引っ越しの話

当時住んでいたアパートは2年毎に更新があったのだけど、2011年は更新の年だった。一人暮らしは20代の時ほど楽しくはなかったけれど、自由を満喫してたし、実家にいる夢を見て目を覚まして一人暮らしである事に気付いて安心するぐらい居心地は良かった。西荻窪の街も気に入ってたし。なのでいつもなら迷わず更新するのだけど、この年は迷っていた。

理由は色々あったけど、震災の影響はあったかな。同じ東京に住んでるのに家族が分かれて住んでるの、普段は良いけどああいう事が起きると不安になる。あと震災直後に何度か実家から職場に行ってたけど、乗り換えないし時間もかからないしめっちゃ楽だったんだよね。そりゃ東京の地理は分かるので知ってたけど、実際体験すると実感する。あと甥っ子もね、妹夫婦は実家の近所に住んでたけど、妹が仕事行く時とかは実家に預けてたので、近くで可愛がりたかったのもある。

ついでに言うとアパートは古くてぼろかった。当時の時点で築35年越えてたし。実家は築20年くらいだったので、比べると風呂とか水回りとか流石に不便も多かった。その代わり中央線沿線とは思えないぐらい安かったけど。8年も住んでたら慣れちゃうしね。とは言え、一旦実家に戻るのもアリか・・・と12月の4度目の更新はしない事にした。

さて、となると、大量に色々処分しないといけない。実家の俺の部屋に全部入りきらないので。特に多かった漫画とか、欲しい人いたらあげるよー、と募ったら何人か取りに来てくれた。結局、一人暮らししてた8年の間で、一番人が来たのってこの時期だったかもしれない。まあそれでも全然大量に残ってたので、ブックオフに段ボール3箱ぐらい送ったっけな。あといらない家財道具とか引き取る業者のお兄ちゃんに「漫画欲しかったらあげるよ」と言ったらけっこう持って行ってくれた。取捨選択してたらキリがないので全処分する勢いでどんどん手放したけど、今にして思えば惜しい事したなー。マイナー作品とか、復刻しそうにない、もう手に入らないやつけっこうあったんだよな・・・。

冷蔵庫とか洗濯機とか大物は、実は8年前に一人暮らしを始めようとした頃に結婚した友人がいて、お互い一人暮らししてたから、と余ったそれらを全部もらって使ってた。中古だけど、とりあえず最初だけね、というつもりでもらったけど、まさか最後まで使うとはね。8年間お世話になりました。TVはなんか血迷ってバカでかいの買ってたんだけど友達に送った。

部屋からどんどんものがなくなって、最後ガランとした部屋を見た時は寂しかったな。最初に引っ越してきた時を思い出した。あの頃は夢と希望に溢れていたなあ。12月という年末の空気もあって、何か一つの終わり感が凄かった。大学生の頃に周りで一人暮らししてる友人達が羨ましくて、社会人になってから始めた一人暮らしだったけど、遅れてきた青春のように楽しかった。それももう終わるんだな、と感じた。

まあ一旦は戻るけど、またどこかで一人暮らし再開しよう、とかこの時は考えていた。そして2012年は、戻った実家で年を越すのだった。

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