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夢のはじまり。

今日は夢のはじまりの話。

職業柄、よくお取引先や採用活動で聞かれることがある。

「なぜ起業したの?」

起業家には必ずはじまりの物語がある。
10人起業家がいれば、10通りのストーリーがある。

相手によって、時と場合によって、エピソード1を話す時もあれば、エピソード3から話すときもある。

今日は僕のエピソード0。
夢のはじまりの話。

僕の場合、その答えは30年前にさかのぼる。

福岡の片田舎、母子家庭の家で育った僕。
じいちゃんとばあちゃん、母ちゃんと姉ちゃんの5人家族。

家はとってもポンコツで、そこに父親の姿はない。母ちゃんはいつも仕事で早朝や夜中おしっこに起きた時くらいにしか会わなかった。

こう書くとなんだか、悲しいストーリーのはじまりに聞こえるけど、全然そんなことはない。

当時住んでいた家の周りには沢山田んぼや畑、牛小屋があり、毎日が冒険だった。

おやつが欲しけりゃ、田んぼにいるジャンボタニシを捕まえて、農家のおっちゃんに見せに行けば、黒棒や丸ぼうろがもらえた。
※黒棒・丸ぼうろは福岡の渋めのおやつ

じいちゃんは誰も知らないザリガニの釣り方を教えてくれたし、ばあちゃんはいつも温かくて優しかったし、何よりプニプニの二の腕が大好きだった。

母ちゃんもなぜかはわからないけど、いつも「あんたは天才やけん、なんでもできるし、なんにでもなれる」と言ってくれた。

まぁ、姉ちゃんだけは太っちょで丸坊主、いつも泥だらけの僕を見かけると弟と思われるのが恥ずかしいと逃げていった。それはそれでなんだか面白い。

そんな楽しい毎日を過ごしてた僕は、かわいがってくれていたおっちゃんから人生をある意味決定付ける一言を言われた。

「お前んちは母ちゃんだけで頑張っとるんやけん、お前が大きくなったら、楽にしてやらないかんぞ。」

多分、それはそのおっちゃんの何気ないメッセージだったんやと思う。「男として」的なよく昭和のおっちゃんが言う類のやつ。

でも、純粋無垢で、単純でぶっちょ少年の胸にはグサっと刺さったんだ。

いつも家にいない母ちゃん。授業参観に来たことない母ちゃん。夜な夜な家で仕事をしてる母ちゃん。

離婚していきなり4人の生活を背負い、OLをしながら建築士の資格を取り、大手ハウスメーカーの設計トップまで上り詰めた鉄の女。

何となくはわかっていたけど、その全ては家族を養うため。姉ちゃんや僕の「今」と「未来」のため。その責任を全て1人で背負って、必死で頑張っているということ。

ようやくそういう我が家の状況を理解した時、僕の中で小さな夢が生まれた。

僕は大きくなったら社長になる。
社長になれば母ちゃんを楽にさせることができる。

そう思った。

社長という仕事、ポジション、役割が一体なんなのかなんて全くわからないまま、僕の夢ははじまった。

あれから30年、確かに社長になるという夢は実現したけれど、母を楽にできてるか、安心させれてるか、といえば、まだ全然だ。

成長と経験とともに、夢はアップデートする。

追いかけて、追いついて、また逃げられて。
夢との終わりのない追いかけっこは今も続いている。

おしまい。
では、また。

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