【映画】ヴィンセントが教えてくれたこと

映画「ヴィンセントが教えてくれたこと」を観た。とても面白かった。以下、ネタバレを含みます。

この映画について良いなと思ったところは、人生って悪くないんだというメッセージである。ヴィンセントはお金もないのに大量のお酒を飲み、そしてギャンブルにお金を費やす男性である。ひねくれたような感じで、隣人との仲も良くはなく、むしろあの人とは関わらないほうが良いというような目で見られている。

そのヴィンセントを慕う唯一(といっても良い)存在が、主人公のオリバーである。オリバーはヴィンセントの隣人の息子であり、ひょんなことから、ヴィンセントに面倒を見てもらうこととなる。オリバーは母親に大切に育てられている一方、背が低く弱虫でもちろん家から離れた社会について何も知らないと言って良い。そんなオリバーをヴィンセントは色々な所に連れ回し、「社会勉強」をさせる。行き先は、競馬場、バー、そしてヴィンセントの妻の介護施設。そして、時に色々なことを教える。喧嘩の勝ち方 etc.。

オリバーはヴィンセントを慕っているように見えるが、ヴィンセントが連れて行く場所は社会的に望ましい場所では決してなく、母親は息子をいったいだれに預けているんだ…と養育責任を問われる事態となってしまう。さらにヴィンセント自身も脳卒中で倒れてしまう。

お金もない、妻の状態も悪い、おまけに自分の健康状態も悪い…。ともすれば破壊的衝動にかられてしまいそうな状態であるが、最後に大どんでん返しが起こる。それは、ビジネスがうまくいくことでもないし、妻や自分の健康状態が奇跡的に良くなることでもなく、他人にちょっと認められるというだけのことであるが、その結末が良かった。

どんなに悪く見られているような人にでも良い面がある。本作では、最後にその良い面が公となり、みんなから拍手をされるというエンディング。ハッピーエンドだなと思った。

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