グラビアアイドルの話

1990年代の後半ぐらいからだったかな、グラビアアイドルにめっちゃハマっていた。グラビアアイドルって言葉が浸透してきたのもその頃だった気がする。何故かアイドルにも二次元の女の子も全然ハマらなかったのに、グラドルにはハマってたんだよな。エロ本とかAVとかにも興味なかった。ジャンルで言うとグラドルとか、コスプレイヤーとか、ネットアイドルとかが当時の好みのど真ん中だったのです。今でもか。ちなみにAKBはグラドルの仕事をごっそり奪ったので好きではない。だいぶ後の話だけど。

そんな2000年代の初め頃、小明というグラドルにハマりました。たぶん一番ハマったのが彼女じゃないかな。あんまり有名じゃなかったので出てる雑誌とか古本屋で探し回ったの覚えてる。何が良いって、彼女が自分のサイトに書いてる日記が良かった。え、こんなの芸能人が書いていいの?ってぐらい陰キャのオタクみたいな日記だったから。文章も俺らに似ていたので、こんなグラドルいるんだと一気に惹かれたんだよね。当時はそういうの珍しかったから。眞鍋かをりがブログの女王とか言われるのは2004年なんだけど、それより前、ブログなんて無くてHTMLでサイト書いてた時代である。

そんな彼女が、ある撮影のロケバスで、自分と同じく周りに馴染めない変わった女の子と知り合う。業界内ではお互いに話が合う唯一の友達という事で、一気に仲良くなった。日記でも彼女の事はよく書かれるようになり、サイトのリンクも貼ってあったので、さて、どんな子だ?と見に行ったら、思いっきり極彩色の背景に、自分で描いた楳図かずおテイストのイラストがドーンと出て来て、たまげた。何やってんだこの子。これは売れないだろ・・・と思ったのを覚えている。彼女の名は、中川翔子と言った。

HTMLサイトの時代は終わり、日記はいつしかブログに移っていたけど、2人は相変わらず仲が良くて、交換ブログ(お互いに相手のブログを代理で更新する)とかやってた。でも、いつからか。中川翔子はどんどん売れていった。小明はむしろ見る事が少なくなっていった。2人の距離は開いて行って、やがて小明は自分の活動を書いた本を2009年に出して、事務所を辞めた。

自分もその本は買って読んだ。芸能デビューから事務所を辞めるまでの話が赤裸々に書かれていて、そこには当然、中川翔子の事もたくさん書かれてるんだけど。しょこたんがブレイクして、ある大きなライブに行った時の事。この時にかかっていた曲が何かは分からないけど、「空色デイズ」を聴くといつもこのシーンを思い出す。

大舞台で歌う親友翔子の歌を聴いて、客席で感極まってボロボロ泣くんだよね。それは喜びなのか、寂しさなのか、悔しさなのか、悲しさなのか、自分でも分からない。その全てが綯い交ぜになった感情で涙が止まらなかった。ああ、俺だ。この頃には俺も30過ぎてたし、若い頃に一緒に遊んでたけど、その後ブレイクしたり出世したりしたやつはたくさんいた。客席からしょこたんを見上げる彼女はまさに俺のようじゃないか。見つけた時から変わらない。やはり彼女は文才があると思った。

ちなみに事務所辞めただけで別に引退したわけではなく、フリーで色々やってました。現在もTwitterで元気に活動している姿を見る事が出来たりする。グラドル界隈、こんな話がたくさんあるのでやめられないのです。

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