【美術館】ルール展

「ルール展」を拝見した。インタラクティブな仕掛けであったり、日常生活に潜んでいる目に見えないルール(それは法律的な意味でのルールにとどまらず、慣習としてのルールも含まれる)、あるいは法則としてのルール、人間界ではなく自然界でのルールまで含まれて展示されており面白かった。

一方、「あなたでなければ、誰が?」に関してはよく分からなかった。この作品では15人1組である部屋に入り、そこでそれぞれが質問に回答するという内容になっている。質問の回答方法も単に紙に記入したりスマホで回答したりするのではなく、「はい」と思えばスペースの右側へ、「いいえ」と思えばスペースの左側へ移動するという形で回答する。身体性を伴っており、誰がどんな回答をしているか、多数派はどのような回答であるかなどがひと目で分かるようになっている。しかし、相手の回答が分かると同時に、当然自分の回答が他者に知られるという状況になっている。加えて、ここでの質問には「原発再稼働に賛成であるか」「マッチングアプリを利用したことがあるか」といった、プライベートではあまり話さないようなものが含まれている。参加する前にこの展示がどのような展示であり、参加者はどのような行動が求められるかについてもっと知っておきたかった。

なお、ここでの展示ではもちろん回答は強制されない。しかし、回答しないためにはそのスペースから離れる必要があり、みんなが回答しているなか回答しないという決断をするのは若干の勇気が必要とされた。こうした同調に伴うルールもルール展という観点から興味深いとも言えるだろう。

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