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『…ねぇ、オリファル…また思い悩んでるの?』 『…うーん…うん…。』 『…もう!…かれこ…
『…ねぇ、ねぇ…あの方を見て…近い将来、 この国の王となられる方よ…あんなに凛々しくて……
『…味方が負傷しただと!…敵は?』 『…敵部隊は既に撤退しており…、 …味方はもうすぐ、…
『…ガルム…何人やられた?』 『…ひとりのみです…マドゥ様…。』 『…そうか…彼の遺体を…
『…リヴィオン隊長…、もうすぐ例のポイントです…。』 『…後続の者たちに、警戒レベルを上…
その日の昼頃…、馬を引いた、ひとりの長身の騎士が、 ここ要衝の地…ザカードの最前線にやっ…
…バナン軍に連敗し、ウェルニッテの戦いでの敗戦を喫するや、 多くの諸将の信望を失っていた、長兄セルジューだったが、 ここにきて〔和平交渉とは名ばかり〕の、 〔降伏勧告〕を受け入れ…〔敗戦処理〕に追われる事になった。 セルジュー軍が、本陣と定めていた城は、 厳戒態勢が解除され〔開城〕する方針が定まっていた。 セルジューは、全軍に武装解除を厳命し、 並みいる諸将たち、彼を支持していた貴族や武族たちも同様に、戦う意志を放棄していったのであった。
『…セルジュー様…味方の損害は思いのほか多く…、 初戦からの敗戦続きで、兵たちの士気は下…
『…セルジュー様…ザハン殿が…戦死を遂げられました。』 『…そうか…。』 『…ウェルニッ…
『ええい!…何をしている!…早く賊軍を打ち払わんか!』 『…セルジュー様!…申し上げます…
北の大国 東部方面軍総司令官であるバナンの本拠地は、 ここ〔ラバーナ城〕である。 冬になる…
『…ダメだ…兄上たちは、僕の話なんか聴いてはくれない…。』 南から、サラディー候の圧力が…
『…さて、北西部に領地を構えるマドゥ将軍だが…、 …彼が守るあの地を、如何にして奪取する…
ドラキ候の本来の後継筋であった、長男セルジューを蔑ろにし、 次男であるバナンをそそのかして、武力蜂起を決断させた男、 謂わば…今回の〔後継簒奪を主導した黒幕〕が存在した。 その人物こそ、 この大陸きっての名家 ウェブラート家の当主である、 レッザ・ウェブラートである。