【読書】チョン・セラン「フィフティ・ピープル (となりの国のものがたり1)」

「フィフティ・ピープル (となりの国のものがたり1)」という本を読んだ。登場人物は全部で50人である。原則として1人のエピソードについて1章という短編小説形式で、最後の「そして、みんなが」という章ではそれぞれの人間が交錯する。似た形式の作品としては恩田陸の「ドミノ」や映画「エイプリルフールズ」であろうか。

1人1人のエピソードは優しく描かれていたが、背景には過労、マイノリティ、違法建造物などといった社会問題が暴かれていた。舞台が韓国なので各問題についての理解は難しかったが、翻訳者による解説のおかげでこの本が持つポテンシャルについてより理解できたように思われる。

ただし、1人1人のエピソードがつながって最後に大きな展開が生じるというストーリーではなかった。自分はこうした展開を期待していたのでその点は物足りなかったが、思わぬ収穫もありやや満足している。それにしても、Amazonでの評価が高い...。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?