/ルーターの強さについて考える

ここで、前項で時折触れていた、複数の役割を持つサーチカード/ドローソース/ルーターについて触れる。
要は、キーカードのサーチや山札からのドローに留まらず、そのカードを使うことで更なるメリットがデッキ側にもたらされる(=テンポ損することが少ない)カードである。
今回はデュエプレのカードが主になるが、そういった複数の役割を持つカードをいくつかこの項で見ていきたいと思う。

以下、この項で出てくるデュエプレ用語の簡単な解説
ND→原則直近1年間の商品+基礎カードに収録されているカードが使用できるフォーマット
AD→一部カードの1枚制限さえ守れば基本的に全てのカードを活用できるフォーマット
S・トリガー→シールドから手札に加えた際に、コストを踏み倒して使用できるカード

・ドンドン吸い込むナウ

・主な使用デッキ
シータモルト(現AD)
刃鬼(現ND/現AD)

・主な役割
1.相手の盤面のクリーチャーを1体バウンスする除去札
2.山札上5枚から、5コスト帯のカードなど手札に不足しているカードを探しにいくサーチカード
3.受け札

デュエプレでは今でも現役の受け札

このカードは、山札上5枚から任意のカードを1枚回収するサーチカードのような効果をしていながら、回収したカードが特定の文明であれば、相手のクリーチャー1体をバウンスする受け札/除去札にもなるという3つの役割を持つ。
このカードの特筆すべき点は、4→5の動きを補佐するサーチカードとしても使え、かつ相手のクリーチャーを1体バウンスできるため、能動的に使っても受動的に使っても腐らないS・トリガー持ちの防御札である点である。
特にADの刃鬼(マナリソースを伸ばして、大型クリーチャーを出してワンショットするデッキ)やシータモルト(細かい打点を揃えて、相手の動きにある程度柔軟に対応しながら早期に殴り勝つデッキ)の場合、5マナ域で使うカードにはどちらにも共通して強力なカードがある。
そう、《超次元リュウセイ・ホール》である。

未来から来た、ハイパーユーティリティーカード

このようにコスト5帯に強力な動きがあるかつこのカードを手札に加えると相手クリーチャーの1バウンスが発生するため、本来サーチのみのカードはそこまで強くないはずだったのが、実質テンポを失わずに次のマナ帯の動きを引き込み、手札の質を上げながら相手クリーチャーを1体バウンスできるスーパーカード兼受け札になったのである。
NDの刃鬼は刃鬼で、5コストの《連唱 フェアリー・ダブルライフ》に繋がるため、悪くはない。
そもそも刃鬼自体、デッキの構造上どうしてもビートには弱いため、その弱点を埋めてくれる受け札としてもこのカードは優秀である。

このカードも大概強い

・ライフプラン・チャージャー

・主な使用デッキ
白緑アガサ天門(19〜21弾ND環境/現AD)

・主な役割
1.246ムーブの際の4→6に繋ぐ動き
2.アガサやミルザムなど、手札に足りない大型クリーチャーカードの回収

アガサ天門使ってた時はこのカード8枚入れたいと思ってました

このカードは、マナ加速を行いながら山札上5枚の中から任意のクリーチャーカードを手札に加えられる、要は「手札が減らないどころか、少し質を良くできるマナ加速カード」である。
特にアガサ天門という、大型のクリーチャーを早期(4ターン目)に特定のカードを使って踏み倒すことを狙うデッキは、4ターン目までにマナを6マナに伸ばしつつ「アガサ」とその「アガサを場に出すためのカード」を手札に揃える必要があったため、マナを伸ばしながらアガサを探しに行けるこのカードは、4マナ帯の動きとしては最上級だった。
アガサの弱点である、「アガサを引き込めないととことん弱い」の克服にもなる。

・龍覇M・A・S&龍波動空母エビデゴラス/最終龍理Q.E.D.+

・主な使用デッキ
トリーヴァMAS(23弾ND環境)

・主な役割
1.相手クリーチャーをバウンスすることによる間接的な延命
2.置きドロソで延命のための札を引き込みつつ、リーサルの際に打点として活躍
3.大地とトリガーとしてのMASを組み合わせることによる、実質的な受けの担保と置きドロソの増加

往年の優良カード
便利かつ触れづらい置きドロソ
質の良いドローと、アンブロッカブル打点を兼ねる優良カード

「打点を兼ねるドローソース」という観点から、23弾ND環境のデッキである、トリーヴァMASで使われていたこちらのセットをピックアップ。
こちらのカード群はセットで解説する。
まず、クリーチャーの方である《龍覇M・A・S》の役割は、除去しづらい置きドロソの配置と相手の6コスト以下クリーチャー1体のバウンスである。
そもそも、6コストで6コストのクリーチャーを戻していること自体テンポ的な観点で見れば充分でありながら、このクリーチャー自体が打点にもなり、さらに除去しづらい置きドロソを設置する時点で、遅効性ではあるがテンポを失わずドローソースを確保することに成功している。
さらに、このドローソースは後半はドローすることでアンブロッカブルな打点にもなるため、キーカードを引き込むためのドローが打点に繋がる無駄のなさを誇る。
そして、《龍覇M・A・S》に関しては、当時もう一つの役割があった。
それが、S・トリガーで発動した《母なる大地》と組み合わせることによる実質的な受け札兼置きドロソの増加である。

これでも弱体化した方

要は5マナ以上ある時にシールドにカードを仕込むカードで大地を盾に仕込み、盤面にMASがいる状態で相手がその盾を割ると、大地の効果でMASを出し入れしてエビデゴラスを追加で設置しながら相手の6コスト以下のクリーチャーを1体バウンスできる、実質的な防御札として運用できるのである。
アグロ対面に対しては、下手なターンが必ず返ってくるS・トリガーよりも刺さる動きだった。
このように、当時のND環境においてこのカード群はテンポを取りつつ置きドロソ兼用フィニッシャーを配置した、遅効性のドローソースでありながら無駄のないカードだったと言える。

・祝儀の堕天チャーマジュン

・主な使用デッキ
祝門(現ND環境)

・主な役割
1.闇エンコマのコスト軽減クリーチャー兼エンコマの頭数稼ぎ
2.2ドローによる後続の引き込み

デュエプレオリジナルカード

実装されてから現在に至るまで、ずっとND環境の一角にいるデッキのキーカード。
元々このデッキ自体、手札と盤面を必要とするコンボデッキの側面が強いため、このデッキでのドローソースはそもそも有用(動きが薄くなりがちな3マナ帯で撃てるエナジー・ライトは特に)だが、そのドローソースがコスト軽減クリーチャーも兼ねているとなると話は変わる。
祝門というデッキでは、7コス帯に闇エンコマが一定数いるため、このクリーチャーが場に残ったままターンが帰ってくると4→5の動きが綺麗に取れるのである。
さらに、このデッキにおいては軽量のエンジェル・コマンドというだけでも価値が高く、フィニッシャーである《精霊王アルファリオン》の踏み倒しのための頭数稼ぎにも貢献する。

出たら大体勝つと書いてある

そう言った点でも、1枚で何役もこなしつつドローソースにもなるスーパーカードと言えるだろう。

これら4デッキの5枚+αのカードを見てきたが、これらの「環境デッキに入りうるサーチカード/ドローソース」は、以下に分類されると考えられる。

1.そのデッキの薄くなりがちなコスト帯を埋めてくれ、無駄なく動けるようにしてくれる(例:祝門のエナジーライト)
2.次のコスト帯の動きに繋ぐために使うことができ、さらにそのデッキの弱点も克服してくれる(例:刃鬼のドン吸いやアガサのライフプランチャージャー)
3.単なるドローソースやサーチとしての働きだけでなく、フィニッシャーにも繋がる(例:祝門のチャーマジュン、トリーヴァMASのエビデゴラス)

これらのカードを見てもわかるように、ドローソースやサーチカードには使う適切なタイミングと合うデッキがあり、無闇に入れて使っても必ずしもそのデッキが強くなるとは考えづらい。
ただ、合うデッキに入れ、適切なタイミングでこれらのカードを使えば、自分の動きの安定性を高めてくれるだけでなく自分の動きも強くしてくれる一石二鳥以上の活躍をしてくれる。
他のカードゲームでも、基本的に環境で見るサーチカード/ドローソースは、
・後々打点になったり、繰り返し効果を使えるため相手の攻撃を吸うことができる生き物(具体例:ONE PIECEカードゲームの青黒サカズキの1たしぎやブランニュー、緑単ボニーの1ボニーやサーチベビー5など)
・サーチ/ドローだけでなく、そのデッキにとってプラスだったり、環境デッキに対して有効な何かしらの付加効果がある(具体例:紙のデュエマの「なぜ離れ どこへ向かうの 君は今」など)
・そもそもドローソースなどで増やした手札を、ノーコストで行えるアクション/ギミック/ルールによる行動ですぐに活用できる(具体例:紙のデュエマの赤青マジックの《氷柱と炎弧の決断》と革命チェンジ、WIXOSSでスペルを使ってドローしたシグニを場に出す行為など)
・そもそもドローすることやルーターをプレイすること自体が勝利に直結する(具体例:ONE PIECEカードゲームの青ナミの《サンジのピラフ》、紙のデュエマの「サガループ」における、ツインパクトの《エマージェンシー・タイフーン》など)
・ルールやコスト上、そのデッキのテンポやマナリソースを損なわずに使うことができる(WIXOSSのダッシュヒラナの《SONG OF WIXOSS》など)
上記のような特徴を何かしら持っていることが多い。
そのカードゲームのインフレ具合にもよるが、現在のデュエプレや紙のデュエマのような、如何に自分の強い動きを押し通すかが鍵となるカードゲームだと、テンポを損してシンプルなドローソースでリソースを確保するだけでは勝ちに繋がらないのかもしれない。

3.デッキの再現性を高めるだけでなく、その再現性を高めることでどうなるか、その方向での改良は適切かを考える

そもそも、無闇矢鱈にデッキの再現性を高めたところで勝てる対面が減ってしまったら本末転倒では?と筆者は考えている。
デッキの再現性を高める前に、そのデッキの構造上やメインカラーのカラーパイの観点から、ドローソースやサーチカードを入れて再現性を高める方向にシフトするのは適切かどうか、そもそもなぜ再現性を高めなければいけないのか(そして再現性を高めないといけない場合、大会などで使うのはそのデッキでいいのか)を考えたい。

例えばデュエプレのモルトNEXT。
このデッキはデッキの構造上、ドローソースやサーチカードをジャクポ以外入れるとデッキ構造そのものが歪み、逆に不安定になるため、ドローソースやサーチカードを使って再現性を高めるのは適切ではないと考えられる。

例えばデュエプレの祝門。
このデッキはマナカーブの関係上、3のタイミングであればエナジーライトを打ってもテンポ損ではなく、さらにチャーマジュンのようなコスト軽減札兼ドローソースがあるため、これらのドローソースを使って再現性を高めるのは適切であると考えられる(水マナが多色とはいえ他に確保できているのも大きい)。

例えばデュエプレの現NDの刃鬼。
このデッキは極力5か6でフェアリーダブルライフを打ちたい関係上、4のタイミングでフェアリーダブルライフが手札になければドン吸いで探しに行くのは悪くない選択肢であると考えられる。
さらに、ドン吸いは手札を減らさない受け札にも除去札にもなり得るため、このサーチカードを使って再現性を高めるのは適切であると考えられる。リュウセイホールが去ったあとこのデッキの水マナがこのカード抜きには不足していることも大きい。

デュエプレではないが、WIXOSSのダッシュヒラナについても「ドローソースを多用するデッキ」と言う項目に該当し、また、WIXOSSのルール上の観点でもドローソースを無理なく使えるデッキであるためここで触れる。
このデッキは、ドローソースやルーターを多用してひたすらデッキを回して3キルに必要なキーパーツを手札に集める関係上、どうしてもデッキ内に多くのドローソースやルーターを採用することが求められる。
幸い、WIXOSSというゲームはルリグのリミット(場に出せるシグニ(クリーチャーのようなもの)のレベルの合計)と場のシグニを入れ替えるターン1ルールさえ守っていればシグニは基本的にコストを支払わずに場に出せるため、エナは基本的にドローソースや打点用の効果に注ぎ込むことができる(wixossにおいてはシールドの役割を果たすライフクロスが、割れた際エナ(マナ)に変換されるのも大きい)。
また、ドローソースやルーターも基本的にテンポを損なわない上に打点になったり、追加でハンデスを行えるカードが多いため無駄がない。
ドローソースを連打して山札が尽きても、wixossではルール上盾が1枚減るだけで負けに直結しない(その上でこのデッキは高速で勝てなければ負けるタイプのデッキなので、後先もあまり気にする必要はない)のであまり心配はいらない。


このように、例えテンプレ構築であっても、デッキコンセプトと主な動きを理解したのであればその構築についても適切かどうか一度考えた方がいいと筆者は考える。
これは再現性の項目に限った話ではなく、そもそもそのデッキを回す際にそのデッキの主な動きと各カードのそのデッキにおける役割、採用枚数の理由、デッキコンセプトを理解しているか否かではそのデッキを適切にどこまで回せるかが変わってくると筆者は考えている。
もちろん、ある程度の大筋を理解すれば80点のプレイングを誰でも簡単にできるデッキもあるにはある。しかしそのデッキも、さらに細かいところを煮詰めると90点以上のプレイングをできるようになる。
筆者が言えた口かはわからないが、大会などで勝てるようになるためにはまずこのような細かい部分の理解が大事であると考えられる。
筆者なりのデッキの構造の把握のやり方についてはまた機会があれば別のnoteで書きたいと思うが、簡単に説明すると、そのゲームに慣れていればという前提条件こそあるが、マナカーブとそのデッキを構成するカード、推定されるフィニッシャーからデッキの基本的な動きと傾向についてはある程度推測できる(余程特殊なデッキを除けば)
この時に適切な理解ができていれば、組み替えるにしても適切なアプローチを取ることができ、構築を歪めてまでデッキの再現性を上げようとしたりすることはあまりないと考えられる。

4.デッキの評価軸は「再現性」だけではない

そもそも、筆者が考えるに、デッキの評価軸は「再現性」だけではない。
具体的には何かと言われると、筆者は以下のように考える。
・再現性
・出力
・デッキのカード単体のカードパワーの高さ
・環境での立ち位置

これら4つが、環境におけるデッキの評価軸だと筆者は考えている。
それぞれの詳しい説明や考察については、このnoteの大筋とは関係ないためここでは細かい説明は一旦割愛するが、簡単に纏めると

・再現性
→そのデッキの強い動きを安定して行えるかどうか

・出力
→順当に動いた時のそのデッキの強さ

・デッキのカード単体のカードパワーの高さ
→トップ勝負になった時の強さがどれほどか

・環境での立ち位置
→そのデッキが今の環境においてどれほど良い立ち位置にいるか

である。
この4つの評価軸もあり、筆者はデッキを組む際や評価する際に「再現性」だけに囚われるのは危険だと考えている。
仮に再現性が低くても、出力とカードパワーで環境を動かすデッキはあるし、逆に再現性が高くても出力とカードパワーに難を抱えるために環境入りが難しいデッキもある。
そもそも、カードパワーが低くても立ち位置の良さで環境にいるデッキもある。
そのため、デッキを組んだり評価する際はこれらの4項目をバランス良く考えるのが大事だと筆者は考える。
ちなみに、再現性、出力、カード単体のカードパワーについてはそれぞれのカードゲームによって定義や基準が異なることがあるため注意。
この辺りの話は後日別のnoteに纏めれればと考えている。

5.今回のnoteのまとめ

最後に、今回のnoteの内容について簡潔にまとめると、

・デッキの性質や構造を無視して無闇矢鱈にドローソースやルーター、サーチカードを採用してデッキの再現性を上げようとするのは危険

・再現性は確かに大事な要素の一つだが、ゲームやデッキに合ったやり方で無理のない範疇で再現性を上げるべき

・1枚で複数以上の役割を持てたり、テンポやリソースを損せずに使えるドローソースやサーチカード、ルーターは強い

である。

6.おわりに

以上でこのnoteは終わりになります。
一応、数年程複数のカードゲーム(と言ってもデュエマ、wixoss、デュエプレ、ワンピカの4種ですが)で競技的にカードゲームに向き合ってきた人間の、「再現性」に関する考えと思考整理になりますが、カードゲームを競技的にプレイされている方、強くなりたい方の参考になれば幸いです。
もしよろしければ、筆者のX(@lili4161)のフォローやこの記事のスキと拡散、他の筆者の記事も読んでいただければ幸いです。
それでは、また次のnoteでお会いしましょう!




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