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「小品」を吹こう!#5 《ビゼー/「アルルの女」~メヌエット》

8月に入ってから非常に暑い日が続きました。今日は雨で随分と涼しい・・

さて、今日はフルートと言えばこの曲というビゼー(1838-1875)作曲の「アルルの女」~メヌエットです。

この曲は実は小学生の時に初めて発表会に出たときに先生から渡された曲で、後半コケて吹きなおししたという私にとってはちょっとしたトラウマの曲です。今でも身体が緊張してうまく吹けていませんが💦

配信した動画→https://www.youtube.com/watch?v=JAVA4vvDd1M

楽譜は今は入手不可能なスズキメソードの小品集の3を使用。小品集には必ずと言ってよいほどあるので何でも構いません。

現在一般的に使われている楽譜はドレミ出版「フルート名曲31選」で、これはほとんどの方がお持ちかもしれません。

https://amzn.to/3gDCIyW


ただ、今回何故一般的な小品集を利用しなかったかについては、ブレスの位置やアーティキュレーションが良かったからです。
小学生だったころにつけられたブレス位置が良くなかったというわけではなく、よりメロディーを生かす位置だったということ、アーティキュレーションもメヌエットらしさが伝わってくる付け方でしたので採用させていただきました。

最初のインターバルの感じ方を変えてみる

なんといってもこの曲の難関は初めのフレーズ。

原曲はオケのハープから優雅な始まりなのですが、どうも優雅にはいかないところですが・・・。

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赤で囲った部分はインターバルが激しくフルートでここを滑らかに出すというのは結構難しいですね。特に最後のBからGに向かうところなどは緊張します。

全体的には緑で囲った音がデクレッシェンドしながら繋がっているように演奏しますので、まずはB-ES-Gを滑らかに吹く練習をしましょう。
それから中の音を入れて吹いてみます。この時、上の音が飛び出さないように吹くのですが、B-ES-Gが一つの線上にあることを意識して、上がり下がりに囚われないようにしたいですね。

そして、その緊張がかえって出せなくなる原因になります。とはいえ、家では難なく出来たとしても、何かの本番になると変に意識してしまったりするのですよね。

この場合の練習方法としては、インターバルやハーモニクスの練習だけではなく首から下の筋肉を床の方まで荷物を降ろすイメージで脱力し、喉に力が入らないように細い息を前の方へスーッと吐き出すと良いです。

人によりますができるできないほぼその時の精神状態によると思います。そして、その精神状態もあまり難しく考えずに、自分の好きな演奏家の音ので自分が奏でているとか、自分の好きな風景、光景などをイメージを持つとできたりします。

イメージ力は大事です!

メヌエットらしさを見つける

さて、この曲がメヌエットであることを忘れてはなりません。
私はこの曲を演奏するときは早く過ぎ去る(笑)ようなテンポで、メリハリを大事にしてきました。

それは、私が最初にこの曲を聴いたときの演奏は流れるような美しい演奏でした。なんて綺麗な音なのだろうと子供ながらに感じてましたが、今はその時の感覚と少し違います。

今回は76というテンポも表記されてますし、アーティキュレーションの奏法も2小節単位を意識してスタッカートも強くはないけれどしっかり吹くようにしてみました。

メヌエットはもともとフランスの民族舞曲から14世紀フランスの宮廷舞曲に流れていったので、その時代の貴族が楽しんでいたものを想像してみましょう。

シルバーのカツラを被った貴族とドレス姿の貴婦人が生演奏で優雅に踊っている様を。

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特にリピートで展開されている音符が細かくなっているところはffと記載されていますが、強いというイメージではなく厳かな感じにとらえると良いかもしれません。

その部分の最初の四分音符のアクセントの音は、音と音の間(ブルーで引いてるように)はほんの少し間を開ける感じで吹くと良いですね。

そして、16分音符の下降のところは、他の版ではスタッカートが記入されてるものが多いと思いますが、この譜面では何も書かれてません。私もその方が良いと思います。

この部分は単純にスタッカートとなると早くなるような気がします。
ですので、ここはマルカートでしっかりテンポでおさめると宮廷音楽であるメヌエットらしさが出るのではと思います。

曲の終わりは消えるように・・・

この曲は全体的にdolceでうたうことが要求されていますが、フレーズの終わりは殆どdim.になっており、それが上行形の終始の音にも適用することになってます。

そして、曲の終わりもまさにcalande e smorzando(静かにだんだん遅く消えるように)とあり最後の音が高音のEsでフェルマータがかかってます。

今までさんざん気を付けて演奏してきて、最後は消えるように伸ばさなくてはいけないという(笑)

今までの緊張が溜まってきていて最後までその状態を続けるという不安をかかえての作業ですが、そこはポジティブに思いたいですね。消えるように→気持ちまで消えてしまわないように!

「え、また・・・ここ難しい、、、息続かない」とか頭に浮かんできても「いや、綺麗な曲だった、最後も美しくのびのび息を吐こう」とか、「絶対この音は飛び切りの良い音を出す」と心の中で決心すると良いのかなと思います。出るんです!自信を持ちましょう!(^^)!
伴奏者も一緒ならきっと一緒に乗り切ってくれることでしょう。あなたは一人ではない!

あまりにも人気のある名曲で気をつけたいこと

あまりにも人気のある名曲というのは耳に馴染んでますので、なかなか深いところまでは気が付かないことも多々あり、なんとなくその曲っぽくなって楽しいかもしれません。

まず、この曲を吹きたいという想いで取り組むことは大事ですが、もう一歩踏み込むことで表現の仕方が変わると思います。

クラシック音楽は、その時代にどんな背景があったか、その頃の様式とかも考えて演奏してみるのは面白いことですので、少し気にとめておくと世界が広がるのではないでしょうか。

それといろいろな演奏も聞いたり、原曲がオケだったらそのオケ版もきいてみたり、一曲を楽しむ方法はいくらでもありますので自分なりの楽しみ方を見つけて頂けることを願っています。

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