#民の為とは必ずしも己の為にならず

『…セルジュー様…味方の損害は思いのほか多く…、
初戦からの敗戦続きで、兵たちの士気は下がる一方です。』

『…。』

『…これまでは、日和見を決め込んでいた、
各地の貴族や武族たちが、続々と敵陣営に馳せ参じております。』

『…何か…手はないのか?』

『…。』

軍儀に出席している諸将たちは皆、
悲しく、沈痛な面持ちを隠す事も出来なかった。

『…敵陣営はもはや、我が軍の何倍にも膨れ上がっております。
…弟君のアーシン軍は、既に敵軍と合流…。
…ただ唯一、マドゥ軍のみ…沈黙を保ち続けております。』

『…事ここに至っては…マドゥに会わせる顔もないわ…。』

『…北のはずれには、未だ我らに忠誠を誓っている訳でもない、
大小様々な、部族たちが現存しておりますが…。
彼らに助けを求めたとしても、色好い返事を頂ける可能性は、
非常に薄いものかと存じます…。』

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